専門性と信頼性のある企業コンサルタントになりたいと思い公認会計士を目指した-許斐達博さん

医師の両親を見て、安定していてチャレンジしやすい国家資格のメリットを知った

――:許斐さん。本日はよろしくお願いいたします。

許斐:よろしくお願いいたします。

――:会計士を知ったこと、また目指そうと思ったのはいつ頃なのですか?

許斐:目指そうと思ったのはおそらく高校2年生ぐらいだったと思います。まずコンサルタントになりたいというのが最初のきっかけでした。

――:なぜコンサルタントだったんですか?

許斐:個人や企業の成長に貢献できるような人間になりたいと思ったからです。そのときにいろいろ調べてみると、コンサルタントは何の資格も無く、名乗れば全員コンサルタントだというところにちょっと疑問を抱き、なんかそういうのは嫌だなと。専門性と信頼性を身に付けたコンサルになりたいと思っていろいろ調べた結果、会計士を知りました。また、会計士を目指したもう一つの理由が、両親が医者であることです。

――:医師は国家資格の取得者ですね。

許斐:そうです。医者は国家資格じゃないですか。国家資格のメリットというのは、安定していて、最悪何かにチャレンジして職を失ってももう一回戻って来られる、ということを両親から学んで会計士を目指そうと思いました。

――:なるほど。高校2年生でコンサルタントになりたい。なるならちゃんと資格とかの裏付けが必要ということで、さらに会計士になれば国家資格だから、最悪の場合でもずっとやっていけるということですね?

許斐:はい、そういうことです。

――:じゃあ大学に入学されてから、すぐに勉強を始めたんですか?

許斐:私は指定校推薦で早期に大学に合格したので、正確には卒業する前の高3時に、簿記の2,3級講座を受けていました。大学が始まる前からやっていた、というのが正しいのかも知れないです。

――:なるほど。推薦入学や附属生の方は、その時期から勉強を始められる方が多いですよね?

許斐:ちゃんと始めたのは会計士講座が始まった4月からです。というのも、国公立の受験もしていたため、3月まで大学受験の勉強をしていました。

――:そうなのですね。

許斐:結局3月まで大学受験の勉強をしていて、一気に卒業式、引越、卒業旅行、そして大学入学式だったので、3月の間は一切簿記の勉強はできなかったです。

――:なるほど。じゃあもう簿記2、3級講座どころじゃなかったのですね?

大学入学と同時にCPAの2年速習コースでスタート

許斐:そうですね。私はもともと2年速習コースで、カリキュラムとしては大学2年の5月、8月に受かる予定だったんですよ。そうすると、カリキュラムも初めから遅れていて、遅れながらスタートしたという感じです。

――:なるほど。2年生で受かろうと思った理由は何かあるのですか?

許斐:留学をできたらしたいなと思っていたのも1つです。そうすると早く合格するのがいいのかなという考えと、早期合格で自信も付けたいなという考えもありまして、2年生で受かりたいと思いました。

――:入ったときに、CPAの先生から、まだ大学1年なので、大学3年の合格を目指す2年スタンダードを勧められませんでしたか?

許斐:言われなかったですね。でも後々聞いてみると、意外と2年速習コースで入学した人は多くて、僕の周りだけでも僕含めて4人います。なので、意外と多いと思いますね。

――:なるほど。実際勉強を始めてみてどうでした?

許斐:講義が重かったです。

――:講義はライブですか?DVD受講でしたか?

許斐:全部DVD受講でした。

――:DVD受講にした理由があるのですか?

許斐:あります。ライブ講義のマイクに慣れてなかったのです。後ろのスピーカーと先生の声がちょっと被りますよね。あれが苦手でした。また、わからないところを巻き戻したりできるのがDVDの良さだと思っていて、それでDVDにしました。まぁ遅れてスタートしたので、ライブ講義がもう終わっていてDVDでしか受けられなかったというのがありますね(笑)。

――:倍速とかでDVDを見ていたんですか?

許斐:そのときは等倍でした。

――:どうして等倍なのですか?

