
IPO請負屋だけが会計士CFOのキャリアではない
公認会計士がCFOのオファーを受ける際に特に期待されることが多いのが、IPOの達成です。IPOに必要な業務の多くは、公認会計士が監査法人で培ったノウハウを活かして対応できるためです。
そのため、公認会計士としてCFOに就任し、IPO達成時にストックオプションを受け取った後、また別のスタートアップ企業のCFOとしてキャリアを歩む事例もあります。このように、複数の企業のIPOを成功に導くキャリアは確かに魅力的だと言えます。ただ、上場後の企業成長をさらに推進するCFOのキャリアも、仕事のスケールや報酬の幅が大きく広がるので、こちらのキャリアも大きな魅力があると言えます。
CFOとして長期的に企業に貢献することを目指すのであれば、公認会計士としての知識に加え、さらなる研鑽が求められます。資金調達のスキームやM&Aに精通する必要があるほか、株主との関係性にも十分な配慮が必要です。また、現時点で株主ではない機関投資家であっても、例えば生命保険会社など、将来的に自社の株式を大量に購入してくれる可能性のある投資家との関係を築くことも重要となります。
CFOにとって企業の成長と自身の成長は表裏一体の関係にあります。研鑽を積み重ねることで得られる成果はさらに大きくなり、その醍醐味を存分に味わうことができるでしょう。
会社のステージによって報酬幅は大きく異なる
IPO(新規上場)前の企業に経営参画した場合、IPO達成時のストックオプションによる報酬は数千万円から数億円規模に達するケースもあります。また、上場後も企業が成長すると、当該報酬は何倍もの価値になります。このように、本来的なCFOの業務の醍醐味は、自らの手腕を発揮して資金を調達し、企業の成長を大きく加速させる点にあります。一般的な企業は、今後3年間を見据えた中期経営計画を策定し、その実現に向けて従業員一人ひとりが業務に取り組んでいます。
CFOがその計画の立案において中心的な役割を担うことは言うまでもありませんが、特に注目すべきなのは、計画達成のためにどのような「切り札」を切るかという点です。
例えば、3年後までに売上を100億円増やす必要があるとします。その場合、営業人員や生産体制の増強が求められ、そのための資金調達はCFOの重要な役割の一つです。しかし、その手段は多岐にわたります。むしろ、リスクを負って工場を建設するよりも、すでに100億円規模の売上を持つ企業を見つけ、買収するほうが迅速な成長戦略となる可能性もあります。
一方で、企業が他社を買収するチャンスがあるということは、逆に他社から買収を仕掛けられる可能性も否定できません。望ましくない相手に企業が買収されることを防ぐためには、日頃から株主への適切な配慮が不可欠です。これは単に心理的な配慮にとどまらず、配当を通じた利益還元や、業績の向上による株価の継続的な上昇など、株主が長期的な利益を享受できる環境を整えることが求められます。これもまた、CFOにとっての重要な使命の一つです。
そんなCFOの報酬は、企業のステージによって大きく変動します。例えば、創業間もない企業では、十分な報酬を支払うことが難しい場合も場合もありますが、企業が成長するにつれて報酬は増加する傾向にあります。これは、CFOとして背負う責任の大きさに比例した結果とも考えられます。CFOにとって、企業の成長と自身の成長は切り離せない関係にあるのです。
会社のステージとCFO報酬のイメージ
| 上場後 | 2000万〜4000万/年 ※企業規模や成果によっては株式報酬を含め数億円規模に達するケースもあり |
|---|---|
| 新規上場 IPO | ストックオプションによる臨時収入 1000万〜数億円 |
| 成長期・ 上場準備期 | 500万~1000万/年 |
| 創業期 | 300~500万/年 |
※本ページの報酬レンジは公開情報・転職エージェント調査・有価証券報告書に基づく参考値です。実際の水準は企業規模・資金調達状況・成果・株式報酬の有無などによって大きく変動します。





