会計の知識の必要性と自分のキャリアコントロールのために会計士を目指した。—石川 良亮 さん

国見:まず、最初に会計士を受験しようと思ったきっかけを教えてください。

石川:もともと教育と医療に興味を持っていて、その分野でインターンをしていました。その中で新しい事業の事業計画を作ったり、立ち上げなどをやっていたのですが、いざやってみると「それが事業として成り立つんですか?」という問題がありました。

今思えば、事業をやるのであればキャッシュが回って利益が出る形を上手く作らないと成り立たないのは当たり前なんですけれど。そのときに会計の知識の必要性を感じて、勉強してみようかなって思ったのが1つ目の理由ですね。

あとは、最初事業会社に就職したとき、「自分はこういうことがやりたいので、こういう部署に行きたいです」というような話をしても、会社なのでやっぱり都合もあり、「君はこういう仕事よりも、こっちの部署の方が向いているんじゃないか」と言われて、結局自分の希望とは違う部署に配属されたりといったことがありました。

その時に、普通の会社に勤めてしまうと、会社の都合で勤務地だったり、配属先だったりとかが決まってしまって、自分のキャリアコントロールをできないっていうのを、すごく痛感して。そういう意味でも、会計士を取れば事業会社で働くよりは、自分のキャリアをコントロールをしていけるだろうなって思ったのが、2つ目の理由としてあります。

働き始める前の期間にできる限り先行するために1日約10~12時間勉強した。

国見:勉強をはじめてから働き始めるまで、最後の自由な時間だったと思うんだけど、その期間に心掛けていたことはありますか?

石川:そうですね。働きながら勉強するって、正直しんどいだろうなとは思っていました。仕事と勉強の両立を何年も続けるのって、体力的にも精神的にも保たないだろうなと思っていたので、なるべく早く合格したいなと。なので、勉強に集中出来る最初の4ヶ月位でできる限り先行しておこうと思いました。

国見:具体的に、どれ位のペースでこの4ヶ月間やっていたのですか?

石川:大学の単位もほぼ取り終わっていたので、1日約10~12時間程勉強していて、平均週6.8日位勉強していました。

国見:そんなにやってたんだね。直前期で1番頑張る人達位の勉強量を学習開始時期にやっていたっていうことですね。具体的に1日の勉強スケジュールを教えていただけますか?

石川:まず、仕事始まる前に簿記と財務諸表論を終わらせたいなと考えていました。最初に、簿記から始めて、Webで講義を受講しました。約3時間の講義を受けて、その後、復習を約3時間かけて行い、それをもう1セット行って約12時間勉強していました。それを毎日繰り返している感じでした。

国見:凄いですね。それくらいやらないと、4ヶ月で簿記と財表全部終わらないですものね。その時に、勉強をする上で意識してた点とかありますか?

石川:簿記の勉強していた時全部を丸暗記するのはどう考えても無理だなと感じたので、国見先生が講義の中で強調していたように知識をコンパクトにまとめること、丸暗記ではなくて理解出来るとこは理解することの2点を意識しました。答練を解く際の気をつけるポイントや解答プロセスを意識しながら知識を取り入れて勉強するようにしていたと思いますね。最終的には、問題演習を積みながら、授業で得た知識を使って問題解けるようにしていました。

国見:それでは、結果的に入社前の3月末までどの辺まで進んだのですか?

石川:簿記は、講義は全て受け終えて、財務諸表論はあと講義5回分位残したところで、4月1日を迎えました。

働き始めてから、平日はコンスタントに5時間くらいのを勉強した。

国見:ほぼ予定通りですね。4月からお仕事が始まって、環境が大きく変わったと思うんですけど、残りの3科目と財務会計論の計算と理論の復習があり、忙しかったと思うのですが、授業自体は何月位までに終えたかどうか記憶に残ってますか?

石川:確か全て受け終えた段階で、あと短答まで1ヶ月ちょっとだなって思った記憶があったので、10月の終わりか11月の頭位ですね。最後の一か月強は復習の時間が取れたイメージです。

国見:じゃぁ、逆にこの4月から10月末までの生活リズムを伺ってもよろしいですか?