許斐:等倍にした理由は、倍速にすると聞き飛ばしたりするじゃないですか。それで戻そうとしたときに煩わしいので。また、巻き戻してもう一回再生したときに3秒とかちょっと飛ぶんですね。それが嫌で等倍で聞いていました。倍速は早くてちょっと慣れないですね。

――:音が速すぎて?

許斐:速いのと、講義は難しい内容じゃないですか。それをものすごく速いスピードで喋られると、脳が追いつかなかったです。

CPAの講師が作ってくれた個人別スケジュール表で学習をスタートさせた

――:ちょっと遅れてスタートしたということですが、そのペースで学習することは自分で決めていたのですか?

許斐:CPAの先生に相談して、1ヵ月分ぐらいの個人別のスケジュールを作ってもらっていました。

――:これはCPAの特徴だと思うのですが、講師が個人別日程表を作ってくれるってCPAだけですよね?

許斐:そうですね。

――:でも大学1年生だとやっぱり大学の講義もありましたよね。最初、始めたときはどんな生活だったのですか?

許斐:1年生の頃は基本的に大学には毎回行っていました。

――:1年生ですので大学の講義は多いですよね。

大学1年の後期は、あえて語学以外の大学の授業を選択せずに、2年生の5月短答式試験の合格を目指した

許斐:大学1年生の前期は基本的に大学の授業をメインにしていました。2年生の5月短答式試験合格を目指すために、後期に大学の授業を取るか、大学の授業を入れずに5月短答式試験を目指すか、どちらか最良か考えました。1年生で単位をとれなくても、3年生や4年生で単位を取れば良いので、2年生の5月に短答式試験にチャレンジしても、そんなに損失はないなと思いました。なので大学1年の後期は、基本的に授業をとらず、語学以外のあまり重要性の高くない講義は行かなかったです。

――:1年目は1日何時間ぐらい勉強されたのですか?

許斐:本当に隙間時間という隙間時間はほぼCPAの勉強に使っていました。真剣に勉強している時間は、8時間から10時間はやっていたような気がしますね。

――: 最初から8,10時間はやられたのですね。答練も講師が作成したスケジュールで受けていたのですか?

許斐:はい、そうです。

――:答練の成績は順調にいっていましたか。

許斐: 悪くはなかったと思います。最初の答練は毎回上位の方だったのですが、短期間でバーっと簿記と管理会計論をやって、その後は理論科目を勉強しました。そうすると、簿記と管理会計論を忘れてしまって、その後監査論、財務諸会計論の理論、企業法と科目が増えるに連れて、その場その場ではできていたのですが、だんだんと他の科目も忘れていきました。復習の時間がなくて、しっかりした復習ができませんでした。

初めての短答式試験はダメだった。そこから、重要性の高い論点の精度を完璧にする大切さを学んだ

――:インプットの時間が無くなってしまったのですね。そういうとき、効率的に勉強をやるという意味で、重要性がCPAのすべてのテキストには付されているのですが、参考にされましたか?

許斐:2年生の5月に受ける段階では、重要性はそこまで意識していなかったですね。考慮し始めたのが、2年生の5月短答式試験がダメで、次の12月に向けて勉強し始めたときに、重要性を意識し始めました。

――:全範囲を全科目回す大変さにきづいたのですね?

許斐:そうです。あと重要性の高いところの精度を高めるのも大事で、重要性の高い順に全て完璧にしていくよりは、重要性の高いところの精度を完璧にしていくというようなイメージです。精度という面で重要性は考慮していました。

――:なるほど。より出やすいところの精度を高めるという意味では、段階を付けることができて、Cはそこまで精度は上げなかったということですね?

許斐:重要性A・B論点しかやらないではなく、一応A、B、C全部やって、精度はA、B、Cの順番で押さえていきました。

CPAのテキストは理解を重視していた。独学でも学習が出来そうなくらい理解しやすかった

――:結果として網羅性も担保したのですね。もう1つCPAでは理解重視ということで、必ず暗記するのではなくて、理解重視を大切にしています。テキストも理解しやすいように作成しています。

許斐:テキストの理解しやすさは感じましたね。最悪独学でもできるんじゃないかとは思うくらい理解しやすかったです。講義を受けた後は質問しろ、とは言われていたのですが、正直質問もあまり思い浮かばず。質問したいところがあればするのですが、出てこなくて。理解できているつもりなのかもしれないですけど。そのくらいテキストはすごく理解させるようにできているなと思いますね。

――:そういう意味ではわかりやすくて、スッと頭に入ってくるテキストだったと。なるほど。ちなみに得意科目や苦手科目はありましたか?

