多彩な学習方法で効率的な学習を可能に!在学中総合89位合格!—藤本 恭輔 さん

    【私が公認会計士を目指した理由】
セミナーで配布される図書カード目当てで話を聞きに行ったのがきっかけでした(笑)

――:よろしくお願いします。藤本さんは現在慶應大学3年生、慶應志木高校から慶應大学の法学部に進まれました。会計士の資格を知って、勉強してみようと思ったのはいつ頃でしょうか?

藤本:高校3年生の終わり頃に、CPAの国見先生が志木高にいらっしゃって「会計士とはどんな職業なのか」「会計士を目指すならCPAという予備校があるよ」というお話を伺う機会がありました。そのとき500円の図書カードを配布していたので、最初はその図書カード目的で話を聞きに行きました(笑)。

――:高校3年生の冬に国見先生から話を聞き、実際にCPAに通われたのはいつ頃ですか?

藤本:そのセミナーで、大学入学前の3月から無料の簿記体験講座が開講されることを伺って、大学に入学して何もやらないのはつまらないと思い、まずは講義を受けてみようと思いました。同じセミナーを受けた友達何人かと一緒に体験講座を受けて、そのまま会計士の勉強も続ける友達が多かったので、僕も一緒に会計士の勉強を続けました。

――:簿記3級の体験講座が終わって、みんなが「このまま会計士の勉強をやろう」という姿を見て、藤本さんもやってみようかなと思われたのですか?

藤本:高校3年生のときに、大学では何か一つ熱中できるものが欲しいと思っていました。大学受験して慶應大学へ進学してくる人たちは、たくさん勉強して大学に入ってくるけれど、僕たちのような内部生は一生懸命勉強したという達成感がないまま大学生になることに負い目のようなものを感じていました。

――:その熱中するものが会計士試験だと思ったのですね?

藤本:CPAを知って会計士の仕事に興味が沸き、簿記の体験講座が面白かったので会計士を目指すと決めました。ただそれだけではなくて、何か人と異なることがしたかったのです。体育会系の部活を一生懸命やっている人は沢山いると思いますし、CPAで公認会計士になる人も沢山いると思います。だったら両方やっている人は、目立つよな、カッコいいなと思いました。小学生からずっとバスケをやっていたこともあり、大学でバスケと会計士試験の両立を目指すことにしました。

――:藤本さんは法学部に在学されていますが、弁護士の勉強をすることは考えなかったのですか?

藤本:弁護士は考えなかったわけではないんですが、高校で国見先生が話してくれた会計士の仕事がとても魅力的だったので、目指すなら会計士の方がいいと思いました。あとは数学が好きだったこともあったので、会計士を選びました。

――:慶應大学に入学されて、すぐに準体育会のサークルでバスケを続けたということですが、バスケは週何回ぐらい練習していたのですか?

藤本:基本的には週2回ですが、大会前になると週3回程度練習していました。

【短答式本試験までのスケジュール管理】
「順位表に載りたい」という思いできっちり勉強することができました

――:CPAで高校3年生の3月に無料の入門講座を受講し、4月には大学へ入学して本格的に会計士の勉強を始めたということでした。CPA入学当時は大学1年生でしたが、大学では語学の授業なんかも結構ありますよね。更にはバスケの練習も週2,3回あるなかで、CPAの勉強は大変ではなかったですか?

藤本:大学では語学の授業が週4回あり、毎回出席していた授業はそのくらいでしたから、大学の授業に割く時間はそれほど多くありませんでした。テスト前に1,2週間しっかりテスト勉強をやる必要はありましたが、CPAではテスト期間中は講義がなくなり、テスト勉強に集中できるので、CPAの勉強で大学の勉強が疎かになることはありませんでした。

――:学習を開始すると最初は簿記や管理会計論の勉強が中心ですが、勉強はどこでやっていましたか?

藤本:講義のDVDは校舎で見て、そのあとの自習はずっと家でやっていました。

――:大学1年生の1月くらいにバスケサークルを少しペースダウンされたということですが、どうして少なくしたのですか?