石川:はい。最初の頃は、会社の研修4ヶ月位、朝9時から17時30位までありました。研修中は残業なかったので、17時30分には退社することができ、19時位に家に着く。そこから、午前0時位まで勉強して、寝る準備して1時位に寝るっていうような感じですね。

国見:平日もコンスタントに5時間位は勉強していたのですね。

石川:そうですね。4,5時間位は夜に勉強していました、あと、昼休みに、1時間勉強したりしてましたね。

国見:では仕事の無い休日はどんな感じだったのですか?

石川:土曜日は平日の疲れもあり、大体、お昼12時位から勉強始めて、夜12時までの間に9時間勉強していました。日曜日は朝早く起きて、9時位から始めて、10時間、12時間位勉強していました。

国見:そうですね。私も多くの社会人受験生をやっぱり見ていて、息抜きって言うか体力の回復も図っていかないと、難しいと感じています。社会人にも関わらず、週40時間をキープ出来てたわけですが、具体的に何を意識して勉強していたこととかありますか?

社会人なので、1科目ずつ潰そうという意識で勉強しました。

石川:学生とかで勉強に専念している人は簿記、財表、そして、管理を並行して勉強している時期があると思いますが、同じように満遍なくやろうと思うと、各科目1周するのにすごく時間かかって、2周目をやるときに、「あれ、これ何だっけ?」というような状況に陥ってしまいました。そこで、社会人の私は時間がないのですから、1科目ずつ潰そうという意識で勉強していました。実際、1科目ずつ潰していくと、1科目に集中して、1周させるのに時間がかからず、効率が良いなと感じました。1科目をある程度のレベルまで仕上げて、それから、次の科目を始めて、その前の科目は週末にさっと1周して復習するっていうようなやり方を心がけていました。

国見:なるほど。確かに1科目を集中してやると効率は上がるけど、その分ほかの科目にとりかかったときに、以前の科目を忘れてしまうというデメリットがありますね。ただ、週末に復習を土日に行うことで、そのデメリットを克服したわけですね。それでは、10月末まで継続して勉強し、直前の1ヶ月強くらいでやっと反復に全部入れるわけですが、直前期に反復する上で、意識されたことを教えていただいてもよろしいですか?

短答直前は、答練の成績を見て科目の時間配分を考えました。

石川:最後の1ヶ月は、全部終わった段階で、短答直前答練を全科目1回受けてみました。その成績を見て、残りの科目の時間配分を考えました。10月末に受けた時に、管理会計と監査論が良くない結果だったので残り時間は、管理会計と監査論で合わせて7,8割は使いました。

国見:、簿記、財表、企業を、その段階ですぐしっかり取れてるだけですごいことだと思うんだけど、理解を重視していたとか、重要性を意識して勉強していたとか、ありますか?

石川:そうですね。働き始める前は時間的に余裕があったので、重要性はあまり意識せずに網羅的に勉強していました。ただ、仕事を開始してからは、思うように時間が取れなくて、重要性を強く意識するようにしました。

国見:管理会計はどうですか?

石川:管理会計に関しては、8割とか高い次元まで持って行くのは時間の制約があったので、正直諦めていました。管理は6割5分位守って他の科目でちゃんと7割、8割取れば受かるだろうなと感じていました。6割5分を目標にする上で、計算よりも理論の方が得点を伸ばしやすいと考え、原価計算基準を重点的に勉強しました。

国見:逆に簿記、財表、企業は直前どういう風に勉強されてました?

石川:正直、その3科目には時間をあまり使わず、ほかの科目に回していました。管理と監査にほとんど勉強時間取られてしまったので、短答対策問題集において、間違えた所をサッと回すようなような形でやってましたね。

短答試験の結果は74%。ボーダーより7%上回った。

国見:それで、12月の結果について教えていただけますか?

