【私が会計士を目指した理由】
大学時代に達成する大きな目標が欲しくて、その目標を会計士試験に置きました

――:安田さん、本日はよろしくお願いします。

安田:よろしくお願いします。

――:安田さんは慶應女子高校から慶應大学に進んでいますが学部はどちらですか?

安田:経済学部です。

――:今は大学3年生でしたね?

安田:はい、3年です。

――:経済学部を選ばれた理由は何ですか?

安田:まず、慶應大学の経済学部ってカッコよくない?といったイメージがありました(笑) また、私は数学が苦手ではなかったので、高校3年生の時に数Ⅲを選択していました。法学部とかは数学を取っていなくてもいけるので、せっかく数Ⅲまで勉強したから、得意の数学を活かして経済学部に行こうと思ったことも大きかったです。

――:数学は得意なのですね。

安田:国語よりは得意でした(笑)

――:経済学部で何か学びたいことがあったというわけではなかったのですか?

安田:正直そうなんです。結果的に会計士を目指すことになったので、会計士の勉強的には王道である経済学部で良かったと思います。経済学部出身者が多いですし、勉強する内容も同じものが多く、結果オーライでした。

――:大学に入られて、すぐに会計士を目指そうと思ったのですか?それとも普通の大学生活を送ろうと考えていましたか?

安田:入学当初は普通の大学生活を送ろうという気満々でした。会計士を目指すきっかけは、高校時代の友人からCPAの受講相談と無料体験講座に行こうと誘われて一緒に行ったことでした。CPA日吉校の登川先生にいろいろ説明していただいて、会計士という仕事や、勉強はどのような流れなのかというお話を伺いました。いただいたパンフレットを見たら、大学3年生で合格している先輩方がたくさん並んでいてカッコよく見えました。私は、このままだと大学4年間何もしないで、サークルに行って、バイトして、遊んで終わる大学生活を送る気がしました。会計士という一緒の資格を取得するという明確な目標を持ち、それを軸にした大学生活を送ることになるのは、とても充実して魅力的な学生生活になると感じました。会計士という仕事に憧れたと言うよりは、大学時代に大きな目標が欲しくて、そのちょうどいい目標が会計士試験だったのです。

――:その友達は一緒にCPAに入ったのですか?

安田:入らなかったです。私だけ入ることになりました。そういうものですね(笑)

――:ご自宅には、会計関係の仕事をしている方がいらっしゃいましたか?

安田:いえいえ、まったく関係ないです。高校の時から会計士という仕事があることは知っていて、慶應生は会計士の合格者が一番多いのだという知識がある程度でした。

――:大学に入学した後、児童文化研究会というサークルにも入られたのですね。ボランティアに興味があったのですか?

安田:子どもが好きなのでサークル活動で子どもたちと触れ合ったり、勉強を教えたり、そういう課外活動をしたいなと思っていたので入りました。

――:登川先生のガイダンスを聞いて、CPAに入学したのは1年生の何月ぐらいですか?

安田:5月です。

――:安田さんは大学生生活が会計士試験一色になってしまうかもしれないことに迷いはありませんでしたか?

安田:バイトやサークルも大事ですが、後々になって大学生活を振り返ったときに何か形になるものが欲しかったのです。大学3年生で受かってしまえばその後にでもバイトはできるので、まずは会計士試験に向けて勉強を頑張ろうと思いました。

【大学との両立】
途中で半年間の挫折。でも、負けず嫌いなので、順位表に載って光り輝きたかった!

――:1年生の5月からCPAに入られて、スタートした勉強は順調でしたか?

安田:勢いで勉強を始めたはいいものの、途中から面倒くさくなってしまいました。週3回DVDで講義を受けて、答練も1年生のうちからあって、分かってはいましたが勉強がとても忙しいということに気づかされました。大学の友達はバイトやサークルなどとても楽しそうにしていて、なんで私は大学が終わってからCPAの校舎に向かわなければならないのだろうと思って、嫌になってしまいました。結局、大学1年生の年末くらいまでは、会計士の勉強はほとんどしていませんでした。

――:いつ頃から気持ちを切り替えて頑張るようになったのですか?

