USCPAとは~試験概要・取得の流れ・魅力を解説~
U.S.CPAとは、アメリカ各州の会計士委員会が認定する公認会計士資格のことです。USCPAの正式名称は、United States Certified Public Accountantで、日本語では「米国公認会計士」となります。
USCPAは、国際的な会計基準や英語力といったビジネスパーソンに必須のスキルが証明できる資格として世界で高く評価されている国際資格です。
国際的なビジネス資格として世界でも有名な資格ですが、USCPAがどのような資格なのか、具体的に知りたいという方も多いのではないでしょうか。
USCPA資格の取得を検討されている方へ、試験の概要や資格取得までの流れ、取得のメリットなどを紹介します。
USCPAとは
USCPAは、その名のとおり米国の資格ですが、世界中の人達がチャレンジしており、国際ビジネス資格の最高峰といわれています。
米国では、1896年にニューヨーク州にて公認会計士制度が創設され、1917年に初めて公認会計士試験が実施されました。
日本でも会計や財務にかかわる業種や職種の方だけではなく、キャリアアップを目的に取得を目指す人も多いです。
就職や転職にも有利ともいわれており、性別や年齢を問わず多くの方がUSCPA資格の取得を目指されています。
USCPAとは、どのような資格なのか見ていきましょう。具体的な業務内容もご紹介します。
USCPA資格の定義
USCPAとは、米国各州会計士委員会が認定する公認会計士の資格です。
USCPAを取得した人は、世界150カ国以上、約40万人。日本では2011年から東京御茶ノ水と大阪中津のプロメトリックテストセンターで受験できるようになりました。
公認会計士は、医師や弁護士と並び、三大資格と呼ばれています。
米国公認会計士の業務
公認会計士の主要業務は、監査業務。これは公認会計士のみが行える独占業務です。
米国公認会計士の活躍の舞台の1つに監査法人があります。監査法人では監査業務だけでなく様々なアドバイザリー業務を行っています。
ただし、日本の監査報告書へのサインは日本の公認会計士資格が必要です。
日本では、USCPA資格取得者の多くは、日系又は外資系の一般事業会社や金融機関等に勤めており、活躍の場は多種多様です。
国際会計基準IFRSの導入や上場企業の内部統制監査の義務化などの影響により、一般企業でも財務会計や監査の専門知識を持つ公認会計士が求められています。
USCPA試験の概要
日本の公認会計士試験の合格率は、10%以下になることも珍しくありません。
USCPA試験に合格するには、会計知識だけでなく英語力も必要ですから、どのような試験なのか気になりますよね。
試験は全米統一試験のため、出題範囲や難易度はどの州に出願しても変わりません。ただし、受験条件は州によって異なります。
USCPAを受験するにあたって、難易度や合格率、受験条件など、試験の概要をくわしくチェックしていきましょう。
試験の構成と科目
USCPA(米国公認会計士)試験は、必須科目3科目【FAR(財務会計及び報告)・AUD(監査及び証明業務)・REG(米国連邦税法及び諸規制)】と選択科目3科目【BAR(ビジネス分析及び報告)・TCP(税務コンプライアンスとプランニング)・ISC(情報システムとコントロール)】のうち1科目、合計4科目を受験し合格する必要があります。
最初に合格した科目のスコアリリース日から、18〜36か月以内※に残りの3科目に合格すればOK。
それ以上経過してしまった場合は、失効した科目を再度受験し、18〜36か月以内※に4科目合格すれば問題ありません。
※州によって異なります。
試験の難易度や合格率
合格率は、各科目で多少の差はありますが、50%前後です。各科目99点満点、75点以上で合格となります。
日本の公認会計士試験に比べると、難易度がそれほど高くないと感じてしまう合格率ですが、これは全世界の合格率。
母国語が英語ではない日本人の合格率は、こちらよりも低く、おおよそ40%です。(※2019年実績)
また、日本の公認会計士試験は受験条件がなく誰でも受けられる試験です。
