公認会計士試験は、専門性の高い会計・監査の知識を問う国家試験です。
この数年は毎年2万人以上が出願し、合格率はおおむね7~10%台で推移しています。出願者が増加傾向にあることからも、将来性の高い資格として関心が高まっていることが分かります。
公認会計士試験の概要、日程、出題内容などについては、以下で詳しく解説しています。
公認会計士試験とは

公認会計士試験は、会計・監査の高度な専門知識を備えた人材を選抜する国家試験です。試験は金融庁の下に設置された公認会計士・監査審査会が実施しており、短答式試験と論文式試験という二つの形式で構成されています。いずれも会計実務に直結する内容が中心で、正確な理解と応用力が求められる点が特徴です。

試験の仕組みは次の通りです。
- 短答式試験は、マークシート式で広範な知識量とスピードが問われる。年2回実施され、合格すると次の論文式試験に進める。令和9年(2027年)から英語による出題が導入される。
- 論文式試験は深い理解と総合力が問われる。年1回実施され、最終的な合否が決まる。
合格後は監査法人などで実務経験を積み、日本公認会計士協会への登録を経て公認会計士として活動することが可能になります。そのため、公認会計士試験は「資格取得の入口」としての意味合いが強い試験です。
試験の実施機関である公認会計士・監査審査会は、出題範囲や合格基準を公表しています。これから試験にチャレンジする方は、事前に難易度や形式をチェックしましょう。
▶公認会計士試験に合格した後のキャリアや仕事内容については下記の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
『公認会計士の4つの仕事内容・キャリアと具体的な1日のスケジュール』
公認会計士試験の受験資格

公認会計士試験には、年齢や学歴、職務経験による制限がありません。
大学生や社会人はもちろん、高校生でも出願できる点が特徴です。資格取得に向けた入口が広く、幅広い層が挑戦しやすい試験といえます。
実際に、出願者には10代から社会人、さらには40代以上の受験生まで含まれます。年齢やバックグラウンドにとらわれず受験できる制度が、受験者数の増加につながっている側面もあります。公認会計士は「挑戦したいと思ったときに始められる」資格と言えるでしょう。
公認会計士試験の日程

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の二つで構成されており、それぞれの実施日は毎年あらかじめ公表されます。
短答式は12月と5月、論文式は夏(8月)に実施されます。短答式は年に2回開催されますが原則として出題内容にさほど違いはなく、どちらかに合格をすれば論文式試験へと進めます。
試験当日の流れやスケジュールは次の通りです。
<短答式試験>
短答式試験は、1日で4科目を受験します。午前に企業法と管理会計論、午後に監査論と財務会計論を解くタイムテーブルが一般的で、朝から夕方まで続く比較的長丁場の試験です。
<論文式試験>
論文式試験は、3日間にわたって実施されます。
・1日目に監査論と租税法
・2日目に会計学(管理会計論・財務会計論)
・3日目に企業法と選択科目
という構成で行われるのが標準的なスケジュールです。
いずれも複数科目を連続して受験するため、本番を想定した時間配分や体力面の準備も重要になります。
毎年の実施日や願書提出期間は、公認会計士・監査審査会が公式に公表しています。試験場は各試験期日の約1ヵ月前に発表されるなど、受験を検討している場合は、必ず公式サイトで最新の案内をご確認ください。
試験日程や願書受付期間は下記の公式ページにまとめられています。
▶︎『公認会計士試験 試験実施情報(お知らせ・スケジュール)』
公認会計士試験の内容