藤本:CPAで1月の日程表を見たときに、簿記と管理だけではなく理論科目の講義が新たに始まり、答練も難しくなってきて、このまま週3回のサークル活動は難しいなと思い、週1回の活動に変更しました。でも、全く止めることはしませんでした。勉強だけをやっていても途中で飽きてしまうだろうし、逆にCPAの勉強がつまらなく感じてしまうと思いました。バスケもバイトも続けたかったので、1週間で1日だけ会計士の勉強から離れる時間を確保していました。

――:サークルやバイトの活動を残しつつも、時間的な問題から活動ペースを落としたのですね。1月以降はCPAにはどのぐらい通われていたのですか?

藤本:1月以降はほとんど毎日です。週5日以上校舎に通っていました。短答式本試験の直前期には週6,7日通っていました。

――:ほとんど毎日校舎へ来られていたのですね。

藤本:はい、1月から9月頃までは講義や答練を受けるためにCPAに通っていました。

――:講義はライブで見ていたのですか?

藤本:全部DVDで見ていました。

――:なぜDVDで受講していたのですか?毎日校舎に来ていればライブで講義を受けることができますよね?

藤本:確かにライブ講義では先生にすぐ質問しに行けるなどの利点もありますが、僕はサークルやバイトを続けながらの学習だったため、時間を有効活用する方に重きを置いていました。DVD受講なら自分の好きなペースで講義を視聴することができるので、一番僕に合った勉強法だと思ったからです。簡単な部分は早く進めることができるし、わからないと思ったらゆっくり進めたり、一度止めて考える時間を設けることができるので、そこがDVDの利点かなと思います。

――:確かに自分のスケジュールに合わせるためにはDVDでの受講は効率的ですね。ではDVD受講する上で、ライブの日程に遅れないような頻度で受講するなど、リリースしたら早めに見るなどの工夫はされていましたか?

藤本:答練は絶対ライブで受けようと思っていました。ライブで答練を受けるためにはライブ答練受験日までに試験範囲である講義を見終えていないといけないので、DVD受講でもライブで受けている受講生と変わらないスケジュールになるように意識して受けていました。

――:答練を必ずライブで受けるために、講義もライブと同じスケジュールで学習を進めていたのですね。カリキュラムから遅れたりすることはありませんでしたか?

藤本:計画的に進めていたので短答式試験の勉強をしていた時はなかったです。CPAの中でも「目立ちたい」、「順位表に載りたい」という思いが強かったので、ライブ答練を受けて順位表に載ることを強く意識していました。そのため答練が行われる日までを逆算して復習を終わらせ、日程表の通りに学習を進めることができました。

――:計画通り順位表には毎回載れましたか?

藤本:毎回は載ってないです(笑)。しかし、よく載っていた方だと思います。

【Studyplusを使った時間管理】
Studyplusを使って時間管理と勉強のバランスが偏っていないか確認していました

――:短答受験の頃に得意科目と苦手科目はありましたか?

藤本:計算科目が得意でした。あとは企業法も好きでした。企業法は暗記だとよく聞きますが、CPAのテキストを使って何度も読み返すうちに自然と覚えることができました。苦手だったのは、監査論です。監査論も暗記を必要とする部分はありますが、監査業務をイメージする力の方が大切です。僕はそのイメージができるようになるまでに時間がかかりました。しかし、苦手だからと暗記で乗り越えようとせず、時間がかかってもしっかりイメージできるようになるまで勉強したことが、後々の論文試験の勉強で大きく役立ちました。

――:なるほど。計画的に勉強することを意識されていたということですが、Studyplusは使っていましたか?

藤本:Studyplusを知ったのは大学1年の2月ですね。そこから8月の論文本試験までずっと使っていました。

――:ちょうど講義や答練が増えてきた時期で、勉強する科目も増え時間は管理した方がいいな、と思ったわけですね。実際に使ってみてどうでしたか?

藤本:とても使いやすかったです。Studyplusはストップウォッチ形式で学習時間を記録できるので、休憩のときに一時停止できたり、科目毎に色分けして記録してくれるので、僕が1ヶ月間どんなバランスで勉強していたのかがひと目で分かります。視覚的に学習状況を見ることが出来るので、今週は企業法の学習が少ないから来週は企業法を少し多めに勉強しよう、と学習計画を立てることができるので重宝していました。

――:Studyplusは自分の時間管理をサポートしてくれていたということですね。勉強計画はご自分で考えていたのですか?それとも先生に相談しましたか?