安田:年が明けて、新春答練をライブで受けました。久しぶりのライブ答練だったのですが、受講生の多さとすごい勢いで電卓叩いていて、そのやる気に圧倒されました。当然結果はとても悪くて、私の記憶では最下位だった気がします。成績を見て家に帰って、もうCPAを辞めてしまうか、気持ちを切り替えて頑張るか、どちらかにしようと決めました。辞めるとしたら、親に受講料を払ってもらったので、社会人になってから全額返しますって土下座で謝るか、頑張るかの2者選択でした。いろいろと考えた結果、もう一度頑張ることにしました。この成績が悪い状態でCPAを続けるのも悔しかったので、その後から頑張りました。

――:もう1度頑張ろうと決意をさせたものは何だったのすか?

安田:親に申し訳なかったのと、あとは、とにかく負けず嫌いなので、順位表に載ってやるというぐらいの勢いで。私もやればできると信じていたので。でもそのときは本当に成績が悪かったので、順位表に載っている人が、光り輝いているようで、絶対に順位表に載ってやると思いました。溜めていたDVDをかなりの勢いで消化しました。

――:DVDはどこで視聴しましたか?

安田:CPAの校舎で見ました。先生に何回も借りに行くのは恥ずかしかったのですが、1日に何回も、借りて見て、答練もためていたものもの全部解いて、確か入学して2年目の春ぐらいには追いつきました。

――:相当集中しましたね。

安田:相当頑張りましたよ(笑) 企業法と監査論が始まる時期までになんとか追いつきました。企業法や監査論が終わる頃はもう短答試験前じゃないですか。そのころから目標とする短答試験が実施される12月ってすぐだなと思って、授業もDVDが出たら数日間以内には見るようにしました。何より、答練をライブで受けるようになりました。お昼休憩の時間に一緒にご飯食べる友だちもできて、校舎に通うのが苦ではなくなりましたね。

――:なるほど。

安田:前までは、遊ぶことや大学の授業に出ることが大学生活の本流でした。年が明けて、CPAで頑張ろうとなってからは、CPAで勉強をすることを自分の軸に移しました。

――:負けず嫌いですね(笑)?

安田:そうです。負けず嫌いでしたし、勉強しないことがイレギュラーぐらいに習慣付けました。昔は、「今日は予定ないからCPAに行こう」だったのが、「CPAの勉強に余裕があるから遊ぼう」になりました。そこが変わってから、勉強にちゃんと集中できるようになりました。

――:負けず嫌いで始めて、その間に友だちもできて、居心地もだんだん良くなってきたし、やればやったで、成績が上がってくれば、順位表に載るぐらい行かないと気に入らないということですね?

安田:そう思ってがんばりました。念願かなって、短答直前答練2回と、短答直前模試3回、全部順位表に載りました。

――:大学2年生の4月からは大学の授業もあったと思います。1年生の時は大学の授業に出ても、2年の時も単位は残っていたのですよね?大学とCPAはどんな感じで両立させていたのですか?

安田:まず、大学の全休日を週に3日は作りました。出席しなくてもいい授業は明確に行かないと決めていました。語学は出席しなければならないのですが、短答前3週間ぐらいは、まったく大学に行かない状態にしたかったので、4月から10月ぐらいまでは、語学は無欠席にして、休める期間を12月の短答前に持って行けるようにしていました。語学だけでなく、出席がある授業はすべてそうしていました。

――:大学に行く時間を少なくして、できるだけCPAに行くようにしたのですね?

安田:そうです。家だと全くできないのです。マンガを読んだり、YouTubeを見てしまうし、家族も話しかけてくるので。だから、必ずCPAに行くようにしていました。

――:その頃は何時ぐらいにCPAに来ていましたか?

安田:朝起きられないので、10時半ぐらいに行って、最後の21時30分のまでCPAにいました。

――:追いつく過程で、科目によっては、苦手科目や得意科目ができたりしませんでしたか?

安田:私は別に得意も苦手もなくて、時間もどの科目にも同じぐらいかけていました。その頃には、勉強が純粋に面白いと思うようになりました。日経新聞が目に入っても、それまでは全くわからなかったのに、勉強が進むに連れてわかる言葉がたくさんできましたし、大学の授業も、そのままCPAで習ったことだな、と思うことが増えたりするのを感じました。そういうビジネスの知識とか、経済学とか、会計士試験の勉強だけじゃない知識がどんどんつながっていくのを感じました。

――:CPAでの勉強が生きてきたのですね?