許斐:理論科目は企業法以外得意でした。財務諸会計論の理論と監査論は得意でしたね。

――:どうして企業法は得意ではなかったのですか?

許斐:企業法は講義を受けるだけ受けて、復習がおろそかになっていました。そういうことがあって不得意になってしまいました。

――:回す時間が足りなかったのですね?

許斐:そうです。そういう意味で苦手でした。やらなかっただけなのですが。

初めての5月短答本試験は残念な結果に。直ちに切り替えて12月短答本試験の上位合格を目指した

――:実際に5月の短答本試験を受けてみて、実力を出せましたか?

許斐:模試と変わらず、全体で50%でした。

――:じゃあもう一歩だったのですね。5月短答式試験後、すぐに切り替えられましたか?

許斐: そのときの自分の状況もわかっていましたし、すぐに切り替えられました。次の日からは、圧縮講義を受けました。自分はまだいけるなと、これが自分の実力ではないと思っていたので、しっかりやればもっと上位で合格できると思いました。

――:でも最初の目標は5月でしたよね。立てた目標から遅れたというストレスはなかったですか?

許斐:そのとき自分は大学1年の秋で、大学に行かずにCPAの勉強に特化していた時期で、なかなか点数も伸び悩んで、復習も出来てないということで挫折を経験しました(笑)。自分はこんなもんなのかなと。

――:これ挫折と言うのでしょうか?目標が高すぎるのではないかと(笑)?

許斐: 目標は高いと思います。本来の目標は2年生の5月→8月で受かることではなく、在学中に会計士になることでした。そのため、すぐに切り替えられましたね。絶対受かってやるという気持ちで。

――:翌日からどんな勉強をされたのですか?

許斐:管理会計論で足を切られてしまったので、管理会計論の圧縮講義を全部受けました。受け直して、苦手意識を無くしました。それでも点数はそこまで取れなかったのですが、とりあえず足切りはまずないなというレベルにはしました。得点を稼げはしないけど、平均ぐらいかなという、足は絶対切らないレベルです。

――:得意科目はありましたか?

財務会計論の理論はCPAの佐藤先生の講義で、監査論はCPAのテキストのイメージで1度読んで自分のものに

許斐:財務会計論の理論と監査論は得意でした。短答式試験だけでなく論文式試験まで得意でしたね。

――: どうして得意になれたと思いますか?

許斐: 財務諸会計論の理論の佐藤先生の講義が好きでした。面白くて、理解させようとしているのがすごく伝わりました。テキストを読んでというより講義で納得しました。監査論に関しては、講義でというよりテキストで納得しました。それで苦手意識を持つことなくすぐに得意科目になりましたね。

――: 財務諸会計論の理論も監査論も、CPAの講義やテキストがわかりやすかったのですね?

許斐:はい。監査論はイメージが付きやすく、1回自分の感覚に合致して理解できれば、絶対に忘れないなという感じでした。財務諸会計論の理論は本当に理論的で、ロジックという感じでした。ロジックをなぞらえることができれば、答えも書けました。

――:多くの受験生は、監査論はふわっとしていてわからない、全然つかめない。財務諸会計論の理論もわかりそうでわからなくて、最後まで苦手という人が多いです。もしそういった受験生の方たちにアドバイスするとすれば、どうアドバイスしますか?

許斐: 監査論は、講義をしっかり受けてイメージして、テキストを使って文章に落とし込んで理解して反復する。先生の講義を聞いて、テキストを読み込めば基本的にはできると思います。あとテキストをサラサラ読むのではなく、太字や言い回しに注意して読むことが大切だと思います。

――: 最後は、テキストを使って理解することが大切なのですね。

許斐:理解は本当に大事ですね。

――:監査論の齋藤先生のテキストはすごくわかりやすかったのですね?