藤本:自分で考えました。よく「今日の目標まで勉強したら、その日の勉強はおしまい」というスケジュール管理の仕方を聞きます。でも僕はあえて1日のノルマを作らず、やれるときにとことん勉強するようにしていました。サークルや飲み会にも行きたかったので、そのために予定がない日は勉強に集中して、遊ぶときは勉強を意識せずに遊ぼうと切り替えを大切に勉強していました。そのため、あえて1日の勉強時間の目標は立てていないです。どうしても目標を立て、それを達成したら「ああ!もう今日はいいや」ってなってしまうので、日割りのノルマではなく答練での順位を気にするようにしていました。答練で上位をとるためには、今まで勉強した範囲を突き詰めていく必要があるので、集中できる日には15時間くらい勉強しました。

――:では答練の成績を保つことで、モチベーションを維持し、Studyplusを使って時間管理と勉強のバランスが偏っていないか、ということをご自分でコントロールしていたのですね。

藤本:はい。

【スランプ脱出方法】
計算の反復は本当に重要で、実際に解くことが大切だと実感しました。

――:1年生の1月以降や2年生のときは多いときで1日何時間ぐらい勉強していましたか?

藤本:1日に多くて12時間くらい勉強していました。短答式試験直前期は15時間くらい勉強していたと思います。

――:短答式試験直前期というと10月、11月あたりですね?

藤本:はい。当時は周りの受講生と比べても僕は勉強していた方だったと思います。

――:短答試験直前期も自習はご自宅で行っていましたか?

藤本:自習はずっと家でやっていました。

――:なるほど。直前期にはもう講義は全て見終わっていると思いますが、自分の部屋で1人で勉強して、孤独ではなかったですか?

藤本:CPAでは答練が定期的にあるので答練を受けに校舎へ通っていたため、ひとりぼっちだと感じることはありませんでした。たまにサークルの飲み会があったり、バスケも週1回は絶対に行くようにしていたので、息抜きはしっかりしていました。

――:短答模試はいい成績が取れましたか?

藤本:順位表に載るくらいの成績は取れていました。CPAの成績表は上位20位以上で名前が載るのですが、短答模試全3回のうち1回は総合順位で一桁も取りました。

――:優秀だったのですね。短答試験を受けるまでにスランプはありませんでしたか?

藤本:ずっと管理会計論が得意だったのですが、点数が大きく下がった時期がありました。その時の勉強を振り返ってみると、企業法や監査論の理論科目の勉強ばかりに時間を使っていて、管理会計論の計算をかなり疎かにしていました。

――:なにか修正策を考えたりしましたか?

藤本:計算の反復は本当に重要で、実際に解くことが大切だと実感しました。僕の場合は、テキストを読んでいても計算は全然頭に入ってこなかったんです。電卓を叩きながら勉強するやり方が僕には合っていました。何問も解いていくうちに、一回成績が落ちた管理会計論も再び上がりました。

【重要性と理解重視の学習】
理解した上で、重要なキーワードはしっかりと覚える必要があります。

――:CPAでは重要性と理解重視を謳っていますが、重要性に関して、それぞれ例題までA、B、Cが明示されています。藤本さんはこの重要性を参考にされて勉強していましたか?

藤本:A、B論点はしっかり理解しようとしていました。しかし本当に重要性を意識し始めたのは、論文式試験の勉強をするようになってからです。短答式試験のときは余裕を持って受かりたいと考えていて、合格ギリギリではなくて上位合格を狙い、もし本番で十分な実力を出せなくても合格できるラインまで仕上げようと、C論点も含めて勉強していました。論文式試験は短答式試験よりも長い文章を記述する必要があります。論文式試験においてはC論点まで全部暗記するのは時間も労力も足りないので、短答式試験合格後はA、B論点をとても重視していました。

――:なるほど。今暗記という言葉が出てきましたが、藤本さんは理解重視についてはどう思われますか?