安田:CPAの勉強って、頭に詰め込んで終わりではなく、これからの私の人生に意味のあることなんだ、という感じがしました。期末テストとかは一夜漬けで忘れてしまうので残りません。CPAでは、常日頃から答練を受けるので、仮に答練ごとに一夜漬けをしたとしても、その答練を何回もやっていると結果的には脳に残ります。これからビジネス社会に出たらすごく大切で絶対使える知識を、ちゃんと記憶に残しておくことができるのです。そう思うと、勉強面白いし、定着していることも身にしみて実感できたので、とてもやりがいがありました。

【CPAの重要性】
CPAのテキストに付された重要性AやBランクのものから確実にやっていました。余裕がでてからCランクも手を広げました

――:学ばなかったら分からなかったことを学ぶことができて、会計士の勉強の意味を実感できたのだね。ところで、CPAのテキストの重要性というか、そういうのは参考にしましたか?

安田:もちろん参考にしました。まず、私は簿記を溜めていたので、まずAやBランクのものから確実にやっていました。最初の頃は時間もなかったので、Cランクを見ないぐらいの勢いでやっていました。でもライブの授業に追いついてから、改めて夏までに計算を固めようとしたときには時間ができました。その頃からC論点にも取り組むようになって、A・BがわかっているとCも応用させただけだな、少し覚えるだけで理解できるのだな、と感じることができました。重要なところを先にちゃんとできるようにしなければないない、という意識で取り組んできたので、結果として、とても効率的に勉強ができたと思っています。

――:追いついてからは、授業はライブ中心に受けていったのですか?

【私の講義視聴スタイル】
講義はDVDで倍速で視聴。ただし、ライブ講義に遅れないように、DVDがリリースされたらすぐに見ていた

安田:ライブは受けなかったですが、ライブが終わった直後ぐらいの時期にDVDを見るように心がけていました。

――:DVDの方がよかった理由はあるのですか?

安田:私はコスパ重視で、いつも倍速で見ていました。スキップしたりできるのがすごく良かったのです。ライブだと休憩をはさんで3時間はかかるのですけど、私みたいに10時半登校の人は時短が必要なので、2時間弱で終わるのはとてもありがたかったです。ライブでもDVDでも、授業に集中するようにすれば、頭に入る具合は同じだと思いましたし。

――:倍速にして、集中してできましたか?

安田:できました。短期集中で聞こうと思ったので、とても集中できていたと思います。

――:ライブに出ない代わりに、DVDがリリースされたらすぐに見ていたのですね?

安田:遅れたくなかったので、そこは徹底していました。友だちはライブで受けていて、一個先の授業を見ているから、私もすぐに追いつかないと、という意識で視聴していました。あと、答練の日程も授業の日程にかぶらないようにしてあるじゃないですか。だから日程の通りに受けないと、答練の範囲にも追いつかなくなってしまいますし。

【私の答練受講スタイル】
答練は緊張感を持つためにライブで受講。同じタイミングで受講して自分の成績把握も重視した

――:答練はどうしていましたか?

安田:絶対にライブで受けていました。

――:間に合わなかったときはありませんでしたか?

安田:それでもライブで受けるようにしていました。先生方もよくおっしゃるのですけど、ライブで受けて悪かったら頑張るし、良かったらそのまま頑張ろうとなるし、今までの自分の勉強の進捗具合が成績でわかるじゃないですか。後で受けると緊張感もないですし、緊張感のない成績は本当の実力かどうかもわかりません。同じ12月短答目標の受講生の中で、自分がどの辺にいるのかというのを常に知っていたかったので、という理由もあります。

――:計算科目でC論点まで重視していたのは、4月から7月までの期間ですか?

【短答受験対策-計算科目-】
短答対策の計算は、短答本試験の3ヶ月までに固める

安田:先生方に8月末までに計算を固めろと言われたので、それまでに簿記も管理会計も、C論点までやりました。8月末以降は理論科目の暗記をするから、計算に触れている暇はないだろうと思っていたので。

――:何を中心に回転させたのですか?