許斐:他校のテキストを見てないので何とも言えないのですが、見てないなりにも、一番いいのではないかなと思います。これ以上どう理解させるつもりなのだろう、と思うくらい完成していると思います。

――:なるほどね。財務諸会計論の理論についてのアドバイスはありますか?

許斐:財務諸会計論の理論に関しては、簿記と対応させて理解を深めていました。そうすることによって、計算の理解も深まり、点数も安定してきました。テキストの作り方としては、先生が文章を読んで、それに先生が言ったことを肉付けしていく感じでした。それで理解も深まったという感じです。

――:じゃあ講義を聞いていって、先生の一言をテキストにメモっていくことで完成させたということですね?

許斐:はい。先生がテキストを読んでいるときに、先生が「ここ覚えてくださいね」と言うと、自分の言葉じゃなくて、先生の口調通りに「ここ覚えてくださいね」と先生の言葉をそのままセリフのようにテキストに入れていくと、読み返したときに講義がフラッシュバックしてきます。そういった工夫もしていました。

――:2回目の受験となる12月短答式試験の答練について聞かせてください。12月短答式試験のときは、答練をちゃんとペース通り受けていましたか?

許斐:はい、ペース通りに受けていました。

――:そのときは講師に個別の答練日程表とかを作ってもらったりはしていなかった?

許斐:そうですね。正直、最初の大学1年生から論文式試験まで、答練はスケジュール通りにいった部分もありますが、講義という面では一個もスケジュール通りにいった記憶がなくて。それこそ最初はもちろん遅れていたので、最初から最後まで全てスケジュール通りじゃないですし。2年の5月から2年の12月に向けても、一応全て講義は終わっているので、圧縮を好きな時に自分の好きな講義を見るという感じでした。もうここは自由でしたね。

――:なるほど。そのときも等倍で聞いていたのですか?

許斐:圧縮講義も等倍です。講義もガイダンスも受けるもの全て等倍速でした。倍速で聞いた講義は一個もないですね。

――: 12月短答式試験に向けての模試の成績はどうでしたか?

許斐:模試は合格点を超えていたのですが、合格点を超えていただけなので、合格率はおそらく70%ぐらいかなと思っていましたね。50%から70%の間の確率だろうと。

――:許斐さんの性格的に、もっと高い合格率を目指そうとはしなかったのですか?

許斐:そのとき、まだ簿記の精度があまり高くなくかったので50%から70%だと思っていました。簿記の重要論点はできていたのですが、B論点でもC論点でも出題されやすいところはありますよね、そこをやっていませんでした。だから模試でも自分が得意で、重要なところは全部できて、点数も上がったのですが、B論点とかC論点で自分の精度が低いところが出たりするとできなかったです。点数もかなり下がってしまいました。そういうことがあり、簿記で足を引っ張ってしまっているなと思っていました。

――:どのような修正行動を取りましたか?

許斐:そのときは、簿記を強化するのは時間がかかると思ったので、理論科目である程度カバーしようと思いました。簿記は苦手論点を克服するというより、今できる論点の精度を高くしようという方向性でやっていました。

――:会計士の試験は分量もあり、全部を得意にするのは大変ですよね?

許斐:最初に2年速習コースで合格を目指し、そのまま完成されていない状態で2年生まで進んでしまったので、もう一回そこからやり直しという感じです。なので、人一倍時間がかかったという感じがしますね。

――:じゃあ今こうやって試験が終わって振り返ってみると、急がば回れじゃないけど、2年速習コースとは違うコースを選択すべきだったと思いますか?

許斐:もしやり直すとしたら、2年の5月じゃなくて2年の12月を目指します。要はCPAの2年スタンダードコースで目指します。高校3年生の推薦入試が終わった12月から会計士の勉強ができているとしたら、5月を目指していたと思うのですが、僕の場合は4月から本格的に勉強を始めたので、それを考えるとやはりもう一回5月は目指さないですね。もし本当に指定校推薦者で12月から勉強できますよとか、内部進学者で12月から勉強できますという場合は5月を勧めるのですが、普通に一般受験して、大学1年の4月から始めるという場合は、お勧めはしませんね。

――:なるほど。大学生が目指すには、2年スタンダードコースがちょうどいい長さで、それに合わせた方がいいなと?