藤本:最初に講義を受けたときや講義後の復習、直前答練までの答練では本当に理解が大事だと思います。そこでしっかりと理解できたら、あとは反復として問題を解いてくのが僕のスタイルでした。先程の管理会計論の計算の話もそうですし、企業法や監査論もテキストベースで教えられたことをしっかり身に付けて、あとは配られた短答問題集を5回転くらい回していました。まずは理解して、その後問題を解いて反復して定着させていくというやり方を取っていました。

――:最初に理解したらとにかく反復して定着させる、ということですね。範囲が広い試験ですから、繰り返し学習しないと絶対に忘れていってしまいますからね。

藤本:理解するだけで十分だと思って自分なりに納得してしまうのは違うのかなと思います。理解した上で、重要なキーワードはしっかりと覚える必要があります。

――:よく先生には質問されていましたか?

藤本:はい。本当に細かいところまで、わからないところは全部質問に行っていました。特に企業法が多かったです。

――:菅沼先生への質問が多かったのですね?

藤本:はい。あとは合格者チューターさんにもよく質問していました。

――:どのような内容を質問するのですか?

藤本:基本的な内容や調べればわかる内容は友達にも聞いていたので、あまり先生には質問していないです。しかし細かい論点だな、ここはわからなかったらやばいな、と思った論点は先生やチューターさんに質問していました。

――:CPAは講師がいつでも校舎にいるので、疑問点はすぐに解消されるのは本当に良かったですね。

藤本:本当にそう思います。この前も就職先の監査法人の内定者飲み会があって、僕がCPA出身だと言うと、他校出身の人も「CPAは本当に先生と距離感が近くていいよね」ということを言われました。

【短答式試験合格とその反動】
余裕を持って短答式試験合格までやってきたのに、最後の方は追い込まれてしまいました(笑)

――:短答式試験を受けて、手応えはどうでしたか?

藤本:これは絶対に受かったなと思いました(笑)

――:特にできなかったと思う科目もなく、全科目とも自信があったのですね。ではそこから今度は論文式試験を目指していくわけですが、先ほど言われていたように生活が変わったのですか?

藤本:一転しました。短答式試験が終わった12月~2月の勉強時間は本当に0に近かったです。

――:半年後の8月には論文式試験が待ち受けていますが、不安はありませんでしたか?

藤本:不安でしたが、短答式試験までずっと勉強していたということもあり、その反動で遊んでしまいました。

――:短答式試験まで頑張ってきて、本番で良い手応えを得て気が緩んでしまったのでしょうね。

藤本:当たり前ですがカリキュラムからは大きく遅れてしまったので、3,4月はその遅れを取り戻るのがとても大変でした。

――:他の論文受験生は租税法とか経営学の論文科目の講義をその時期に受けているわけですものね?

藤本:はい。モチベーションも上がらず、答練も全く受けていなかったので、短答受験の頃と大きく異なりました。短答式試験まではカリキュラムに沿って勉強して、全てライブで答練を受けて順位表に載ることを目標にしていましたが、短答合格後はスタートからカリキュラムに遅れてしまって、答練も間に合わず、僕の順位も僕が今どのくらいの位置にいるのかもわからなくなりました。負けず嫌いな性格なので、答練の順位を意識することで勉強のペースも保つ事ができていたのに、競うものがなくなってしまってモチベーションが全く上がらなかったです。

――:勝っているのか負けているのかもわからない状態だったということですね。

藤本:はい、そうです。

――:目標がなくなってしまった中でどうやって自分を律していったのですか?

藤本:CPAに行くと、友達は皆論文試験に向けて短答合格後も休まず勉強しているのに、僕はこのままじゃダメだ、という焦りが日に日に大きくなっていきました。皆と一緒に合格したいという思いから、スイッチが入りました。3月からは、講義を受けて答練を受けるという順番を崩さないように気をつけながら、一気に講義のDVDを見始めました。「ここまで講義が進んだらこの答練受けなければダメだよ」とスケジュール管理は先生から伺っていたので、講義の1~3回を見たら次は4回を見るんじゃなくて答練を受けるようにしていました。

――:なるほど。急いで講義だけを進めていくのではなくて順を追って学習を進めていったのですね?

藤本:そうです。遅れていた答練も全て受けました。

――:3月から新しく租税法、経営学の講義のDVDを見始めて、答練を受け進めていくのは大変ではなかったですか?1日どのくらいのペースで進めていましたか?