公認会計士試験で実施される短答式試験と論文式試験は、どちらも会計・監査の専門知識を確認するための試験ですが、求められる力や出題形式が大きく異なります。
それぞれの特徴や違いは次のとおりです。
短答式試験
短答式試験は、マークシート方式で実施される基礎知識の理解を広く確認する試験です。幅広い範囲から出題されるため、重要論点をまんべんなく学ぶことが必要になります。
対象科目は次の四つです。
- 財務会計論:簿記、財務諸表論など
- 管理会計論:原価計算、業績管理など
- 監査論:監査制度、監査基準など
- 企業法:会社法、金融商品取引法など
短答式試験は4科目合計500点満点で、総点数の70%前後を基準に合格基準が定められます(年度ごとに若干変動します)。
また、いずれか1科目の得点が満点の40%に満たないなど、特定科目の成績が極端に低い場合には不合格となる仕組みも設けられています。単に合計点を伸ばすだけでなく、「どの科目も一定水準以上を安定して取れる状態」に仕上げておくことが重要です。
令和9年(2027年)第Ⅰ回試験より、財務会計論、管理会計論、監査論の3科目で英語による出題が導入されます。
| 短答式試験の概要 | |
|---|---|
| 解答方法 | マークシート式 |
| 合格基準 | 総点数の70%を基準として審査会が認めた得点比率を採用 (1科目が満点の40%を満たさず、かつ原則として答案提出者の下位から33%に該当する人と同一の得点比率に満たない場合は不合格にできる) 令和9年(2027年)第Ⅰ回試験より、財務会計論、管理会計論、監査論の3科目で英語による出題を導入 |
| 試験科目 | 財務会計論・管理会計論・監査論・企業法 |
| 参考時間割 | 9:30~10:20:企業法 11:15~12:30:管理会計論 13:45~14:35:監査論 15:30~18:00:財務会計論 |
参考:令和8年公認会計士試験の施行
参考:公認会計士・監査審査会「令和8年公認会計士試験受験案内」
論文式試験
論文式試験は記述方式で行われ、短答式よりも深い学習内容が出題されます。応用力と論理的思考が問われるため、知識を単に覚えるのではなく、事例に合わせて考え方を組み立てる力が必要です。
対象科目は次のとおりです。
- 会計学(財務会計論・管理会計論)
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目(経営学・経済学・民法・統計学から1科目)
論文式試験は、会計学が合計300点、それ以外の科目が各100点という配点で構成されます。合格基準は、総点数のおおむね54%前後を基準に毎年設定され、こちらも年度により多少の変動があります。
さらに、いずれかの科目で得点比率が40%を下回る場合には、不合格と判断されることがあるため、苦手科目でも一定以上の点数を確保し、全体としてバランスのよい得点を目指す必要があります。
| 論文式試験の概要 | |
|---|---|
| 解答方法 | 記述式 |
| 合格基準 | 54%を基準として審査会が相当と認めた得点比率を採用 (得点比率が40%に満たない科目がある場合は不合格にできる) ※激変緩和の観点から、論文式試験の合格基準は、令和9年試験より3年から4年かけて段階的に引上げを行う。 |
| 試験科目 | 監査論・租税法・会計学(管理会計論・財務会計論)・企業法・選択科目(経営学・経済学・民法・統計学) |
| 参考時間割 | 1日目 10:30~12:30:監査論 14:30~16:30:租税法 2日目 10:30~12:30:会計学(管理会計論) 14:30~17:30:会計学(財務会計論) 3日目 10:30~12:30:企業法 14:30~16:30:選択科目 |
参考:公認会計士・監査審査会「令和8年公認会計士試験受験案内」
公認会計士試験の合格率と難易度

公認会計士試験は、国家資格の中でも難易度が高い試験として知られています。この数年で出願者は2万人を超えており、試験への関心は高まり続けています。
近年の最終合格率は7%台で推移しており、厳しい競争を突破する必要があります。
合格率の推移は次の通りです。
- 2020年:10.1%
- 2021年:9.6%
- 2022年:7.7%
- 2023年:7.6%
- 2024年:7.4%
- 2025年:7.4%
2020年~2025年の6年間の平均合格率はおおよそ8%台で推移しており、長期にわたって難関資格として位置づけられていることが分かります。難易度が高い理由には、「出題範囲の広さ」と「基礎から応用まで幅広く問われる構造」などが挙げられます。
参考までに、同じく難易度が高いと言われる資格をみてみると、司法書士試験は合格率が約5%台前半、税理士試験は科目合格制ではあるものの各科目の合格率が10~20%前後とされています。
合格率の数字だけを比べると、公認会計士試験だけが突出して難しすぎるというわけではないものの、継続的な学習と計画性が不可欠な試験だといえるでしょう。
公認会計士試験に合格するには

公認会計士試験は、出題範囲が広く、基礎から応用まで段階的に理解を積み上げる必要があります。そのため、独学だけで合格を目指すことは難しいとされています。特に論文式試験では、解答の組み立て方や重要論点の優先度など、専門的な学習方法が求められます。
公認会計士試験に合格するために必要な学習時間には個人差がありますが、一般的に「合計3,000~3,500時間程度」が一つの目安とされています。
目標とする受験期間ごとの勉強時間のイメージは次のとおりです。
- 1年で一気に合格を目指す場合:1日あたり約8~9時間の学習
- 2年計画でじっくり合格を目指す場合:1日あたり約4~5時間前後の学習
学校や仕事と両立しながらこの時間を確保するのは簡単ではありませんが、あらかじめ必要なボリューム感を把握しておくことで、自分に合ったペース配分や学習計画を立てやすくなります。
最新の試験実施情報や過去の試験結果については、公認会計士・監査審査会の公式サイトをご覧ください。
『公認会計士・監査審査会 公式サイト』