許斐:そうですね。本当にそう思います。

万全を期した12月の短答式本試験。結果は不合格だった。その時思ったことは…。

――:ありがとうございます。わかりました。2年の12月の短答式試験、本番はどのぐらいできましたか?

許斐:2点足らずで落ちてしまいました。

――:その時の心境はどうでしたか?

許斐:そのときは、やっぱり悔しかったです。受かるとは思っていたので、前回の5月のときより悔しかったです。でも悔しかったのですが、この次の8月の論文式試験に合格すれば、別に5月でも12月に受かったのと全く結果変わらないし、スタートも一緒だなと思いました。そのため次の5月短答式試験は絶対に上位で合格しようという目標を立てました。それで3年生の5月短答式試験を目指しました。

――:2年生の5月に合格してやろう、次の2年生の12月に合格してやろうと思って頑張ったにもかかわらず、ダメだったときに多少凹みましたか?

許斐:そのときは凹まなかったんですよ。というか、大したことではないなと思い込みました。別に自分の目的は変わらないし。途中の経過がどうあろうと関係ないなと。

――:ちなみに3年生になり、大学の講義はどうされたんですか?

許斐:出席を取らない授業を多めに選んだりしてCPAの勉強に集中できるようにしていました。

――:なるほど。2年生では結構大学の授業は取ったのですね?

許斐:はい、けっこう多めにとりましたね。

――: 2年生の12月短答式試験がダメだったときに、勉強はすぐに始められたんですか?

許斐:そのときの勉強量が一番多かったかもしれません。

Studyplusで時間を計測してグラフにしてみて、自分の学習時間の偏りを修正した

――:どのぐらい勉強されたのですか?

許斐:机に向かっている時間は少なくとも10時間とかだと思います。多くても12時間。でも実際にStudyplusのストップウォッチで測ってみると、8時間とか、多くて10時間なんですよね。座っている時間と実際に手を動かしている時間は、実はけっこう差があるということに気付きました。

――:その差の時間は何をしていたのですか?

許斐:準備したりとか、トイレ行ったりとか、若干休憩したり水飲んだりとか。休んでいる感覚ではなかったですが、実際勉強してない時間というのは、10時間やったら2時間ぐらいあるものなのですよね。

――: Studyplusを付けてみようと思った理由はありますか?

許斐:そうですね。勉強量を増やすという目的ではなく、コンスタントに毎日同じ時間続けていこうという目的でとりました。毎日同じ時間、どのくらいできているのかというのを調べるためにStudyplusを始めましたね。

――: Studyplusをつけたことで、気付かない自分のロス時間だとか、バランスの悪さということにやはり気付きましたか?

許斐:すごく気付きますね。1週間、企業法に触れてないじゃん!とかもわかりました。

――:自分で学習していても、意外と気が付かないものですか?

許斐:気付かないです。勉強したつもりになっていたのですが、さすがに1週間はちょっとまずいよね、と思うようになりました。もちろんStudyplusをつけなくても、企業法は1週間前にやったことはわかりますが、実際グラフにしてみると、そろそろやらないとまずいだろうなというか、意識的な面でも変わりますね。

大学3年で迎えた3度目の5月短答式試験

――:いよいよ3年生の5月短答式試験を迎えるのですが、上位合格を狙うと自分に課しましたね。普段の答練などはどんな成績でしたか?

許斐:基本的に模試は1回、2回、3回で全部上がっていったのですが、1回目は78%。2回目が80%。3回目が82%でした。

――:着実に成績が上がりましたね。目標通りですね。どうやってその成績を上げたのですか?短答式試験2回目の12月と何が違ったのですか?