藤本:講義は1日2本が限界でした。2ヶ月くらい講義を猛スピードで受講していく生活でした。

――:では論文科目は1日講義を2本見て、4月までになんとかカリキュラムに追いついたということですが、その間の短答科目の論文対策はどうしていたのですか?

藤本:ほとんど何もやっていなかったです。特に簿記、管理の計算は本当に何もしていませんでした。

――:しかし先程仰っていた、定着するために定期的に問題を解いていく方法は取らなかったのですか?

藤本:租税法、経営学の講義や答練に大部分の時間を割き、企業法や財務諸表論も文章を書く練習をしないといけなかったので、計算まで手が回りませんでした。企業法に関しては短答式試験までは得意だったのに、論文では長い文章を書く対策をしてこなかったので、答練も全然点数が取れなくてとても不安でした。租税法、経営学の講義が見終わったあたりから、企業法と監査論、財務諸表論の理論科目の勉強に時間を使いました。そのときは論文対策集をずっと回していました。短答式試験の勉強時に理解をしっかりして土台は作れていたので、もう一度テキストを回すよりも論文対策集で、論文式試験ではどのような問題が出て、どのように解答をすれば点数が取れるのかというパターンを読み込んでいました。

――:あれだけ余裕あって短答式試験合格までやってきたのに、最後の方は追い込まれていたのですね(笑)。

【論文式試験の勉強方法】
暗記と言っても「何を」「どこまで」暗記すればいいか、が一番勉強方法で悩みました

――:4月になると、論文模試が始まります。模試の結果はどうでしたか?

藤本:全く自信がなかったです。特に企業法や監査論は自信がないまま受けましたが、それでもなんとか総合順位では順位表にも載ることができました。

――:論文式試験の勉強を始めてやっと周りと競える成績になって、モチベーションが上がりましたか?

藤本:そうですね。お陰で順当に、5~7月はしっかりと勉強できました。

――:5月以降どのように勉強していましたか?今度はどのくらい勉強時間を取っていましたか?

藤本:電車の中でもテキストは読めるので、電車の中でずっと企業法のキーワードを覚えたり、サークルに行く駅から体育館までの道中でもテキストを読んだりしてずっと勉強していました(笑)。

――:まるで二宮金次郎ですね(笑)。

藤本:歩いている時間で、問題の一つでもできるようにしようと思うくらい追い込んでいました。テキストで理解を強化して、試験で点を取るためのアウトプットとして論文対策集を回していました。

――:例えば企業の論文対策集は丸覚えしたのですか?趣旨を覚えるときに何条を使っているか、一言一句全て覚えていたのか、それとも大まかな構成を覚えたのか、どのように勉強していましたか?

藤本:細かい暗記ではなく、キーワードを中心に覚えていました。財務諸表論も企業法もこういう問題が出たら、このキーワードを使って答える、という形を覚えていました。

――:得点となるキーワードを覚えておけば、問題に出てきた時に解答を再現できるという感じですね。

藤本:はい。論文式試験は長い文章を書かなければならないので、解答文章の流れを見ていました。最初に何を書いて、次に何を書くかという文章構成が論文対策集には全部書いてあるので、そこを重点的に理解しようとしていました。

――:要となるキーワードとその文章構成を中心に覚えていたということですね?

藤本:簡単に暗記と言っても具体的に「何を」「どこまで」暗記すればいいかわからないということが、一番勉強方法で悩みました。会計士試験の2年半の学習の中で、一番勉強方法に悩んだのが、論文式試験の理論科目で長い文章を書くときに解答をどうやって覚えればいいのか、ということでした。

――:もし時間を戻せるとして、当時よりも時間的余裕があればやり方を変えたりしますか?

藤本:同じ方法でやります。やはりキーワードの暗記をしていく方法が、一番効率がいいと思います

――:テキストだけを回していく受講生もCPAでは多く拝見しますが、藤本さんの場合は論文対策集とテキストどちらも使っていたのですね?

