USCPA(米国公認会計士)になるには? 出願・試験対策から資格取得までをまとめて解説!

USCPA(米国公認会計士)になるには? 出願・試験対策から資格取得までをまとめて解説!

監査法人だけではなく、国内外の事業会社や金融機関でも活躍が期待されているU.S.CPA。

米国の資格ですが、世界中から注目を集めており、日本でも受験が可能です。

しかし、州ごとに受験条件が異なり、受験までの手続きが複雑です。
USCPA試験を受験するには、どのような手続きが必要なのか、出願手続きからライセンス取得までの流れをチェックしていきましょう。

USCPAとは

USCPAとは、米国各州の会計士委員会が認定する公認会計士の資格。

米国の資格ですが、世界中に取得者がいます。

日本でも監査法人など会計や監査に関わる人たちだけでなく、国内外の事業会社や金融機関に勤める人も多く取得しており、業種や職種を問わず様々なフィールドで活躍できる資格です。

また、USCPA資格を取得すると、グローバルな就職の選択肢が一気に広がります。大手監査法人や税理士法人、コンサルティングファーム、海外展開している事業会社や金融機関などから引く手あまたになることは間違いありません。

任される業務は、監査、アドバイザリー、IPO、財務情報の開示、子会社の経営分析や経営管理、経理財務など、多岐にわたります。

参考:AICPA「2021 Annual Report on Oversight

USCPAの魅力

USCPA(米国公認会計士)を取得すると、国際的な評価と信頼性が得られます。

また、監査法人だけではなく、一般企業や外資系企業からの評価も高いです。そのため、グローバルなキャリアパスを描き、海外へ進出も可能になります。

USCPA(米国公認会計士)は、世界に通用する会計知識やビジネスで使える英語力がアピールできる魅力的な資格です。

USCPA資格の魅力を紹介!なぜ今、USCPAがアツいのか?

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USCPA試験

2024年1月よりスタートする新試験制度では、コアと呼ばれる必須科目が3科目、ディシプリンと呼ばれる選択科目が3科目あります。選択科目は1科目合格すればよく、計4科目に合格しなければなりません。

■必須科目:FAR(財務会計及び報告)・AUD(監査及び証明業務)・REG(米国連邦税法及び諸規制)

■選択科目:BAR(ビジネス分析と報告)・ISC(情報システムとコントロール)・TCP(税務コンプライアンスとプランニング)

1科目ずつ受験でき、科目合格の有効期間は受験日から18〜36か月※です。最初に合格した科目の受験日から18〜36か月以内※に残りの3科目に合格すればOKです。

ある科目の合格実績が失効してしまった場合、他科目の合格実績有効期間内に再受験し、合格する必要があります。

※州によって異なります

USCPAの試験科目・試験制度を徹底解説!

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USCPAになるまでの大まかな流れ

日本の公認会計士試験は学歴問わずどなたでも受験が可能ですが、USCPA試験は受験条件が州ごとに細かく決められており、受験するまでに様々な準備が必要です。

USCPA試験を受験するまでの、大まかな流れを確認しておきましょう。

出願

USCPA試験の受験条件は、州ごとに決められており、出願者の条件に応じて出願州を選択します。

また、「学位要件」と「単位要件」を満たす必要があります。

学位要件として、通常は四年制大学の学位(学士号)が求められます。州によっては、大学在学中や高卒・短大卒でも受験が可能です。

単位要件では、会計科目やビジネス科目で一定の単位を取得していることが求められます。

単位要件も州によってさまざまですが、日本人受験者の多くは四年制大学を卒業していても、会計単位が不足しているケースが一般的です。

まずは、出願の流れを確認していきましょう。

出願州の選択

受験条件を満たしやすい州を選択しましょう。

合格後は、4科目合格をした状態である「Pass(合格)」、米国公認会計士として実務をおこなうことが認められる「ライセンス」の2つに分類されます。

合格だけでも履歴書等への記載が可能になるため、転職やキャリアアップに活用できます。

一方、ライセンス取得には実務経験が必要です。

四年制大学卒業の学位をお持ちの方で、試験合格だけを目指すのであれば、アラスカ州やニューヨーク州がおすすめです。

ライセンスまで取得したい方は、ワシントン州かグアムがよいでしょう
※四年制大学卒業の学位をお持ちの方で会計関連の実務経験がある方はワシントン州、会計関連の実務経験をお持ちでない方は、Inactiveライセンスを発行しているグアムを選択されるとよいでしょう

実務経験は監査法人で会計監査業務を一定期間おこなうことが条件の州が多いです。ワシントン州やグアムは事業会社の経理や財務の業務でもライセンスを取得できるため、日本人の多くが出願しています。