許斐:苦手科目とか苦手論点を一切作らないということと、C論点もある程度やったというのがありますね。12月の短答式試験が終わったときに、佐藤先生に相談しに行ったんです。そのときに「お前はどこ目指しているんだ?」と言われて、「上位で合格したいです」と言うと、「そのためには人がやってることもやるけど、それ以上のこともやらないと上位にはいけない」と。「仕事でも同じで、人がやっていること以上のことをやらないと付加価値は生み出せない」と言われたのです。

――:佐藤先生の言葉をそのまま受け入れたのですね?最後のフレーズは、佐藤先生自身に言い聞かせているようなフレーズですけど(笑)

許斐:はい、佐藤先生が言っているんだから間違いないなと思いました。それを受けて、最低限の勉強時間は作ろうと思いました。最低点、合格点、ベストを設定して、4時間は必ずやる、6時間できればいいでしょう、8時間以上できれば二重丸だと。最低ラインを作っておくことによって、精神的にも安定しましたね。自分を許すことができたというか。

――:ちょっと意地悪な質問で申し訳ないですが、その4時間、6時間、8時間の質が高いかどうかというのは、どうやって測っていたんですか?

許斐:質という面では、感覚的なものになってしまいますが、自分が納得できるまでやるということですね。そうすると答練にも点数として反映されますし。納得できていなければ反映されないじゃないですか。なので答練で確認をしていましたね。

――:結果として、5月短答式試験は何%取れたのですか?

許斐:そのときは財務会計論が難しくて、また足を引っ張ったのですが、71.8%だった気がします。

――:充分に手応えがあり、これはいけたと思いましたよね?

許斐:日が経つにつれていけると思ってきましたね。

5月短答8月論文だが、短答後は集中してできた。直前だが、一日当たり平均5時間強の勉強時間だった

――:5月から8月の論文式試験までのリミットからすれば、もう遊んでいる余裕はないので、短答式試験の翌日から論文式試験に向けて勉強したんですよね?

許斐:正確には、翌日は寝てしまいました(笑) 本試験は日曜日ですよね。水曜日からガイダンスを見たんですよ。勉強を再開したのが金曜日ぐらいからでした。

――:もうあと3ヵ月しかないので、すぐに租税法、経営学も始めなきゃいけない。さらに短答科目と論文科目のバランスも考えて勉強しなきゃいけない中でどんなペースで勉強していましたか?

許斐:短答科目は5月の時点で完璧にしようと思っていました。論文式試験も見据えて、理解を重視して、文章は書けなくてもいいけど、実際に自分の言葉で言えるレベルにしました。租税法に関しては、2年生の12月短答式試験の結果が出るまで中級期の後半ぐらいまで終わらせていて、経営学に関しては5月が終わった時期に最初から始めました。

――:それならば、6月いっぱいぐらいで租税法と経営学の講義は終わったのですか?

許斐:そうですね、7月の2週目ぐらいに答練も含めて全部やり終わりました。

――:短答科目に関しては、もう論文式試験を受けても大丈夫なレベルまで理解できていると確信していて、租税法、経営学も知識としてはちゃんと付けられた。さて、租税法、経営学の答練はどうでした?

許斐:実は答練は受けませんでした。上級答練については、1回目は全部受けました。ですがそれ以降の2回目からは、1個も受けずに問題を回収だけして答えを見る。で、こういう文章を書くのだなという論点整理をしました。受けたのは模試2回目と、直前答練4回目だけです。

――:模試はどうでした?

許斐:模試は良くなかったです。と言っても102位で、偏差値としては49.いくつ。そこまで悪くはないのですが、そのときは租税法が全然できていなくて、租税法の理論もたぶん点数が一桁でした。

――:この時期は、租税法、経営学を間に合わせるために、相当勉強しましたか?時間は短答式試験の時よりもっとかけましたか?

許斐:一日当たり平均5時間強しかやっていませんでした。睡眠をしっかりとろうと思ったのが大きな理由です。

――:でもこの感じだと、もっと時間を作って勉強に時間をかけたいな、という気持ちはあったじゃないですか?あえてそうしなかったのですか?

許斐:そうですね。すごく集中してできているという感覚が自分の中にあり、焦りもなかったのですよね。戦略通りにやっていけば大丈夫かなというのがあり、昨日できなかったことを今日できるようにしていこうというスタンスでやっていたので、そこまで焦りはなく、リラックスしながらできました。

――:普通の人だと、例えば企業法なんて、短答式試験と全然違うと心配になり、一番論文式試験であたふたするところだと思うのですが、それはなかったのですね?