藤本:そうです。論文対策集に載っていない内容はテキストを見て補っていました。テキストで論文の重要性がA、Bと載っているところは必ず論文対策集にも載っているので、短期間で一周することができる論文対策集を中心に回しました。テキストは、論文対策集に載っていない論点に付箋を貼って読んでいました。

――:論文式試験の勉強をしているときは、テキストや問題集に重要性が振ってあることは役立ちましたか?C論点とかはどのように勉強していましたか?

藤本:短答式試験の勉強の時と違って、時間も気持ちにも余裕がなかったので、重要性を意識して勉強していました。ただし、答練や本試験で良い順位をとるためにはC論点もやっておく必要があるので、本試験直前の8月にはC論点も回していました。C論点に関しては、時間を取って理解するというよりも、こう問われたらこう答えるという形で簡単に覚えていました。

――:少しでも触れておくと、本試験で問題を見た時に解答が頭の隅に記憶が残っていたりしますからね。論文直前期はどのくらい勉強をしていましたか?

藤本:そうですね。1日8時間だと少ないなという感覚でした。やはり1日10時間以上はやらないといけないなと思っていました。

――:短答式試験直前期は息抜きを設けたりしていましたが、論文式試験直前期では休みの日を作ったりせずに勉強していましたか?

藤本:試験直前の1ヶ月は休みなしで勉強していました。1日だけバイト先のバーベキューに参加したくらいです。

――:試験直前、最後の1ヶ月は焦ったりしませんでしたか?

藤本:もちろん焦っていました。

――:お話を聞いていると焦ったりしないかなと思っていました(笑)。

藤本:やはりこれだけ勉強したんだと思っても、いざ本番になったらどうなるかわからないので、時間が足りないという思いはありました。これは絶対誰もが思うのかなと思います。

【私のテキスト活用方法】
―Studyplus、暗記カード、携帯メモ編―

――:では続いてテキストの話をお伺いします。活用されていたStudyplusから拝見させてください。すごく勉強していますね。短答終わった後のこの落差もすごいですね(笑)アカウント名は公開してしまって大丈夫ですか?

藤本:是非みなさんに見せてください。僕はこのアカウント(きょーすけcpa)を今後も消さないので、参考になれば幸いです。

――:では次に暗記カードの方の話をお伺いします。

藤本:このカードは論文式試験のときに活用したのですが、試験を終えて、短答式試験のときからやっていればよかったな、と思います。

――:具体的にどのような用途で作っていましたか?

藤本:例えば租税法ですが、租税法は細かいところまで出題されるので、計算において不課税や非課税などの解く上でまず暗記しなければいけないポイントがあります。CPAではテキストに表でまとまっていますが、僕はただ読んでいるだけで、いざ答練に出てきてもこれは非課税と不課税どっちだったか、すぐに出てこないことがありました。それを改善するために、日ごろから問題形式で反射的に問題に答えられるような勉強がしたかったので、暗記カードを使っていました。

――:カードを活用するという方法は、CPAではあまり見ない方法ですね。

藤本:作るのが面倒くさいですからね。僕の場合は書けば覚えられるという思いもあって、暗記カードを作っているときから覚えようとしていました。短答式試験対策ならば、企業法は色々細かい論点があるので、カードを活用すれば効率的だったなと思います。財務諸表論でも引っ掛けるポイントは決まっています。問題集とは別に問題集でよく間違えているところとかを抜粋したりして作ったりなど、作りようによってはいくらでも作れると思います。

――:企業法とか財務諸表論なんかでも作っておけば良かったということですね?

藤本:短答式試験のときにも作っておけばよかったなと思います。短答式試験の方が問題数も多いですし、一問一答の○×問題ですから、むしろ短答式試験対策の方が暗記カードの特性にも合っている気がします。

――:この記事を見ている人に是非やってみたらどうかという提案ですね?

藤本:はい。けっこういいと思いますよ。お勧めします。

――:暗記カードはいつも持って歩いていたのですか?