安田:主にテキストでした。テキストを読んで理解して、例題で確認して、短答問題集を使って実践形式で解く、というサイクルを、テキストと短答問題集を中心に回転させていました。

――:どのぐらい回転させたのですか?

安田:テキストだったら、答練のたびに一周ずつは絶対にしていたので、答練の数だけ回転させて、直前期になって、プラスアルファを回転させるというような形で勉強しました。

――:かなり何回もサイクルを回したのですね?

安田:回しましたよ。テキストがボロボロになるぐらいやりました。

――:そして、8月末までに計算を完成させたのですね?

安田:そうです。

【短答受験対策-理論科目-】
短答科目の理論対策のベースは理解重視。そのうえで、必要項目を暗記しました

――:すると、9月に入ると理論科目ですが、理論科目はどう進めましたか?

安田:理論はとりあえず日程表通りに授業を受けて進めていました。計算と同じように答練前にテキストを一周回すルールを守っていました。ただ、理論科目の勉強の仕方って、企業法も短答試験対策だったら暗記が必要じゃないですか。CPAの方針って理解重視なので、授業を聞いたときには、なるほどなるほどと理解しておいて、最後は条文の暗記もしました。あと、財務諸表論も、理解をすることによって、効率的に覚えられるし、応用問題にも対応できるから、理解をすごく重視はしていました。でも、よく使われるフレーズとか、そういうところはある程度覚えました。テキストの配置から覚えるといったようなことをしていました。

――:写真じゃないけど、絵としてここにあったなとか、ということですか?

安田:何とかっていう言葉を聞いたら、テキストの右の下の方ね、といった記憶をしていました。財務諸表論も企業法も同じです。

【科目別学習方法】
監査論の勉強は正しい理解です。暗記では絶対に点数が伸びません。CPAの齊藤先生の講義はイメージしやすくてすぐに理解できました

――:監査論はどうしていたのですか?

安田:監査論だけは理解がメインでした。齊藤先生の授業はとにかくわかりやすくてイメージしやすくてすぐに理解できました。監査ができないと言っている人は、たぶんみんな授業をちゃんと聞いていないと思うのです。監査論は齊藤先生がイメージできるように話してくださるので、テキストを読み返した時でも、こんなこと言っていたなぁ~と思い出せます。暗記をしなくても、監査の問題を見たときに、しっかりイメージができているので、言葉や文章を覚え込まなくても、正誤判定ができました。企業法、財務諸表論と監査論は、同じ理論科目でしたが、明確に科目の性格が違いました。

――:企業法とか財務諸表論はある程度覚えていかないといけない科目ということですか?

安田:はい、一方で監査論は暗記する必要が非常に少ない科目でした。

――:監査論を苦手にしている受験生からは、監査論はテクニカルで、覚えることが多い暗記科目だと。だから、とにかく論文対策集とかで結論を覚えなくてはダメだと、言われることもあります。それは間違いなのですね?

安田:違うと思います。監査論は自分で正しい理解をすれば、暗記しなくても大丈夫です。

――:逆に監査論に論文対策集はいらないの?

安田:いらないと思いますし、短答前も一番理論の中で回転数が少なかったです。頭の中にイメージが湧いていればちゃんとできると科目です。

――:監査論の問題はよく練られていて、考えさせる出題がされている。だからこそ正しく理解していれば無駄な暗記は必要なく、この選択肢が正しい、と答えられるのですね?

安田:その通りです。

――:話は変わりますが、理論科目を重点的に学習していたときに、計算科目はどのようにしていましたか?

安田:計算科目は短答問題集を1,2章分ずつぐらいに分けて、1日これぐらい進めるというように計画的に進めていました。直前期でも1日に絶対一定時間、計算はするようにしていました。

――:1日どのくらいの時間を割いていたのですか?

安田:1時間とかそんなものです。簿記と管理会計を合わせて1時間ぐらいで、電卓を打つ感覚を忘れないようにしようと思っていた程度です。

――:何の教材と使って復習していたのでしょうか?