許斐:要は、問題に答えられればいいと思っていました。そのため、なるべくロジックを繋げようと思って論理的に書くように意識はしていました。実際、答練でも問題と答えが対応していれば点数は来ました。

――:でもすごいね。勇気のいる決断でしたね?

許斐:もちろんわからない論点はあって、論文式本試験は偏差値51ぐらいしか取れませんでした。でもある程度書けると自信を持って臨みました。

――:昔から例えば文章を書くことが得意だったとか?

許斐:文章は論理的に書く自信はありますけど、得意かどうかはわからないです。

論文式本試験は、監査論は2行しか書けていなかったのに偏差値58。要点が書けていたので点数がきた

――:論文本試験の最初の手応えはどうでしたか。

許斐:監査論の第一問は完璧にできたと思いましたが、第二問が自分の中で全然できなかったんです。文章もたぶん2行ぐらいしか書けていなくて、空白もありました。試験後にみんなに会うと、「全部埋められた」とか、「答練当たったね」とか、「CPA勝ったね!」とか。「これ書けなかったら、2行しか書いてない人は落ちるでしょ」と言っていて、私はそのとき「2行しか書いてない」って言えなかったんです(笑) これはやばいかもしれないと思いましたね。でも第一問はできていたので、偏差値51はあるだろうと思っていました。

――:他の科目についてはどうでしたか?

許斐:租税法については、終わった後はけっこう手応えがありました。というのも、直前答練で、理論は8点しか取れなかったので。それに比べれば絶対できていると思って自信があったんです。なので、一日目終わった段階ではまぁ普通かなと。別に失敗してもいないし、できてもいないなという印象でした。

――:2日目に関してはどうでしたか?

許斐:管理会計論はできないところもありましたが、できるところは全部できたなという印象でした。財務会計論は、簿記はほぼできたと思っていて、理論に関してもある程度できているので×はこないだろう、部分点はくるだろうなと。稼ぎにはいったかなと思っていました。二日目も終わって、まぁ大丈夫でしょうと思っていました。

――:3日目に関してはどうでしたか?

許斐:3日目は企業法で、問題が簡単だったのでみんなができたんですよ。そのため、相対的に順位は下かなと思っていました。

――:企業法についてはCPAの答練が当たりましたよね?

許斐:当たりましたね。あまり取れた感覚はしなかったんですけど、実際蓋を開けてみたら、監査論が2行しか書けていなかったのに、偏差値が58でした。

――:高かったですね。ちゃんと要点が書けていたのですね。他の科目はどうでしたか?

許斐:租税法が50。会計学が56。企業法が51。経営学が53でした。

先生の言葉を信じて、その言葉通りにテキストへ一元化させました。

――:ではじゃあ今度テキストの話をさせてもらってもいいですか?

許斐:今日は得意な監査論と財務諸会計論の理論のテキストを持ってきました。

――:自分が一番よくやったな、こうやってやってたなと言えるようなページを見せてください。

許斐:私のテキストあまり書いてないんですよ。高校のときに好きだった世界史の先生がけっこう変わった人で、テキストにものを挟んだり付箋付けたりする人で勉強できる人いないと言っていたのが影響しています。

――:そうですね。他の人みんな、もう怖いくらい付箋が付いているのにキレイですね。どんな特徴的な使い方をされたのですか?

許斐:監査論だと、あまり色を使わないということを意識していました。色が多いとチカチカして、目に入る情報量が多くなるじゃないですか。それはすごく脳にストレスがかかるなと思って、一色だけ使うことにより、見やすくしました。

――:このテキストを使って、どうやって理解していったのですか?

許斐:CPAのテキストは読めば理解できます。ですから、ひたすら読みました。書きこむとしたら、答練の解説を読んで、何でこうなのか納得できたものを書いたという感じです。テキストに情報を一元化する工夫はしていました。

――:じゃあこの理解するには、テキストを何回も読み返して理解していくというやり方だったんですね?

許斐:基本的に2年生の12月から3年の5月まではテキストの回転数は2回ぐらいですね。みんなもっとパラパラやっていると思うのですが、私は質重視だったのでじっくり、なるべく理解して次に行くという感覚だったので、回転数はそこまで意識していませんでした。

――:なるほど。じゃあ今度財務諸会計論の理論はどんな内容を書き込んでいたのですか?

