公認会計士の仕事はAIに奪われる?年収は下がる?AI時代にむしろ価値が上がる理由を解説

顎に手を添えて考えるスーツ姿の男性

公認会計士の仕事がAIに奪われるというのは本当?

「難関試験を突破して公認会計士になっても、AIに仕事を奪われるのではないか」。こうした不安から、「公認会計士 AI」「公認会計士 なくなる」といったキーワードで検索する人は少なくありません。

結論から言うと、AIの普及で公認会計士の仕事がなくなるという見方は、実際のデータとは異なります。監査報酬は増加が続き、会計士の需要も高い水準を保っています。

この記事では、「なぜAIに奪われないのか」という理由と、「報酬・年収は実際にどうなっているのか」の2点を、公的なデータをもとに解説します。

「AIの普及により公認会計士の仕事がなくなる」と言われる理由

AIと書かれた木のブロックをつまむ手

「AIの普及によって公認会計士の仕事がなくなる」と言われる背景には、会計の仕事を「決まった手順で進む作業」と捉えるイメージがあります。

実際に、仕訳の入力や書類のチェック、数字の突き合わせといった定型業務は、AIが得意とする領域です。会計の現場でも、こうした業務の自動化は進んでいます。

野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究では、日本の労働人口の約49%が、将来的にAIやロボットなどで代替される可能性があると試算されました。この試算では、会計や監査に関わる事務作業も、代替されやすい仕事として挙げられています。

ただし、この試算は2015年に公表されたもので、対象も主に「定型的な事務作業」です。公認会計士の仕事すべてではありません。

つまり、「作業が効率化される」ことと、「仕事そのものがなくなる」ことは、まったく別の話です。

それでも会計士の仕事がAIに奪われない、2つの理由

公認会計士の仕事の本質は、「作業」ではありません。AIに奪われないと言える理由は、大きく2つあります。

最後に判断し、責任を持つのは「人」だから

公認会計士は、国が定めた公認会計士法にもとづく国家資格です。企業の財務諸表が信頼できることを保証する監査は独占業務であり、この資格を持つ公認会計士と監査法人だけに認められています。

AIは、大量のデータを分析し、数字を照合する作業を高速化できます。しかし、その結果をもとに監査意見を表明し、責任を負う主体にはなれません。監査意見に署名し、社会に対して責任を負うのは、公認会計士だけです。

この点は、AIの性能が上がっても変わりません。制度として人が最終判断を担う以上、高度な判断ができる専門家は欠かせないのです。

人にしか出せない「価値」があるから

AIが代替できるのは、ルールに沿って正解を導ける定型業務に限られます。

人にしか出せない価値があるのは、正解が一つに定まらない複雑な領域です。また、AIが出した答えが妥当かどうかを見極めるにも、専門知識が欠かせません。

たとえば企業の買収(M&A)では、AIが財務のシミュレーションを瞬時に示すことはできます。しかし、両社のビジョンや企業文化の相性といった数字に表れない要素を調整し、合意形成を進めるプロセスは、人が担うほかありません。

公認会計士は、高度な会計知識を土台に、こうした調整や対話を担うプロフェッショナルです。定型作業をAIに任せられれば、その分、判断や対話といった本質的な業務に時間を充てられます。

日本公認会計士協会と理化学研究所の調査でも、監査業務はAIによる代替が難しく、技術の進化はむしろ会計士の役割を高度化させると分析されました。つまりAIは、会計士の仕事を奪うのではなく、その質を高める存在だといえます。

AI時代だからこそ公認会計士の価値が上がるポイントの表

AI時代でも公認会計士の報酬は上がっている!

仕事がなくならないだけでなく、公認会計士への需要は引き続き高い水準にあります。「年収は下がるのでは」という懸念は、実際のデータとは一致しません。

日本公認会計士協会の監査実施状況調査によると、平均監査報酬は2014年度以降、11年連続で増加しています。直近の2024年度は、監査報酬の総額が前年度より約5%増え、3,637億円と過去最高を更新しました。

背景にあるのは、会計や情報開示のルールが年々複雑になり、監査に求められる専門性が高まっていることです。AIに代替されない専門性への需要が高い状態が続いていることが、報酬水準を支えています。

国内の4大監査法人(Big4)の売上も近年は増加傾向です。会計士の代表的な職場である監査法人は、規模を拡大しています。

給与面も同じ傾向です。大手監査法人の初任給は月30〜35万円ほどで、これに賞与や残業代が加わります。人材の確保に向けて、給与水準の引き上げも進んでいるのです。

会計やお金に関する知識は、ビジネスが発展するほど必要とされます。監査報酬や給与の増加、専門職への投資が続いている事実は、公認会計士が今後も必要とされることの裏づけといえるでしょう。

国内の4大監査法人(Big4)の報酬のグラフ

これからの会計士に、求められること

ここまで見てきたように、公認会計士の仕事はAIでなくなるのではなく、その役割は変わり、広がっていきます。

これからの会計士に求められるのは、AIを使いこなす力と、会計の専門性の両方です。この2つを備えた人材の価値は、さらに高まっていくでしょう。

また、公認会計士は活躍できる領域が広いことも特徴です。監査法人はもちろん、コンサルティングファーム、事業会社の経理・財務・経営企画、税理士業務、独立開業など、専門性を活かせるフィールドは多岐にわたります。

AIと公認会計士について、よくある質問

今から目指しても、資格取得は無駄になりませんか?

無駄にはなりません。ここまで見てきたとおり、監査報酬は増加が続き、会計士の需要も高いままです。AIが普及しても、判断や責任を担う専門家の価値は下がりません。むしろこれから学ぶ人には、AIを前提とした働き方を最初から身につけられるという強みもあるでしょう。

公認会計士と税理士、AIの影響を受けやすいのはどっち?

どちらも記帳や申告書作成などの定型業務はAIで効率化されていく点では共通しています。ただし、どちらの仕事も「最終的な判断」や「顧客ごとの個別対応」は人にしかできません。優劣ではなく、AIに任せる部分と人が担う部分を見極め、専門性を高められるかどうかが、両者に共通して問われるポイントです。

AI時代に、公認会計士+αで持っておくと強いスキル・資格は?

会計の専門性に、ITやデータ分析のスキルを掛け合わせられると、AIを使いこなす側として一段と価値が高まります。グローバルに活躍したいなら、英語力やUSCPA(米国公認会計士)なども有効でしょう。「会計×デジタル」「会計×英語」といった組み合わせが、これからの時代の武器になります。

このほか、「独立・開業する会計士はAI時代に不利になる?」「AI時代のキャリアパスは?」「高校生・大学生など、これから学ぶ人にもおすすめ?」といった疑問も、基本的な答えは同じです。AIは、活かし方次第で会計士の頼れる味方になります

AIの時代だからこそ、会計士を目指す価値がある

スーツ姿の男女4名が清々しく空をも上げている様子

「公認会計士の仕事はAIに奪われるのか」「年収は下がるのか」。この2つの不安を、ここまでデータをもとに見てきました。

判断と責任を人が担い、AIには出せない価値を発揮できる公認会計士の仕事は、AIに奪われません。監査報酬は11年連続で増加し、初任給も上がっているように、報酬の面でも価値は高まっています。

AIの時代だからこそ、公認会計士の専門性はより大きな価値を持つでしょう。将来に不安を感じているなら、公認会計士はその不安に応えてくれる資格です。AI時代の一歩を、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

公認会計士を目指したい方は
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