安田:短答問題集をやっていました。短答問題集を解くことによって、問題の本筋に関係ないけど、この論点忘れてない?と気付きがありました。ヤバいと思って、テキストに戻って確認して思い出して今日の計算は終わり、といった具合でした。

――:計算の感覚が落ちないようにずっと回し続けていて、ほとんどの時間は理論に割いていたのですね?

安田:財務諸表論を理解することによって、会計の考え方がわかるから簿記も解けるじゃないですか。ですから、財務諸表論は会計学的な思考を理解して、表面を追うのではなくて、ちゃんと会計的に考えるくせをつけるようにしました。

――:基本的な考え方を身につけるようにしていたのですね?

安田:はい。ですが、財務諸表論は直前期になると、適応指針などが出てきて、それはもうただの暗記でした。

――:暗記は苦手ではなかったの?

安田:結構得意です(笑) 一夜漬けタイプなので、とにかく暗記しました。答練のたびに一夜漬けをするので結果的に覚えてしまいました(笑)

――:企業法はどうでしたか。

安田:企業法は一番回していましたね。企業法も理解と言うか、条文の趣旨を押さえることの大切さを、菅沼先生が短答の段階から授業でおっしゃっていたのでその通りにしていました。短答では立法趣旨なんて出ないからやる必要ないと思うかもしれないけど、趣旨が分かっていることによって、こういう施策を実現したい条文だから、結論こうだよな、ということがわかると条文自体も忘れなくなります。なので、やっぱり理解から入りました。ですが監査論、財務諸表論、企業法とあったら、やっぱり企業法は一番暗記色が強いので、企業法の暗記だけはほんとにフルスロットルで回していました。

――:答練の回数どころではなく?

安田:それどころではないです(笑) テキストをこうして開くじゃないですか。ぱっとこのページ見たときに、テキストから一旦目をそらすのですよ。ここに何が書いてあった、書いてあったったことを頭の中で思い浮かべてから、それからあっているかどうかをテキスト見ることを繰り返していました。これを企業法ではずっとやっていました。

――:まさに写真を記憶するように、どこに何が書いてあるって思い出せるようにしていたのですね?

安田:企業法ではそうしていました。

――:その結果、模試の成績はどうでしたか。

安田:短答模試は、けっこう良い成績を取れていました。取れていたのですけど、模試を受験することによって、最終科目の財務会計論を受ける頃には疲れているということを学びました。答練は科目ごとに受けるので、模試になると財務会計論にたどりつくまでに、ものすごい疲労困憊状態になっているのを知りました。その疲れている状態で問題を解くと、凡ミスが増えるという経験が得られたので、本番の時は焦らず受験できました。

――:結局、模試は何位ぐらいでしたか。

安田:短答の時は良くて、確か5位とかもありました。論文模試の時もまあまあという感じでした。

――:本番の短答式本試験を受けた感想を聞かせてください。

安田:短答本試験を受けたら、企業法が簡単だったのです。不安だった企業法が簡単だったので、もうテンションが上がって、そのままの状態で短答本試験を乗り越えられました。

――:結果的には何%ぐらい得点できたのですか?

安田:80%位取れました。

――:それは余裕でしたね、では、本試験が終わった日から、論文対策に切り替えていったわけですか?

安田:それができなくて(笑) 短答受かったら、論文はいけると先輩がおっしゃるから、あ!私いけるんだと思ってしまって。まず、短答って受かった翌日に先生に採点結果を報告しに行くものだと知らなくて、1週間後ぐらいに報告に行きました。だからその1週間は何もしてないってことですし、CPAの校舎に行って租税法のDVDを借りたんですけど、論文試験まではまだ時間あるなーと思ってしまうと、全然集中ができませんでした。

――:その後はどうしていたのですか?

安田:短答試験が終わってからは、連日いろんな人と遊んでいました。友達とご飯行ったり、同じ1週間のうちに、ディズニーランドと富士急ハイランドと行ったりして、とにかく遊んでいたんですよ。ゆっくり遊んで、ひと段落して、CPAの校舎に行きました。

――:それだけ遊びの誘いが入れられるってことは、試験前からお誘いが来ていたのですね?

安田:来ていました。でも断っていました。

――:断っていて、ストレスはなかったですか?