石川:本番が、確か全体で74%でした。監査論が75点、企業法が80点。で、管理会計が65点、財務会計論が150点位でした。

国見:じゃぁ、まぁ、ボーダーが67%だったので、74%って7%も余裕があるので、本当に充分な点数採れたんですね。逆にこの点数見ると、やっぱり直前の時間配分対策っていうのは合っていたのかなと感じます。通信講座でしたが、疑問点や勉強の相談はどのようにされていたのですか?

質問は、FacebookとかLINEとかSNSを通じて相談した。

石川:疑問点とかは、講師の方と距離近かったので、Facebookや、LINEを利用していました。すぐに返信してくれて、気軽に質問していましたね。解説が長くなるようなときは電話での相談もしていました。

国見:本当に、FacebookとかLINEとかSNSを通じて質問できるって本当に私もここ数年、時代が変わったなと感じます。

会計士試験を突破するために監査法人に転職を決意した。

国見:短答試験を見事突破されて、本番の論文に向けてのスタートになりますが、論文対策が本格化する前に転職されていますね。そこについて伺ってもよろしいですか?

石川:そうですね。最初は短答も突破出来て、論文もこのまま行こうと考えていました。ただ、今までなかった残業が増えてきたり、仕事終わってから飲みに誘われたりして、負担が大きくなっていました。ただ、会計士の勉強をしていると言うわけにはいかないし、飲み会に行かないと付き合い悪い奴だなと上司に思われるので、行かなきゃいけない、というプレッシャーがありました(笑)。それがすごい負担になっていました。ただ、経済的な事情から仕事は続けないといけなかったので転職を考えました。そこで丁度、監査法人の短答合格者採用枠を見つけて、これなら、勉強を継続できて、かつ、勉強への理解もあるなと思い、興味を持ちました。

国見:懐かしいですね。転職を考えているときに相談に来られたのを思い出しました。ちなみに、実際に転職して、入社されたのは何月でした?

石川:3月でした。それから3カ月間働いて、6月から論文を終わるまでは休みでしたね。

国見:具体的に、租税・経営の新しい二科目と短答科目の論文対策をどうのように進められたのですか?

石川:1番最初、論文の勉強始めた頃は、租税や経営の勉強もしつつ、余った時間で短答の4科目に関しても論文対策を始めて行こうっていうようなつもりで勉強を始めました。やはり、仕事しながらだと厳しくて、租税・経営の講義がどんどん遅れてしましました。そこで、まずは租税と経営に最初集中して、そこ固めてから、短答の科目の論文対策もやっていくような形でやっていましたね。

国見:実際に、租税・経営ってどの時期にある程度固まったかどうか教えていただけますか?

石川:租税が思ったより時間がかかって、4月の終わりくらいまでは、ほぼ、租税と経営やっていました。あとは、企業法は論文対策が重いなって思っていたので、先行してやってました。

「206位で論文1発合格。6月から論文を終わるまでの休暇の過ごし方」

国見:なるほど。逆に言うと、6月からやっとフルタイムで勉強できたわけだけど、直前のその3ヶ月くらいはどんな感じで勉強されていました?

石川:その時点で、租税と経営はある程度定着していたので、週1回くらいサラッと復習するような程度の勉強していて、残りの短答科目に関しては論文対策が重い企業法と、あとは、計算科目を前半にやって後半に残りという形でした。ここでも、集中して1科目ずつ潰すっていうようなイメージでやってました。

国見:結果として、論文式試験はどうだったのですか?

石川:確か、総合は確か206位。で、確か偏差値が58位だったと思いますね。

「一発合格できた要因は、モチベーションが崩れることがなかったこと。」

国見:お仕事されながら、通信講座を続けて、206位で一発合格というのは本当に素晴らしいと思います。勉強のやり方が正しかったのではないかなって思いますね。お仕事をされながら合格したことと、通信講座で合格されたことが、石川さんの特徴的な所だと思うのですが、全体を振り返ってみて、一発合格できた要因は何だったと思いますか?

