【令和6年 公認会計士試験合格】 元客室乗務員 CPA会計学院 砂溜美保 講師 特別インタビュー

※左からCPA会計学院の国見代表、砂溜講師

令和6年公認会計士試験で合格された、CPA会計学院 砂溜美保講師へ客室乗務員から会計士を目指した理由、学習方法等をCPA会計学院の国見代表がインタビューしました。

砂溜 美保 講師プロフィール

2015年から7年間航空会社の客室乗務員として乗務
コロナウイルスの影響によりフライトが減少し、公認会計士試験の学習を他校で開始
2023年5月短答式試験に合格後、2023年8月論文を終え、CPA会計学院に移籍
2024年8月の論文式試験に合格し、現在はCPA会計学院の講師として活躍中

客室乗務員から公認会計士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

砂溜
2020年のコロナがきっかけでした。客室乗務員として働いていたため、飛行機の減便や機材の変更により勤務シフトが減りました。その時に何かできることをと思い、簿記の勉強を始めました。その時は会計士という資格を知らなかったのですが、簿記を学ぶうちに知ることとなりました。

国見
なるほど、コロナがきっかけだったんですね。じゃあコロナがなかったら、まだ客室乗務員を?

砂溜
やっていた可能性が高いですね。習い事とかもそうなんですが、一つのことをやり始めた時に、なかなか辞めるという選択肢を持てなくて、どんどんやっていくと楽しいことが増えていくので、客室乗務員もコロナがなければ辞めていなかったと思います。

国見
では、簿記を始めた時の目的は?

砂溜
当初は客室乗務員として仕事の可能性を広げるために、簿記を学ぶことで仕事の質を向上させようと思っていました。経営者やビジネスマンと関わる中で、少しでも勉強してみようと思ったのが始まりです。

国見
簿記を学び始めて、会計士を目指そうと思ったのはどういうきっかけだったのですか?

砂溜
簿記二級を独学で学び、財務諸表が理解できるようになり面白さを感じました。簿記一級を独学でやるのは難しそうだったので、それならもっと上位資格である会計士を目指して、予備校でしっかり学ぼうと考えました。

国見
会計士を目指す際、合格したら監査法人で働くことを考えていたのですか?
砂溜
監査法人は特に考えていなかったのですが、知識そのものがどんな仕事でも役立つと感じたので、自分に役立つスキルとして始めました。

CPA に移籍した理由と、学習環境の違いについて教えてください。

砂溜
はい、まず移籍した理由ですが、前の予備校の契約期間が8月の論文で満了したためです。その時点で、その予備校で学びたいことは十分に学び終えたと感じていました。それで、他の予備校をいろいろと比較しました。
まず、ハード面についてですが、前に通っていた予備校では自習室に個別のブースがなかったのですが、CPAではひとりひとり区切られた個別のブースがあり、学習環境が非常に整っていると感じました。それ以外にも、個別相談がきちんと30分枠で決まっていて、効率的に利用できた点が良かったです。以前の予備校では朝早くに名前を書いて待合室のように待つ必要がありましたが、CPAではそうしたロスタイムがなかったのが良かったです。

国見
確かに、その違いは大きいですね。

砂溜
ソフト面に関しては、講師が本当に個性的な教え方をされていて、苦手な科目でもどこかしらに興味が持てるようになりました。また、移籍して驚いたのは、答練の提出も携帯で写真を撮るだけでできたことです。これは、本当にありがたかったです。1回目の論文が不合格だった時は気持ちがどん底のところにいたんですが、一転して、前向きな姿勢で学ぶことができました。

国見
移籍していかがでしたか。

砂溜
はい、本当に移籍して良かったです。

国見
CPAに移ったときには今後も客室乗務員というよりは、合格したら会計士としてのキャリアを歩んでいこうと思われていたんですか?

砂溜
退職を決めた時点で、客室乗務員としての道のりは一旦終えようと決めていました。そして、会計士としてのキャリアを本格的に考え始めました。そして移籍しようと考えた時にいろんな予備校を見ていく中で、講師というものに興味を持ちました。

国見
勉強中に講師としての興味が芽生えたのですね。今ではCPAで講師としても活躍されていますが、その気持ちは勉強中からあったんですね。

砂溜
はい、その通りです。

国見
最初の10か月は仕事と学習の両立をし、その後は仕事を休職して専念したと聞きました。仕事と勉強の両立は大変ですよね。時間の管理はどのようにされていましたか?

砂溜
客室乗務員のスケジュールは、前月に翌月の予定がわかるのですが、変わることも多いです。ですから、あまりかっちり決めすぎるとスケジュールが後ろ倒しになってしまう可能性があるので、1週間単位で何をするか決めていました。講義で学んだ論点は必ずその週で完結させられるように講義スケジュールを管理していました。

国見
1週間や1か月単位でやるべきことを決めておいて、スケジュールをうまく調整していたんですね。

週にどれくらいの勉強時間を確保していましたか?