安田:ないです。時間がないからって感じでした。

――:短答式試験まで、ほとんど休みは取らなかったのですか?

安田:取らなかったです。週に60時間はやれと言われていたので、直前期はちゃんと60時間やっていました。

――:短答を受けて1週間遊んで、校舎に久々に来て、租税法のDVDもらったけれど、あまり勉強に身が入らなかったのですか?

安田:全然集中できなくて、その後も、1年生の時と同じ失敗を繰り返しているような感じでした。年末になると楽しい行事がたくさんあって、ほぼ勉強をしなくて、年が明けてしまったのです。短答試験の勉強に集中していた時期には、全然大学行ってなかったので、大学の期末試験でちゃんと成績を取るために、まず情報を収集して、ノートとかを揃えて、暗記できる状態にまとめてとそういう作業が大量に残っていたので、1月は大学の期末試験対策を頑張りました。

――:あっという間に2月ですが、2月以降は焦ったりしませんでしたか?

安田:はい。2月に期末が終わって、よくよく考えたら、4月にもう論文模試があると気づいたのです。その段階で租税法は3回分位しか見ていなくて、短答の時と同じ感じ過ちを繰り返してしまったようで、やばいと思って、租税法を見始めました。校舎に行く癖は短答の勉強をするときについていたので、その癖を呼び覚まして、校舎に通うようにしました。租税法は週に3本の視聴で済むところ、私は1日1本見て、その復習して論文の勉強を開始しました。

――:租税法・経営学の講義DVDはいつごろ見終わりましたか?

安田:租税法の溜めていた分はすぐに消化して、カリキュラム通りぐらいの時期に終わったのです。経営学は分量を見る限り、たぶんすぐ終わるなと思ってしまって、すごく溜めてしまいました。ライブの答練を受けることを重視していると先ほどは言いましたが、経営学だけは何か余裕があると思ってしまっていて、経営学の答練だけはすっぽかしていました。4月の模試の直前に経営学を一気にやりました。Sunday答練を使って、模試の直前に溜めていた答練を全ての週末を使って受講しました。4月の模試時点で経営学の進捗はギリギリでした。

――:租税法は分量があるので、2月3月は租税法と経営学の対策をするだけで終わってしまったのかな?

安田:終わってしまいました。

【論文試験対策】
短答試験時代から理解を重視していたため、論文対策でその「理解」が活きてきました

――:短答科目は、2月からどうしていたのですか?

安田:短答科目は理解を重視していたのが功を奏しました。短答では暗記中心でしたが、短答の勉強をしていたときからちゃんと理解をしていたので、監査論はテキストも何も見て行かないで上級答練を受けたのですけど、普通に解けました。これは、授業を受けているときに先生が考え方を一から教えてくださっているから、ちょっとやそっとでは忘れないようになっているんだなと、実感しました。ただ、企業法の条文は忘れていました。ですが、論文試験で問われる企業法は条文ではなくて新しい勉強方法なので問題はありませんでした。

――:企業法の論文の勉強は短答とまたちょっと違うのですね?

安田:企業法は短答で得た条文の知識は一旦置いておいて、趣旨の記憶を呼び覚ましました。企業法の論文ガイダンスを受けて、論文対策集を回しました。短答で得た趣旨の知識を踏まえた上で、新しく勉強をしました。企業法の論文もけっこう暗記しましたね。

――:特に何を暗記していたのかな。

安田:論文対策集と答練を暗記しました。こういう問われ方をしたら、こういう流れで書くと言うのを暗記しました。過去問を見るに、パターン化しているところもあるのかなと。やっぱり文言などを暗記できてしまうと、すらすら書けるので、ある程度のフレーズは暗記して、答練に臨んでいました。

――:経営学もそういうところはありましたか。

安田:経営学は経営管理の方はただの暗記でしたが、計算の方は簿記と同じように理解が大切でした。

――:永田先生の授業はわかりやすかったですか?