一方、USCPA試験は州ごとに受験条件が定められており、大学で会計を専攻された方が受験することが多いことも、合格率が高い理由の1つです。
合格率が高いからといって、難易度が低いわけではないため注意しましょう。
参考:AICPA「Learn more about CPA Exam scoring and pass rates」
受験資格と出願方法(受験料)
USCPA試験の受験条件は、州ごとに決められていますが、「学位要件」と「単位要件」の2つを満たさなくてはなりません。
学位要件として、四年制大学の学位(学士号)が求められます。日本の4年制大学でも問題ありません。州によっては、大学在学中の方や高卒・短大卒でも受験が可能です。
単位要件では、会計科目やビジネス科目で一定の単位を取得していることが求められます。
日本人のUSCPA講座の受講検討者は、会計単位が不足している場合が多いですが、ほとんどのUSCPAスクールは米国大学と提携しており、会計やビジネス単位の取得が可能なので安心してください。
2024年4月現在の受験料は1科目$344.80~$364.80。日本国内で受験する場合は、さらに1科目$390.00の支払いが必要です。
このほかに州によって異なりますが、学歴評価手数料が$100〜225、初回出願手数料が$ 155〜245程度かかります。
USCPA資格取得の流れ
USCPAは、まずは自分の条件にあった出願州を選び、出願時に受験料を支払います。そして、出願から数週間で受験票が発行され、受験票に記載された有効期間内(6か月)に試験会場を予約し、受験します。
受験条件のない日本の公認会計士試験よりも複雑で、受験できるまで、半年ほどかかることもあるので、早めに手続を進めなくてはなりません。
学歴審査や単位取得などの準備もあるため、しっかり受験手続の流れをおさえておきましょう。
出願州選択
自分の学歴や経験などに応じて、出願州を選択します。
出願する州と受験地は関係ありませんが、州によっては日本で試験が受けられない場合があるので注意しましょう。
受験条件で見ると、必要な会計単位が少ないアラスカ州やニューヨーク州は受験しやすいと言われています。
米国公認会計士と名乗るには、試験合格後にライセンスを取得する必要があります。ライセンス条件は州によって異なり、実務要件や居住要件などがあります。
日本人受験者には、監査実務経験や米国居住条件などのないワシントン州やグアムのライセンスが人気です。
学歴審査
出願州を決めたら、大学や短大から英文の成績証明書と卒業証明書を取り寄せ、学歴審査機関へ送付します。
学歴審査機関ではご出身大学で取得された学位や単位について審査します。USCPA試験で利用する主な学歴審査機関はNIESまたはFACSですが、出願州によって指定の学歴審査機関が異なるため、事前に確認しましょう。
学歴審査手続では、本人確認のためパスポートのスキャンデータをアップロードします。
成績証明書や卒業証明書が旧姓である場合は、戸籍抄本や婚姻届受理証明書が必要です。
審査結果が出るまでに、平均で1か月半から2か月ほどかかります。結果は、学歴審査機関から出願州の事務局へ直送されます。
単位取得
学歴審査の結果を確認し、単位が足りない場合は、追加で単位を取得します。
多くの国内の専門スクールでは、米国の大学と提携し不足単位を取得するためのプログラムがあります。
CPA会計学院ではGuam大学と提携しており、ご自宅のPCでのWebテストで必要な単位を取得できます。
CPA会計学院では、USCPA試験の合格に必要な知識の習得と大学の単位取得を並行して効率的に進められるプログラムが組まれていますが、独学の場合は、ご自身で米国等の大学に入学して必要単位を取得するため、手間だけでなく多額の費用がかかります。
非常に複雑で時間を要するため、専門のスクールで受験条件を満たす単位を取得するほうが効率的でしょう。
出願
書類が出願州に届き、審査完了の連絡がきたら、出願しましょう。
多くの受験生は科目ごとに出願します。まとめて4科目出願することも可能ですが、受験票の有効期間は6か月しかないため、あまりおすすめしません。