砂溜
仕事をしている時は週に30時間くらいが限界でした。辞めてからは50時間から60時間ほど勉強できるようになり、倍近くの時間を確保できました。

国見
社会人の方が勉強する際、30時間が一つの目安になりますよね。勉強のモチベーションは、どのように維持されていましたか?特に、5月に短答合格してから8月の論文まではどのようにされていましたか?

砂溜
基本的には自分の興味で学んでいたので、モチベーションが大きく下がることはなかったです。しかし、5月の短答合格後、8月の論文に向けて詰め込み過ぎてしまい、その後は少し下がりました。

国見
8月の論文から合格発表までも勉強は続けていましたか?

砂溜
はい。今年の合格は厳しいと感じていたので、引き続き財務の計算や租税法は勉強していました。ただ、他の科目は少し休止していました。

国見
5月の短答の合格発表前も発表後も8月の論文式試験まですぐなので、モチベーションが下がっている場合ではないですよね。やるべきことがたくさんあって、これまでで一番頑張ったと思います。発表までの間、どのように気持ちを切り替えていましたか?

砂溜
自分の休職や退職という形で家族に負担を強いていたので、モチベーションが低下することはなかったですね。家族にサポートされている中で、その期待を裏切らないようにモチベーションを維持していました。
国見
家族の支えが大きかったんですね。

学習方法について具体的に工夫した点はありますか?

砂溜
教材の活用方法だと、理論科目に関しては頻出論点とそうでない論点をうまく区別して学びました。予備校側が出題頻度の情報を提供してくれるので、インデックスシールで色分けをして、最も出る論点を赤色、次の重要な論点は黄緑色、あまり出ていないものは青色といったように一目で分かるようにして、強弱をつけて勉強をしていました。

国見
テキストの想起学習という話をよく聞きますが、私の場合、最初は表題を見ただけでは全体をイメージすることが難しかったので、まずは目次の枝葉を見ながら思い出せるようにしていました。そして、次第にその枠組みを大きくしていきました。

砂溜
つまり、重要性を意識しながら、ポイントをわかりやすくして強弱をつけていたということですね。想起学習では論点がどのようなもので、どういうロジックツリーになっているかを把握できるといいですよね。

国見
講師への相談はどのくらいの頻度で行っていましたか?例えば、どんな時に相談しようと思いましたか?

砂溜
少なくとも月に一回は講師相談を入れていました。同じ講師に相談していたので、成績が良かったときは前向きに臨めるのですが、悪かったときはキャンセルしたくなりました。しかし、必ず月に一度は相談することを決めていました。

国見
どの講師に相談していましたか?

砂溜
髙野大希先生です。

国見
髙野先生からのアドバイスで良かったことはありますか?

砂溜
答練でC判定が出た場合でも、少しの調整でB判定やA判定になり得ることを具体的に示してくれました。あまり悲観的にならずに改善策を示していただけたのが良かったです。

学習を開始した際の家族の反応はどうでしたか?

砂溜
私がやりたいことについて、家族は私の意思を尊重してくれました。職場の上司や同期には、いま何を勉強しているかを常に伝えるようにしていました。仕事の時は仕事に集中しましたが、試験のことなども共有することで、応援してくれる環境を作りました。家族や夫には特にしっかりと経過を報告し、安心してもらえるよう気をつけていました。

国見
応援したいという気持ちはあるけれど、不安になることもあると思います。経過報告を大切にし、安心してもらえるようにするのは素晴らしいですね。

合格された今、どのような講師を目指しているか教えていただけますか?

砂溜
簿記の勉強が楽しかったことや、財務の計算に魅力を感じたことから、財務会計論(計算)を担当しています。これは会計士試験にとって大切な入口部分です。この最初の段階で多くの方が興味を持ち、最後まで一緒に合格を目指せるようにしたいというのが私の考えです。

国見
財務の計算は会計士としての仕事をする上でも、核になる知識ですね。そこを楽しんで学ぶことで、次の勉強がスムーズに進むので、とても重要な役割だと思います。

砂溜
はい、そう思います。

国見
これから会計士を目指す方や、現在学習中の方に対してのメッセージはありますか?

砂溜
最近の学習相談で感じるのですが、年齢を気にされている方が多いように思います。もちろん年齢というのは一つの指針ではありますし、若い時から始めるに越したことはありません。ただ、若くないとできないと思ってしまうと、年を重ねるごとに挑戦できなくなってしまいます。年齢にとらわれず、自分がやりたいと思った時に行動することが大切で、そこから学べることはたくさんあるので、挑戦する機会を自分でなくしてしまわないでほしいです。年齢だけを理由に挑戦しないのはもったいないので、挑戦する気持ちを大切にして頑張ってください。
国見
素敵なメッセージをありがとうございます。私も自分の人生について考えると、これからの人生の中で今日が一番若い日だと思っています。46歳になっても、あと20年、30年のキャリアがあります。キャリアは長いので、そこで本気でチャレンジしたほうがいいです。私は20代前半に会計士をとりましたが、46歳でもそれ以上のチャレンジを続けていきたいと思っています。会計士は仕事の選択肢の幅が広いので、年齢に関係なく活躍できる道がたくさんあります。だから、チャレンジする心を大切にしてほしいですね。