安田:とてもわかりやすかったです。経営学の授業が一番楽しかったです。わかりやすいのはもちろんなのですが、経営学で勉強する内容がすごく面白くて、楽しく勉強していました。

――:どんなバランスで勉強していたのですか?もう一度全体的に教えてください。

安田:論文の勉強として、租税法と経営学と企業法しかやっていなかったです。監査論は記憶の余韻でいけて、財務諸表論も、フレーズが頭に残っていました。最初の頃の財務諸表論の答練ってけっこう基礎的なこと、要するにテキストの丸写しみたいなところがあって、これも記憶の余韻でいけました。管理会計論の理論も、本試験でもそういう傾向にあると思うのですが、結構基本的なことが聞かれる傾向にあるので、短答の記憶で乗り切りました。そうなってくると、企業法の論文対策と租税法と経営学を模試に向けてやっていました。

――:そして 4月を迎えました。論文模試の結果はどうでしたか?

安田:4月の論文模試はすごく良くて、総合9位でした。

――:いろいろありましたが、1回目の論文模試を受けたら9位でした。これはいけそうだと思いましたか?

安田:そうなのですが、今回はその後のたるみはしませんでした。租税法の試験範囲が1回目の模試のときは本試験より狭かったのです。でも、本試験って8月じゃないですか。大学の前期末テストもあるはずなので、それを考えると、けっこう大変そうだなと思っていました。ですから、4月の模試が終わってからもちゃんと校舎には行っていましたね。

――:その頃は何時間ぐらい勉強していましたか?

安田:短答試験前よりは毎日箱詰め状態ではありませんでした。1日使って遊びに行く日もありました。1週間全部フルで校舎にこもっていたわけではないです。毎週土曜日にサークルがあるのですけど、これはずっと1年生の時から固定的に午後に入っているので、土曜日は答練が終わってからサークルに行ったりしていました。大学もあったし、夜だけ友人とご飯行ったりしていて、週に5日ぐらいはCPAの校舎で朝の10時半から18~21時ぐらいまで勉強していました。

――:論文試験に向けて、5月6月はどの科目を中心に回していましたか?

安田:その頃になって、やっと財務諸表論が、論文の中で最重要科目だってことに気づきました。配点が純粋に一番多いので、かける時間も一番多かったです。

――:答練もだんだんと難しくなりましたよね?

安田:はい。財務諸表論の短答の記憶で通用するのは、上級答練が終わるくらいまでの期間でして、直前答練になると急にレベルアップしました。その場で考える応用問題だらけになって、私が覚えた定型の文言の知識だけだと、直前答練には太刀打ちできなくなりました。

――:どのように対応を考えたのですか?

安田:そのときに、もうちょっとちゃんとテキストを回す回数を増やそう、あと、上級答練でやった財務諸表論の問題も見返そう、としたりしました。あと、上級答練で新しい論点の解説があって、それもちゃんと頭に入れるようにしました。勉強方法が明確に変わったわけではないのですが、4月の模試が終わってから、財務諸表論もちゃんと回すようになりました。

――:それは自分で考えたのですか、誰かにアドバイスを求めたのですか?

安田:アドバイスは求めてないです。ただ、財務諸表論の雲行きが怪しくなってきたことに気づいて、危機感を感じて、ちょっとやり始めました。

【CPAのフォロー体制】
今、後悔しているのは、CPAに通っていたのだから、もっと先生に相談して効率良く勉強すればよかったということ

――:他にこうしておけばよかったなと思うことはある?

安田:私勉強していたときに、すごく今後悔していることがあって、それはもっと先生を利用すればよかったということです。私は全然相談とかも行かなくて、遅れているけど、無言で1日3枚DVD借りるという感じで、遅れているのですけどどうしたらいいでしょうか、という相談もしませんでした。だから、全部自己完結型だったと思います。CPAにせっかく通っていたのに、すごくもったいなかったなと今は反省しています。

――:今思い返すと、ペース配分がうまくいかないときに、先生に相談した方が、効率的に進むと思いますか?

安田:それはもう確実にそう言えます。やっぱり1日DVD3枚見るって非効率だと思うのですよ。復習がおろそかになって忘れちゃうから。私は先生に相談しなかったことによって、それを教えてくれることもなく、ただなんかもう当時はフルスロットルでやろうって思っていました。今考えると、1日1本見て、1日のうちに絶対にその分は理解して、次に進むってやった方が効率的だと思いますが、私は相談に行かなかったことによって、その情報は得られなかったから、遠回りをしていたなーと思っています。先生方って、たくさんの合格者見ていますよね。だからやっぱり気になったこととか、勉強方法とかも、とにかく何でも聞きに行った方がいいと思います。チューターになった今もそう思います。

――:これから受験する人へのアドバイスは、やっぱり先生方やチューターのアドバイスしてもらうといことですね?