石川:1つは、会計士になりたいっていう動機。動機が結構明確だったので、モチベーションがあまり崩れることがなかったことが1点目として挙げられますね。

国見:モチベーションが高かったっていうのは、確かにすごく大きい要因ですよね。それ以外はどうですか?

石川:CPAから与えられた教材を講師の方が言うとおりにやってたら受かるだろうなっていう安心感はありました。大学受験の時とかって、振り返ってみると、参考書使ってみたものの、この参考書いまいちだなって思って、やり方変えたりとかって、勉強のやり方を確立するまでに結構な時間使ってしまったりしていたんですけど。会計士試験の場合、CPAの教材ををちゃんとやっていれば、受かるんだなって、安心感があったので、勉強方法で悩む時間がなかったのも、1つの大きな要因だと思います。

国見:そう言われるとうれしいですね(笑)。

理解することを意識、重要性を参考することは大切だった。

石川:そして、CPAがよく言われるとおり、理解することを意識して勉強していたのが大きかったと思います。さらに、テキストの重要性を参考に、重要な論点の回転数を大きくしたり、出題されても誰も出来ないだろうといった重要性の低い論点は、本当に簡単な出題形式の時だけ、点数が採れるように浅く勉強したりすることを意識して勉強していましたね。

国見:本番でのコストパフォーマンス考えて、基本だけ押さえておけばOKのところと、しっかり理解する必要のある重要な論点とを区別して勉強していた点が良かったのですね。他校で勉強されたことがないので難しいかもしれませんが、他にもCPAで勉強してここが良かったなっていう点がありますか?

石川:まず、授業を受けて、テキストと答練を徹底的にやりこめば合格できるという安心感があったのは大きかったです。あとは、疑問点が生じた時にLINE、Facebookで気軽に相談できて、それが出来るほど講師の方々との距離が近くて、安心して勉強に取り組めたのは大きかったです。

国見:いつでも、質問できて、疑問点聞けたっていうところですね。

石川:加えて、講義もすごく分かりやすかったなと感じています。例えば、簿記や経営学は大学時代に講義受けていましたが、正直内容がさっぱりわかりませんでした。しかし、CPAの講義聴くとすんなり頭に入ってきて、分かりやすいなというのは、凄く感じました。

国見:安心感があったということですが、教えてる側としてはそのように感じていただいたことは嬉しいです。会計士の勉強って、富士山に登っていくみたいな、登山のようなイメージで、合格っていう頂上は見えてるんだけど、途中で道が全部霧かかっちゃってると、どこ行っていいのか分からない。そこで、我々教える側として、霧を取ってあげる必要がある。ただ、登るかどうかは本人なんだけど、この道をこう登って行くんだよって示してあげるのが大事なことなのかなと考えています。そういう意味で言うと、いつでもフォローして1人1人にフォローできるっていうのは、凄く大事な点だと思っているので。最後に、今勉強中の方へのメッセージっていうのと、あと、今後もし、会計士やろうかなって思っている方にメッセージが、石川さんから思うことがあれば、一つずつ頂きたいなって思うんですけれども。

今後、会計士を目指す方へのアドバイス。

石川:両者に向けて言えることですが、本当に会計士の資格取って良かったなって思います。本当に自由度が高いなっていうところはすごく感じていて、前職のような全国転勤もありませんし、恵まれているなと感じています。また、会計士になると、自分のキャリアはかなりコントロールしやすくなるんじゃないかなって、感じています。確かに勉強大変かも知れないけども、それほどの犠牲を払ってでも獲得する価値のある資格だと思うので、勉強は頑張って欲しいかなと強く思います。

国見:勤務地とか、部署とか選べないっていうのって、社会人だったら当たり前なんですけど、会計士の場合は勤務地は基本的に希望通りの場所で働けて、仕事の内容もより監査をやりたいとか、アドバイザリーやりたいのかとか、そういった要望を聞いてもらいやすい環境はありますよね。まとめると、石川さんからのメッセージは社会人になってからでも合格する、会計士の資格を取るメリットは大きいから頑張ってほしいというわけですね。インタビュー、本当に長い時間ありがとうございました

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