
公認会計士の知見とファンド
一般的な監査法人の業務は、企業が開示した情報に対して信頼性を付与するという現場のビジネスを支える役割を担うものであるため、公認会計士は実際のビジネスの現場で活躍することを志し、転職を検討することもあります。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)は、投資家から資金を集め、有望な未公開株や不動産などの資産に投資することで利益を創出する組織であることから、公認会計士がPEファンドへの転職を考える場合、監査業務を通じて培われた分析力やビジネスへの洞察力が有効に活用できるため、キャリアの親和性は非常に高いといえます。
PEファンドにおいて投資意思決定を担うための十分な知見を習得するためには、監査法人で、どのような視点を持ち、どのように能力を伸ばしていくことが望ましいのでしょうか。

投資家目線を意識する
監査法人における業務は、企業が作成した情報、すなわち過去の業績に対する信頼性を保証する役割が強い一方で、投資家が関心を寄せるのは、自らが投じた資金が将来どの程度の利回りを生み出すかという点にあります。
そのため、業務を通じて未来志向の考え方を養うことは、キャリアを築くうえで大きな支えとなります。
語学と国際感覚
せっかくの機会なので英語力を培うことも重要です。せっかくの機会として、世界の動きをこまめにPEST分析※する習慣を身につけることをおすすめします。
また、BBCなどの海外メディアから直接情報を得ることで、より正確で多角的な視点を養い、国際感覚を磨いておくことをおすすめします。
※PEST分析とは特に企業が経営計画を立てるときに用いられる、世の中の置かれている状況を概括的に把握するための指標。PESTとはPolitical, Economical, Social, Technologicalの4つの頭文字を合わせたもの。
コミュニケーション能力
PEファンドの業務は資金を投じることが中心であるため、投資に値する企業であるかを見極めることやその経営者との関係を構築することは重要です。
人脈は一朝一夕には築けないため、時間をかけて多くの人と積極的に関わる姿勢が求められます。
自分の成長が社会貢献に直結
投資家から資金を集め、有望な未公開株や不動産などの資産に投資することで利益を創出するPEファンド。その最大の魅力は、世界的な企業や産業に影響を与える規模の投資案件に関与できる点にあります。
もちろん、その資金は投資家、つまり他者から集めたものであるため、業務上のプレッシャーは非常に大きいものの、成果を上げた際には高い報酬を期待できる職種でもあります。
PEファンドに入社すると、まずは「アナリスト」という肩書が与えられることが一般的です。アナリストは、直接投資の責任を負うわけではなく、投資対象企業や経済の分析を通じて投資判断を支援する役割を担います。
職位を上げていき、ディレクターやパートナーと呼ばれる立場になると、報酬2000万円以上を実現できます。
PEファンドの年収は、業績などに応じて成果報酬やボーナスが付与されることが一般的であり、基本給以外の割合が非常に高いのが特徴です。特に、外資系大手ファンドのパートナー層では、キャリードインタレスト(成功報酬)の分配を含め、年収が2億円規模に達するケースもあります。
なお、本ページの内容では外資系のPEファンドを主に紹介しましたが、国内のPEファンドにおいても報酬水準は総じて高く、例えば英語に苦手意識がある方は、国内系PEファンドを選択肢に入れることも可能です。
※本ページに記載の年収レンジは公開情報やエージェント資料に基づく参考値です。報酬はファンド規模・役職・成果・成功報酬の有無によって大きく変動します。