安田:そうですね。あと、これだけは絶対やめた方がいいということもあります。私は、わからないことがあると、なぜだろうって考えてしまって、それで1日の時間を消費してしまうのです。だから、1つわからない論点があると、すごく無駄に時間を浪費してしまいます。それは短期で合格したいなら絶対にやってはいけないことです。先生に聞きに行けば一発で解決するのに、考えることによって無駄な勉強時間を消費してしまいました。後輩たちには、わからないなら聞きに行くことを徹底して欲しいです。

――:考えること自体は悪くないけど、時間を区切って、わからなかったら聞きに行くとかしたほうがいいということですよね?

安田:そうです。

――:それは貴重なアドバイスですね。試行錯誤しましたが、8月の論文試験の手応えはどうでしたか?

安田:論文は終わった後の手応えとしては、普通ぐらいだったのですが、後から考えれば考えるほど、あそこできなかった、ここできなかった、というのがいっぱい出て来ました。短答みたいに丸つけができないから、解答速報が発表されたときに見て、こんなこと書いてないって、とても焦りました。

――:なるほど。手応えがあった科目はありましたか?

安田:監査論だけは、私が書いたこととまるまる違うことが解答速報に出ていましたが、上手く書けたし、答練で手応えと点数が相関する感覚がつかめていたから、本番でもたぶん点は取れているのだろうと思えました。租税法は計算が難しくて、死に物狂いでやっていたので、記憶もなくて、租税法だけは何点でもおかしくないって思ったのですが、結果的に租税法が、全科目で一番ぐらい点数が取れていたと記憶しています。

――:企業法はどうでしたか?

安田:企業法も良かったと思います。答練が全部当たっていて菅沼先生に感謝しました。答練をちゃんと復習しておいてよかったなと。先生を信じてついていくことが大事だとここでも思いました。

【私のテキスト活用方法】
とにかくテキストを何度も回しました。回すことで知識の定着を図りました

――:最後に教材を見ながらお話を伺いたいのですが、それほど書き込んでいるわけではないのですね?

安田:そうです、付箋はたくさんつけていましたけど。

――:自分の勉強を象徴するページはありますか?

安田:このページです。このページを選んだ理由は、私がこういう風に勉強していたというところが強くでているところだからです。まず、テキストを見ながら、ペンでぐるぐる書きにすることが多くて、覚えよう覚えようみたいな感じで、線を引いて、これが1回目、赤いペンでぐるぐるして、2回目は星を書く、とにかく覚えたいところで手を動かしていました。先生に言われなくても、覚えるところに番号を振ったりして、ここでは考えなければいけないことが2個あるな、番号振っておこう。あと、少し似た文言があったら、こうやって比べるとか。あと、関連する論点とか、ここと間違えやすいなーって思ったところのページを書くとか。そんな感じで勉強していました。

あと、もうひとつ、短い付箋が短答時代の付箋で、このピロピロしたのが論文時代の付箋なのですよ。そして、これが論文の直前に全部回そうと思ったところです。こうやって付箋を沢山使っていました。

――:短答時代に終わったものはあまり見なくなって、論文のところを見ようと、最後はこのまとまったところを見ようとしおたのですね?

安田:そういう方法でした。

――:そうやって勉強されたのですね。1日に何ページぐらい進んだのですか?

安田:1日に何ページというか、直前期になると、今日は財務諸表論のテキスト4冊全部回すという感じで、1日で回していました。でも、その回す累計回数が増えれば増えるほど、回す速度が速くなりました。最初のうちはもうじっくり読んでいましたけど、最後はもう何なら付箋のところだけ、パッパッと開いて確認して次のページに移動する感じで、もう半目で見て確認して次に移動していました。

――:なるほど、とにかく何度も確認して記憶にとどめていったのですね、大変勉強になりました。ありがとうございました。

安田:ありがとうございました。

関連の合格者の声