藤本:はい、持ち歩きやすいのも利点です。電車の中でもポケットに入れておけば、満員電車でも見ることができます。あとは携帯のメモ機能も使っていました。間違えたところを次回から気を付けられるように、ノートにまとめることをみんなやっていると思います。それを僕は携帯のメモ機能でやっていました。

――:受かった人がどういう道筋でやったかは気になりますから、そういう工夫を教えて頂けるのはとてもありがたいです。

藤本:携帯のメモ機能のいいところですが、メモ機能は簡単に順番を入れ替えたり、削除や追記ができることがノート比べて良い点です。

――:確かにコピペ機能を使えば簡単に入れ替えられますね。

藤本:消しゴムも使わずにすぐに消したり、誤って消してしまってもまたすぐ見れますからね。このメモ機能も満員電車とかで見ていました。

――:なぜ暗記カードとメモ機能を使い分けていたのですか?

藤本:メモ機能は携帯でやっていたので、光をずっと見ていると目が疲れるんです(笑)。あとはLINEが来たりして携帯をいじってしまうので注意が必要です(笑)。実際、これを見て勉強していた短答式試験前はかなりLINEの返信が早かったはずです。

――:なるほど。気が散らないためにも暗記カードも活用していたのですね。

藤本:暗記カードは問題形式、メモ機能は注意点を書くという感じで使っていました。双方とも特性は異なるので、用途に応じて使い分けていました。

――:カードは問題形式にしていたのですね?

藤本:はい。一問一答のようにしていました。問題集よりももっと細かい問題チェックなどは暗記カードを使っていました。

――:そしてメモ機能は注意ノートというわけですね。

藤本:ここは気を付けようという論点をまとめていました。答練直前に見て、よく引っかかる論点を確認していました。

――:藤本さんのように暗記カードを使おう、という発想は案外出てこないような気がします。

藤本:きっかけは租税法の勉強をしていたときに、テキストを見ているだけだと全然覚えられなくて、何かいい方法はないかなと考えたときに暗記カードを作って、一問一答でやっていけばいいのではないかと思ったことでした。デメリットは暗記カードの作成そのものに時間をけっこう使ってしまう点です。

――:それでも、恐らく書いているうちに半分ぐらい覚えていますよね?

藤本:そうです。メモも書いていたら覚えていたという感じでした。

【私のテキスト活用方法】
―テキスト,問題集編―

――:テキストに何か工夫をしていたりしましたか?

藤本:テキストで一番心がけていたのは、問題集を解きながらテキストの該当ページを書くことです最初問題集を一周する時に、テキストの何ページにこの論点が書いてあったというのを書いていました。そうすると、問題集を解いていて分からなくなった時に該当ページがふられているのですぐ戻ることができます。

――:間違えた論点をすぐに復習できるのは便利ですね。

藤本:その他にも問題集を使うときに解いた日の日付と、解答できれば◯、できなかったら×と書いていました。3回連続〇だった問題は自分の実力になったと判断して、試験に出てきても得点できる可能性が高いので復習の頻度を減らし、何回も間違えている問題はまだ理解が不十分だとわかるので、重点的に復習するようにしていました。

――:効率よく勉強されていたのですね。

藤本:効率よく勉強するためにはこういった工夫が必要だと思います。僕は問題集を中心に回していたので、いかに効率良くできるかということを考えたら、ちゃんと毎回日付と◯×△を書いて、僕がいつも間違えるところは何回もやろうとしました。さらに日付を書いていれば、前回はいつ解いたのかがわかるので、どのくらい期間が空いているかをすぐに気付くことが出来るのも利点です。

――:苦労の跡ですね。確かにテキストの参照ページがあるとすぐテキストに飛べるのでいいですよね。やはりもう一回読んでおこうとテキストに戻ることはよくありましたか?

藤本:はい、勉強をしている際に周辺論点やこんな論点もあったなと振り返るためにもテキストに戻っていたりしました。テキストと問題集をリンクさせて勉強することは、テキストにも書いてあるくらい重要です。テキストで線が引いてあるところは重要であることがわかるので、重点的に学習できます。しかし、何も線を引いていないところは自習している時にけっこう飛ばてしまったり、読んでいても覚えるほど読み込んでいなかったりしています。そのときにテキストに短答問題集P.42の問題に出ていた、ということが書き込んであると、ここも問題されているんだと意識して勉強できるので読み飛ばしがなく学習できました。

――:ラインマーカーで線を沢山引いてリンクさせている受講生もいますよね。

藤本:やはり教材同士でのリンクは絶対にしなければいけないと思います。問題集とテキストはもちろん、答練とテキストも大切です。答練で出た論点ならば、問題集やテキストの小さい記載まで全てチェックを付けています。

――:そうすれば、答練であれが出ていたとすぐにわかりますね。

藤本:答練や問題集に出るパターンが全部できるようになったら、短答式試験は合格できます。そのため、CPAで出題された問題を全部できるようになれば合格できるようになるのだと思います。努力次第で短答式試験はどうにでもできると思っていました。

――:では論文式試験のときのテキストはどのように活用していましたか?