初回の出願では受験票が届くまで数週間かかります。受験票には、発行日から半年の有効期限が記載されているので、期間内にテストセンターを予約しましょう。
日本で受験する場合は、追加費用を支払うと東京と大阪の試験会場が選択できるようになります。
休業日をのぞき、年間を通じて受験が可能です。ただし、土日は予約が多いため、土日での受験を考えているのなら、早めに申し込みましょう。
2024年の新試験制度 実施スケジュール
必須科目(FAR・REG・AUD) | 選択科目(BAR・TCP・ISC) | |||
---|---|---|---|---|
試験実施日 | スコアリリース | 試験実施日 | スコアリリース | |
2024年1Q (第1四半期) | 1/10~3/26 | 6/4 | 1/10~2/6 | 4/24 |
2024年2Q (第2四半期) | 4/1~6/25 | 7/31 | 4/20~5/19 | 6/28 |
2024年3Q (第3四半期) | 7/1~9/25 | 11/1頃 | 7/1~7/31 | 9/10 |
2024年4Q (第4四半期) | 10/1~12/26 | 2025年2月初旬 | 10/1~10/31 | 12/10 |
受験
受験日になったらテストセンターへ。PCのモニターに問題が表示されるので回答していきます。
出題形式は、「MC(Multiple Choice)/ 四択問題」と「TBS(Task-Based Simulation)/ 総合問題」の2種類。科目によって問題数は異なりますが、点数配分は四択問題が50%、総合問題が50%となっています。(選択科目のISCのみ四択問題が60%、総合問題が40%)
テストレットと呼ばれる問題群に分けられており、同一のテストレット内であれば問題を行き来できます。
しかし、次のテストレットに進んでしまうと、その前のテストレットには戻れないので注意しましょう。
試験時間は1科目4時間。テストレットは1〜5までありますが、次のテストレットに進む前に休憩を取ることも可能です。
テストレット3と4の間では15分の休憩があり、試験時間には含まれません。その他のテストレットでは試験時間が経過します。
残り科目の受験
1科目が終了したら、残りの科目の受験を計画的に行いましょう。18〜36か月以内(州によって異なります)に残りの3科目の合格を目指さなくてはなりません。
初回出願時は受験票が発行されるまで数週間かかりますが、以降の出願では5営業日以内に受験票が発行されます。(過去に受験条件充足が証明されているためスムーズです)
同一科目の再受験は、結果発表後に可能です。
USCPA資格の魅力・取得のメリット
USCPAを取得すると、さまざまなメリットがあります。近年は、専門的な会計や税務の知識だけでなくITやファイナンスなど、ビジネスパーソンに必要な知識を持つことを証明する資格として、監査法人、税理士法人、国内外の事業会社、コンサル企業などでのニーズが増加しています。
会計や財務のプロフェッショナルであることに加え、英語力のアピールができることも大きな魅力の1つです。
さらに、キャリアアップにつながることやグローバルなキャリアパスが開けることなど、さまざまな魅力があります。
国際的な評価と信頼性
米国だけではなく、さまざまな国の人が取得しているUSCPA。
米国公認会計士試験は世界18か国以上で実施されており、米国のみならず国際的な評価と信頼が得られる資格です。
日本以外では、インド、中国、韓国、中東諸国の受験生が多く、年々米国以外からの受験者が増え続けています。
グローバルなキャリアパス
USCPAは、とくに外資系企業からの評価が高いです。
日本だけではなく、世界に通用する会計基準の知識があると認められるため、グローバルなキャリアパスを描くことができます。
幅広い業界での活躍
USCPAを取得すると、自社でのキャリアアップのみならず、監査法人やコンサルティングファームへの転職を目指すことも可能となり、活躍の場が広がります。
また、取得するまでに時間も費用もかかる資格であることから、向上心がある努力家の印象もあり、好感度もアップするかもしれません。
USCPA資格は独学で合格できる?