また、日本人がライセンス取得を目指す場合、居住条件や米国社会保障番号の条件の有無を確認する必要があります。その意味でも、ワシントン州やグアムはおすすめです。

また、グアムのInactiveライセンス取得者は、名刺に「USCPA-Inactive」と記載できます。ただし、こちらは監査実務を行っていない会計士というタイトルです。

すでに監査法人に勤務している方やこれから外資系企業への転職などを考えている場合は、将来のライセンス取得を前提に出願州を選ばれた方が無難でしょう。

USCPA試験における出願州の選び方について解説

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受験条件を満たす

出願州を決めたら、学歴審査を受けなくてはなりません。大学や短大から英文の成績証明書と卒業証明書を取り寄せてください。

学歴審査手続きでは、本人確認のためパスポートのスキャンデータをアップロードします。

審査結果が出るのは、1か月半から2か月ほど。出願州へは学歴審査機関から直送されます。

学歴審査の結果を確認し、受験条件を満たしていない場合、受験できません(日本人受験生は、ご出身大学で取得した単位だけでは受験条件を満たしていないのが一般的です)。

会計やビジネスの単位が足りない場合は、専門スクールの提携大学の単位認定試験で必要単位を取得してください。例えばCPA会計学院ではご自宅のPCで単位認定試験を受験できます。単位認定試験の多くはUSCPA試験の学習範囲と重なります。

独学の場合、ご自身で米国大学等に入学し、会計やビジネス科目を履修しなければなりません。

複雑なだけでなく費用も時間もかかるので、専門のスクールで受験条件を満たされる方が効率的です。

出願

学歴審査機関での手続きを終え、提携大学で不足単位を取得し終えたら、いよいよ本試験の出願です。

出願手続きはNASBA(National Association of State Boards of Accountancy)のサイトからオンラインで行います。1科目ずつ出願できるので、学習を終えたものから順次出願してください。

出願から約1か月で受験票が発行されます。受験票の発行から6か月以内に受験しなくてはならないため、7か月以内に合格レベルに到達できる科目から出願しましょう。

2024年は新試験制度への移行の影響で、試験実施期間が短縮されるため、注意してください

出願には、出願手数料(Application fee)と試験料(Examination fee)がかかります。

州によって指定の学歴審査機関が異なりますが、学歴審査手数料は$100〜225(15,000~33,750円)、初回出願手数料が$ 155〜245(23,250〜36,750円)です。

2024年4月現在の受験料は1科目$344.80~$364.80(51,720〜54,720円)。日本国内で受験する場合は、さらに1科目$390.00(58,500円)の追加手数料(International administration Fee)がプラスされます。

※いずれも$1=150円で計算

受験

オンラインでの出願から受験票発行まで数週間かかります。

受験票を手に入れたら、試験会場を予約し、ようやくUSCPAの受験ができます。

学歴審査手続きに2~3か月、出願から受験票発行まで数週間かかるため、受験希望日の半年以上前から準備を進めてください。

受験票のダウンロード

受験条件があることが認められるとNASBAからメールが届き、受験票のダウンロードが可能です。

NTS(Notice to schedule)と呼ばれる受験票に記載された氏名のスペルを確認してください。

試験会場ではNTSとパスポートを提示します。NTSに記載された氏名がパスポートと異なると受験できませんので注意してください。

試験会場の選択・予約

受験票には、発行日から半年の有効期限が記載されています。期間内にテストセンターの予約を行い、受験してください。

2023年は年間を通じて受験できますが、2024年は試験制度の以降の影響で受験実施期間が大幅に短縮されるため、注意してください。

東京または大阪の試験会場で受験される場合、390ドルの追加手数料(International administration fee)の支払いが必要です。空席状況を確認の上、追加手数料を支払いましょう。支払完了後、試験予約ができるようになります。

受験する

試験はプロメトリックテストセンターのPCで実施されます。受験時の持ち物は「受験票」と「パスポート」です。パスポートが有効期間内のものであるか事前に確認しましょう。

当日は試験開始予定時刻の30分前にチェックインする必要があります。会場に入る前に、セキュリティーチェックなどがおこなわれます。

科目によって問題数は異なりますが、出題形式は四択問題と総合問題の2種類です。また、配点比率は四択問題が50%、総合問題が50%です。(選択科目のISCのみ四択問題が60%、総合問題が40%です)