藤本:論文受験期に先生方は講義でテキストを回すことを推奨していました。しかし僕はテキストを見ていても、いざ問題が出されてどうやって解答の文章を作ればいいのか、よくわかっていませんでした。そこで、論文対策集ならばもともと論文式試験の解答用の文章になっているから、そっちを見た方が流れも文の構成も理解できるのでいいのではないか、と思いました。そこで先生に、テキストより論文対策集の方が勉強しやすいがこの勉強法で大丈夫か伺ったら、「理解がまだ追いついていない人はテキスト重視で回した方がいいけど、藤本くんは短答式試験のときに理解がしっかりできているので、論文対策集で回しても全然いいよ」とアドバイスを頂きました。しっかり理解ができているなら、論文式試験に向けて論文対策集を回す方法もあると思います。

――:藤本さんは成績もよかったし、順位表に名前が出ているぐらいだから、理解できているという判断のもと、論文対策集中心に回せばいいよと先生もアドバイスしてくれたわけですね。

藤本:薄い論文対策集は論文式試験合格のための効率的な学習には役立つと思います。

――:理解できていない人に限って薄い方に行ってしまったりするので、それは注意しなければいけないですね。

藤本:他にも経営学は本当にキーワード勝負なので、シートで隠したら消える緑色のマーカーで線を引いて勉強していました。

――:いろんな方法を使っていたのですね。

藤本:はい。企業法でも表が頻繁にテキストに記載されていますが、その表を緑にマーカーを引いて穴埋めにして勉強していました。今思えばそれを暗記カードでやっていれば視覚的に覚えてしまうのも防げるので良かったかもしれないですね(笑)

――:暗記カードにしてしまえば確かに順番を変えて勉強できるので視覚的に覚えてしまうこともありませんね。

【将来の公認会計士像】
僕は誰かを応援していくことを仕事としたいと思っています

――:藤本さんが監査法人トーマツに就職を決めた理由を教えて下さい。

藤本:大学時代、バスケサークルでプレーヤーをやりながらコーチもやっていました。コーチは個々のプレーだけでなく、全体を見なければいけないのですが、今まで経験したことが無く、Cチームを教えるときにA、Bチームの人と同じことを教えても同じようにはいかないことを学びました。そして、教えるからには僕自身がきちんとやり遂げないといけないという責任感も持つことができました。就活する際にそのような経験を振り返って、僕は誰かを応援していくことを仕事としたいと思うようになりました。
監査法人にはIPO支援業務という、これから成長していく企業を一緒に財務の面から支援し、企業の成長を見ることができる業務があります。バスケのコーチをしていた時も、教え子が成長しているのを見たときにすごく嬉しかったんです。僕が就職する監査法人では、企業の成長をそばで一緒に見る経験を積むことができると思いました。そして、そこにやりがいや喜びを感じられるなと思い、就職を決めました。更に人に教えることで僕も責任感を持てるような人になれるのかなと思います。

――:将来的にはIPO中心のことをやっていきたいと思っているのですか?

藤本:そうですね。監査法人に就職すると、会計士の資格を持った人はたくさんいます。その中で目立つためには、なにかのスペシャリストになりたいなというのがあります。まずはIPO関係のことをやりたいと思っていますが、その後社会経験を経て、なにをやりたいかを探っていくつもりです。もしかしたらコンサルタントかもしれないし、CFOかもしれない。まだわかりませんが、なにかしらのスペシャリストにはなりたいと思っています。誰でもできることではなくて、藤本でないとできないという様に求められる人材、そんな会計士になりたいなと思います。

――:やはり欲張りですね(笑)。オンリーワンになった藤本君に再会できる日を楽しみにしています。本日はどうもありがとうございました。

関連の合格者の声