USCPA資格は、勉強時間が1,000〜1,500時間と言われています。
会計の学習経験者や英語力に自信のある方など、独学での試験合格を検討される方もいらっしゃるでしょう。
また、独学のほうが費用を抑えられるのも魅力的です。
しかし、独学はハードルが高いといわれているUSCPA。
その理由は、専門のスクールで取得を目指したほうが、明らかに短時間での試験合格が可能だからです。
出願には単位要件が必須
日本の公認会計士試験と違い、USCPAは、受験条件が複雑。出願するには単位要件を満たさなければなりません。
単位取得のパートで説明したように、単位が不足している場合、ご自身で米国等の大学に入学し会計科目やビジネス科目の単位を取得しなければなりません。
多くの専門のスクールでは、提携している米国の大学があるため、講座を受講しながら必要な単位認定試験を受けるだけで受験条件を満たす単位をスムーズに取得できます。
効率よく受験するには専門スクールに通ったほうがよいです。
翻訳された教材が市販されていない
USCPAの日本語版のテキストは、市販されていないため入手が困難です。
英語力があっても日本語版のテキストがないのは不便です。また、理解できない問題が出てきても相談もできません。
専門のスクールであれば、日本語のテキストで勉強ができ、サポートも受けられます。
学習ノウハウが広まっていない
USCPAは、日本語版テキストがないだけではなく、独学での学習の進め方に関する教材がありません。
USCPAは、難問はあまり出題されませんが、学習範囲が広いことが特徴です。
独学で合格することは不可能ではありませんが、専門スクールが提供する教材で効率的に重要論点を学習した方が早期の合格を目指せます。
CPA会計学院のUSCPA講座の強み
徹底した受講生サポート
公認会計士試験合格者及びUSCPA試験合格者が「常駐」し、学習方法から論点の質問まで、どのようなご相談でも講師から個別に回答が得られます。
質問方法は、対面・電話・Zoom・メールといつでもどこでもご質問いただけ、疑問点を持ち越すことなく学習を継続いただけます。
Guam大学と提携した単位取得プログラム
受験やライセンス取得に必要な単位はGuam大学で取得可能です。単位認定試験料は受講料に含まれるため、何科目取得しても追加費用はいっさいかかりません。
日本人のために開発したオリジナルテキスト
CPA会計学院は、日本の公認会計士試験で合格者占有率50.9% ※の実績
を誇ります 。そのすべてのノウハウをオリジナルテキストに取り入れました。
- ※合格者占有率算定方法について
-
※ CPA会計学院公認会計士試験合格者数786名は、2023年合格目標の初学者または再受験者対象のCPA本科コースを受講した方のうち、論文式試験に合格された方を対象としております。
※ 全体合格者数は、公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験の合格発表の概要について」に記載の論文式試験合格者数をもとに記載しています。
※ 令和5年公認会計士試験合格者数に占めるCPA会計学院公認会計士講座本科生論文式試験合格者の割合で算出をしています。
米国大手UWorld社と提携して開発したオリジナル問題集&Web問題集とUWorld Question Bank
日本人が効率的に学習できるようにCPA会計学院がわかりやすく解説したオリ
ジナル問題集&Web問題集に加え、本試験さながらの環境で問題演習が受けられるUWorld Question Bankの両方を提供します。
おわりに
USCPAは、日本の公認会計士試験と比べると、合格率は高いですが、合格率だけで難易度を見極めてはいけません。
日本の公認会計士試験は資格や学歴問わず受験が可能です。
反対に、USCPAは、日本と比較して、受験条件を満たすのが難しく、もともと知識が豊富で、しっかり学習している受験者が多いため、合格率が高くなります。
また、USCPAは州によって受験条件が異なります。
高い英語力や会計の知識を持っていても、受験までの流れが複雑なため、効率的に合格したいのであれば、独学ではなく専門のスクールへ通うことをおすすめします。
学習時間も長く、忍耐力も必要ですが、USCPAを取得すれば、キャリアパスが広がり、多くの人から高い評価を受けることでしょう。
今後は、国際会計基準など、ますます英語を使用した会計の知識が求められるシーンが増えていくことが予想されます。
活躍の場を広げたい人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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