許斐:財務諸会計論の理論はさっき言ったようにいろいろ先生が言ったことを、先生の口調通りに書いたりしました。

――:例えば佐藤先生の言葉がそのまま書き込まれたページはあるんですか?

許斐:こういうところですかね。「結論だけ知っておけばオッケー」とか、そういう先生が言ったことを基本的にその口調で書いています。悪い言い方をすると、できなかったら先生のせいにしちゃうぐらいの勢いでした(笑) 先生が、結論だけでいいって言ったから、そう信じるみたいな感じでした。断言してくれる方がすごくいいですね。

――:そこまで先生を信頼できたということですね。なるほど。確かに教えているときに、AかBかとかいう選択肢を出されても、受験生は困るのですよね。どっちかだったら、Aだって言ってくれた方がずっとやりやすいみたいですね。

許斐:やりやすいですね。断言してくれる方がいいです。

CPAで合格者チューターをやるので、後輩たちを合格させたいと思っています。

――:これで今無事に合格して大学3年生なのですが、まずはこれから大学生活どう過ごしていきますか?

許斐:CPAで合格者チューターをやるので、後輩たちを合格させたいと思っています。あとは人を巻き込む力を付けたいなというのが1つ。また英語の勉強も開始しようかなと思っています。さらに、趣味が絵画なのですが、普通に描くだけでもいいんですけど、コンクールとかあれば出してみようかなと思っています。

――:多趣味ですね。

許斐:絵が得意で。水彩画が好きなんですけど、油絵も。今度油絵にチャレンジしようと思っています。でも水彩画も版画も、オブジェを作ったりとかも好きです。苦手なものは基本的にないというか、好きなんだと思います。

――:卒業後はやはり監査法人に行かれる予定ですか?

許斐:はい。あずさ監査法人に就職することが決まっています。

――:あずさ監査法人を選んだ理由は何ですか?

許斐:2歳上のチューターに磯田さんというCPAのOBの方がいるんですが、すごく尊敬していて、その人の下に行きたいと思っています。甘やかすのではなくて、相手に考えさせたり、磯田さんもそれ以上に考えてくれているんです。そうですね、相手のことをすごく考えてくれているのがわかるので、好きなんですよね。あとは雰囲気や教育熱心なところですね。人材教育に力を入れているのが印象だったので、成長という面ではこの監査法人がいいなと思い選びました。

今は監査法人で監査することが楽しみになっています。色々な選択肢がある会計士という資格だからこその悩みです

――:将来的にはやっぱりコンサルになるのが夢ですか?

許斐:監査法人の就職活動しているときに、まずは上場企業のインチャージまでは必ずやろうと思いました。ファーストステップとしては、多種多様な業種の監査ができるようになるというのがまず1つの目標です。次のキャリアとして、医療系のコンサルを考えています。まぁ両親が医者というのもあり、医療系のアドバイザリーというか、病院再生なんかの方向にいくのもありかなと思っています。一応コンサルではあると思うのですが、まだ考えている段階です。

――: 監査法人への就職活動を通じて、監査法人の魅力を感じたのですね?

許斐:はい。監査法人への就職活動でパートナーの人たちとお会いして、パートナーの方は、監査業務に携わる時間より、マネジメントだったり、クライアントとの関係だったり、営業だったり、あとは人材開発とか、そういう高い次元での仕事をされていると思います。そういう仕事ができる点で、監査法人は面白そうだなと思いました。そして、パートナーには、一般の事業会社に比べてなりやすそうだ、というのも魅力でした。今はどちらかというとそっちの方に興味が出てしまいました。

――:なるほど。いろいろな実務に就く公認会計士と会えて良かったですね。

許斐:そうですね。普通は監査法人からコンサルと世界に興味が拡がるという人が多いと思うんですが、私はコンサルから監査法人なんですよね。コンサル行きたいと思っていて会計士の勉強を始めたのに、今は監査法人がいいと思っています。

――:様々な選択肢がある会計士資格ならではの悩みですね(笑) 今後の活躍に期待しています。長時間ありがとうございました。

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