
- AirTrunk Japan Operating合同会社
- シニアファイナンスディレクター
経歴
2003年
公認会計士試験第2次試験合格後、中央青山監査法人入所
あらた監査法人(元:中央青山監査法人)を経て、ゴールドマン・サックス証券にてコントローラー業務に従事し、その後東京共同会計事務所にて会計税務アドバイザリー、新規事業開発等に従事。
2012年
事業会社へ転職
GE(GEキャピタル・ジャパン及びGEヘルスケア・アジアパシフィック)とフィリップスにて財務会計と管理会計の両面及びプロセス変革をリード。
2018年
UiPath日本法人の取締役CFO就任
コーポレート機能を統括し立ち上げとNYSEへのIPO準備を担う。現職はデータセンター開発運営のAirTrunkのシニアファイナンスディレクター。
日本および米国の公認会計士資格とCMA(Certified Management Accountant)を有する。
神戸大学経営学部卒、MBA(McGill University)。
Q1.草地さんがUSCPAを取得した背景を教えてください
もともと、仕事にある程度慣れてくると次のキャリアに向けた準備を考え始めるタイプでした。
事業会社に転職して数ヶ月が経ち、業務に慣れて効率化が進み、自身の業務負担を軽減できた段階で、仕事の傍らで何かに取り組もうと考えたのがきっかけです。
職務経歴書的に言えば、勉強が終わる頃には2〜3年の職歴が積み上がり、そのタイミングで資格欄に「USCPA」が加わることで、バリューが高まると考えました。
結果的に、それがキャリアの選択肢を広げることにつながりました。
Q2.USCPAを取得して変わったことはありますか?
日本の公認会計士(JCPA)の資格を持っていたため、資格を取得したことで劇的な変化があったわけではありません。
ただし、USCPAの学習を通じて得た知識や考え方が非常に役立っています。
例えば、アメリカのビジネスでの考え方や、英語表現への理解が深まったこと。また、体系的に学習することで、勉強した範囲を超えて考え方の土地勘のようなものを養えたことも大きいです。
こういったものはJCPAの学習だけではなかなか得られにくかったように思います。特に、USCPAの試験範囲はJCPAと比較してより実務寄りにアップデートされていて、理論と実践のバランスが取れている点が印象的でした。
一方で、「資格を取らなくても勉強するだけで良いのでは?」という意見もありますが、資格取得という明確な目標があるからこそ、合格をモチベーションに計画的に学習できるという側面もあります。

Q3.USCPAはキャリアに役立ったと感じますか?
転職を何度か経験しましたが、当時はUSCPAが採用側でどの程度評価されていたのかを測ることはできませんでした。
ただし、採用側の立場になった今、USCPAの価値を強く感じています。
USCPAの取得は、少なくとも以下の2点を証明するものだと思います。
一つは、向上心と主体的な学習姿勢です。USCPAを取得するには一定の学習努力が求められるため、資格を持っていること自体が、自己成長への意欲を示すものになります。
もう一つは、体系的な知識と実務への応用力です。USCPAの学習を通じて、全体像を把握しながら実務に取り組む力が養われます。特に、組織内では理論的な視点を持つ人と実務に精通した人が補い合うことで、より効果的なチームワークが生まれます。
そのため、採用する立場から見ると、USCPAの資格はとても有意義なものだと考えています。
Q4.日本の公認会計士試験合格者がUSCPAを取った方がよいか本音で聞かせてください。
取った方がよいと思います。
USCPAの資格がキャリアにマイナスに働くことはなく、費用や時間をかける価値は十分にあると考えます。
ただし、「日本の会計士試験より簡単なんでしょ」と考える人には、決して甘くはないという点を伝えたいです。試験範囲や形式が異なり、それなりの学習量が求められます。
しかし、ゼロから学ぶよりは、JCPAの知識がある分、大きなアドバンテージがあるのも事実です。
取得するのであれば、JCPAの学習内容がまだ鮮明なうちに取り組む方が効率的でしょう。
また、当然ながら若いうちに取得する方が、活用できる時間が長くなるため有利です。

Q5.日本の公認会計士・公認会計士試験合格者へメッセージをお願いします。
今の時代、キャリアのゴールを過度に明確に設定、固定しすぎない方が良いと考えています。
以前は「この目標に向けて段階的にキャリアを築く」といった考え方が主流でしたが、今後の環境変化を予測するのは難しい時代です。
10年前に設定したキャリアプランに固執するよりも、その時々で「面白そう」「やってみたい」と思うことを軸に柔軟にどんどん挑戦する方が、結果的にズレのないキャリアを築けるのではないでしょうか。
その中で、USCPAのような資格は、確実にキャリアの可能性を広げてくれる存在です。
キャリアを考える際には、リスクとチャンスの両方をしっかり分析し、業界の流行や企業のブランドに流されず、自分がどこにでもシフトできる柔軟性を持つことが大切です。その点で、資格取得は大きな武器になります。
一方で、JCPAの資格を持っているからこそ、転職後のキャリア形成で課題に直面することもあります。
特に、事業会社に転職した際、「会計の専門家」としての役割が期待され、固定化し、アカウンティング業務から抜け出しにくくなることがあります。
そのような状況では、「自分には他の素養もある」という点を示すことが重要です。
アカウンティング以外のスキルは、書籍で学ぶだけではなく、実際の業務経験の中で吸収していくことが求められます。資格取得といった座学だけでなく、現場で学ぶ姿勢を持ち続けることができれば、JCPAやUSCPAの知識を活かしつつ、より多様なキャリアパスを築くことが可能になります。
JCPAやUSCPAの知識を活かし、さまざまな分野で活躍されることを期待しています。