合否発表

2024年は新試験制度への移行の影響で、試験実施期間と合格発表は通常と異なります。科目によっても異なるため、NASBAサイトを確認してください。

AICPAのウェブサイトを確認すると、合格発表日がわかります。合格発表の時間はNASBAのTwitterで確認ができます。

試験結果は、NASBA Application Dashboard に表示されます。

75点以上であれば合格。Score Noticeを確認してダウンロードしましょう。

不合格の場合は、Performance Reportを見ることができます。スコアの低かったトピックなどが記されているので、再受験に備えて確認しましょう。

なお、同一科目の再受験申請は、結果発表後に可能となります。

残り科目の受験

1科目が終了したら、受験日から18〜36か月以内(州によって異なります)に4科目取得しなくてはなりません。残りの科目の受験を計画的に進めましょう。

初回出願時は受験票が発行されるまで数週間かかりますが、以降の出願では5営業日以内に受験票が発行されます(過去に受験条件充足が証明されているためスムーズです)。

ライセンス申請・取得

18〜36か月以内(州によって異なります)に全4科目合格すれば、履歴書に試験合格の記載はできますが、ライセンスを取得しなければ、USCPAのタイトルを名刺に記載したり、米国の登録州で開業することはできません。

ライセンスを取得するには、学位要件と単位要件に加え、実務要件が定められています。州によっては居住要件や米国社会保障番号の所持などの要件もあるため、注意してください。

また、ライセンス取得者は継続教育が義務付けられています。ライセンス取得費用だけでなく、継続教育単位の取得費用といった維持費がかかることを覚えておきましょう。

働きながらの資格取得は可能?

USCPAは、学習時間が比較的少なく1科目ずつ受験できるため、働きながら合格を目指す方がほとんどです。学習者の9割以上が社会人です。

日本の公認会計士試験の学習時間は3,000時間~4,000時間。一方、USCPAは1,000~1,500時間が目安とされています。(日本の公認会計士試験学習経験者は400~600時間が目安)

会計の知識がない、英語力がない場合は、もう少し時間がかかりますが、それでも比較的短い学習時間でも合格が目指せるという特徴があります。

また、USCPAは1科目ずつ受験ができるので、ほとんどの受験生が仕事と両立しながら1科目ずつ受験しています。

USCPAは、日本語版のテキストが市販されておらず、受験条件を満たすことが難しいため、独学で試験合格を目指すのはあまりおすすめしませんUSCPAを目指すのであれば専門スクールに通われた方が効率的です。

CPA会計学院のUSCPA講座の強み

徹底した受講生サポート

公認会計士試験合格者及びUSCPA試験合格者が「常駐」し、学習方法から論点の質問まで、どのようなご相談でも講師から個別に回答が得られます。
質問方法は、対面・電話・Zoom・メールといつでもどこでもご質問いただけ、疑問点を持ち越すことなく学習を継続いただけます。

Guam大学と提携した単位取得プログラム

受験やライセンス取得に必要な単位はGuam大学で取得可能です。単位認定試験料は受講料に含まれるため、何科目取得しても追加費用はいっさいかかりません。

日本人のために開発したオリジナルテキスト

CPA会計学院は、日本の公認会計士試験で合格者占有率50.9% ※の実績
を誇ります 。そのすべてのノウハウをオリジナルテキストに取り入れました。

※合格者占有率算定方法について

※ CPA会計学院公認会計士試験合格者数786名は、2023年合格目標の初学者または再受験者対象のCPA本科コースを受講した方のうち、論文式試験に合格された方を対象としております。
※ 全体合格者数は、公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験の合格発表の概要について」に記載の論文式試験合格者数をもとに記載しています。
※ 令和5年公認会計士試験合格者数に占めるCPA会計学院公認会計士講座本科生論文式試験合格者の割合で算出をしています。

米国大手UWorld社と提携して開発したオリジナル問題集とUWorld Question Bank

日本人が効率的に学習できるようにCPA会計学院がわかりやすく解説したオリ
ジナル問題集に加え、本試験さながらの環境で問題演習が受けられるUWorld Question Bankの両方を提供します。

おわりに

USCPAは監査法人だけでなく国内外の事業会社や金融機関からの評価も高く、世界中から評価される資格の1つです。

USCPAは、大手監査法人や税理士法人、コンサルティングファーム、海外展開している事業会社や金融機関など、業種や職種を問わず様々なフィールドで活躍できる資格です。

USCPAは、州ごとに受験条件が異なり、全科目合格しても、名刺に記載するにはライセンスが必要になります。

USCPAは難易度の高い資格ですが、1科目ずつ受験できるため、働きながら合格を目指す人が多いです。

キャリアアップや転職を考えているのであれば、監査法人をはじめ国内外の事業会社やコンサルティングファームなどでの転職に有利なUSCPAにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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