(論文生向け)企業法の勉強方法

皆さんこんにちは
企業法講師の福田雄介です。嘘ですごめんなさい。
水道橋校チューターの福田雄介です。
前回自分が投稿した監査論の勉強法ブログを読んでくださった方はありがとうございます!
今回は、自分が最近水道橋校で頻繁に相談を受けている、論文式の企業法の勉強法についてブログを書いてみようと思います。
これから私が述べる勉強法は、企業法を一例にするものであり、本質は論文式試験の理論科目の全てにおいて言えることだと考えています。
これを読んだ皆さんの勉強の指針に、少しでもお役に立てればと思います。
【読了時間】 約5分
【対象】 論文生
【目次】
1. 短答と論文で大きく変わる、企業法の勉強法
2.具体的な勉強法
3.おわりに
1. 短答と論文で大きく変わる、企業法の勉強法
第一回論文式模擬試験まで残り1か月を切りました。
論文生の皆さんは、そろそろ模試に向けて各科目の現状に危機感を覚え始めているところではないでしょうか…
論文式の勉強が始まると、つい新しい科目の租税法・経営学の勉強に追われて短答科目の勉強の意識が相対的に弱くなりがちですが、短答科目でも、特に企業法は論文式試験になって大きく勉強方法が変わりますから、重点的に対策する必要があります。
ここで自分が強調したいのは、問われる内容(条文の内容→その趣旨・会社法上の論点)だけでなく、するべき勉強法も短答と論文で大きく変わるということです。
今回のブログでは、短答式試験までで一切問われることのなかったいわゆる「論点問題」に絞って、対策方法について書いていきます。
短答式試験においては、条文の正誤判断ができるようになる必要がありましたから、するべき勉強法としては「覚えた条文の数を増やしていく」ことにありました。
つまり、知識の質としては「正誤判断ができるレベルの精度」が求められ、それをクリアできる知識の「数を増やしていく」勉強が求められます。
イメージとしては、「企業法の全条文の階段を一歩ずつ登っていく」ような勉強が求められます。
論文式試験においては、条文の体系的な理解・その趣旨については短答式試験までの学習知識が活かされますが、「論点問題」については会社法上の論点が問われますから、新たな知識が求められます。
会社法上の膨大な数存在する論点への対策において大事なことは「何が聞かれても軸を外さない答案を作成できる(=論ズレしない)」ことです。
極論を言えば、たとえ100%の精度で記述できる論点問題のストックがいくつか用意できても、それらの論点が一切出題されなければ0点の答案にしかならないのが論文式試験です。
論点を「知らない」ことは最大の致命傷だと言えます。
○か×かを問われるわけではないのですから、100%の精度で各々の論点を抑えていく必要はありません。
どんな論点が聞かれても30%の精度で記述できる状態のほうが、論文式試験においては合格により近い状態なのです。
これを意識せず、短答式試験の時と同じように、「企業法の全論点の階段を一歩ずつ登っていく/論点を1つずつ攻略していく」勉強法で進むんでしまうと…
これでは登ってきた部分にしか対応できず、これから登る予定の論点には一切対応できません。これは、良くない勉強法です。
論文式試験に求められる勉強法のイメージとしては、
「企業法の論点毎の階段を、同時に、1段ずつ登っていく」勉強法です。
このようにすることで、
最も重要な「何が聞かれても軸を外さない答案を作成できる(=論ズレしない)」答案を作成することができます。
全ての問題に対して、0点を採点者に付けさせない。
それは論文式試験においては何より重要なことです。
2.具体的な勉強法
ここからは、論点を同時並行的に満遍なく学習するということは前提とした上で、具体的にどのような学習がそれを可能にするのか、自分の行っていた学習法をベースに説明します。
※あくまでこの学習法は自分の行っていた一例です。こちらは「参考」にしていただき、自分に合った勉強法を確立してください。
論点問題に正答できるようになるには、
①問題文を読み、「何が論点になっているのか」を把握する
②論点に対する判例や学説の見解である「規範定立」の知識を吐き出す
③当てはめる
というプロセスが必要になりますが、このうち①あるいは②の段階が突破できなければ0点の答案から抜け出せません。
ですから、普段の学習の軸は、①と②に重きを置くべきです。
①について、ミスをしてしまうパターンとしては大きく2つあります。
1つ目は、「論点自体を知らない」ケース。
これは、当然のことですが「会社法上どのような論点が存在するのか」を知っておけば対応できます。
2つ目は、論点は知っているものの「他の論点であると勘違いしてしまう」ケース。例えば、上級1の代表権濫用と専断的行為や、上級2の財産引受と現物出資を勘違いして答えてしまう答案は一定数ありました。 このミスは、「代表権濫用の論点の存在を知らなかった」「財産引受の概念を知らなかった」ために起きるミスではないはずです。
これは、「その論点を、他の論点と差別化すること」によって対応できます。私は、論点を「知る」ということの意味には、これも含むと考えています。「何が論点」をさらに掘り下げ、他の論点とどこが違うのか。どのような要素がその論点であることの必要条件なのか。を考えて読み込むことにより、論点を「知って」ください。
論点は無数に存在するわけではありませんから、「知って」さえいれば、後は個々の問題の与える事例毎に、自分の知識のどの引き出しを引けばいいのかと、論点ごとに区別・整理された「引き出しの名前」を参照すれば良いだけです。
これは、前回の監査論の勉強法ブログで説明した、「引き出しに名前を付ける」作業に当たります。企業法の場合は監査論よりも論点が明確ですから、特に「他の引き出しと区別した名前付け」の意識が重要です。それができれば、「0点答案」のリスクはほとんど無くなります。ですからここのプロセスは最も重要です。
各論点の階段の一段目が「そのような論点が存在することを『知る』こと」であると言えるでしょう。
これは、後述の②で説明しますが、論文対策集①の巻末付録にある「論点まとめ」の使用により②と合わせて、並行して押さえることをお勧めします。ただし「論点まとめ」で、その論点がどのような論点であるかイメージできないレベルであれば、その場合はテキストや論文対策集②で各論点の背景を再確認してから、「論点まとめ」を利用してください。
②については、論証集の模範解答やテキストに記載されているような規範定立をいきなり再現するのは至難の業です。
まずは、精度は低くていいので、「結論」と「その理由がどんなものか」(論拠は何個あって、それぞれ簡単に言えばどういうことなのか)を押さえましょう。
それを補助する教材としては、論文対策集①の巻末付録にある「論点まとめ」の使用をお勧めします。自分は各答練の前に必ずこれを一周し、どの論点が出題されても必ず手が動くぞ!という確信をもって答練に臨んでいました。
「論点まとめ」はテキストや論文対策集②で詳細に記載されている各論点の説明よりは簡素なものですが、要点は詰まっています。これは最初の目標(階段の50%地点くらいまで)として使う上でおすすめの教材です。論点の存在と、結論・規範定立、そしてそれを記述する上での最低限のキーワードはこれを使えば効果的かつ効率的に学習が可能です。ぜひ利用してください。
おわりに
いかがだったでしょうか。
企業法は、勉強の方針を上手く立てないとなかなか成績が伸びません。
上記のことを参考に、みなさんなりの「軸を外さない答案作成術」を模索していってください。
最後になりますが、自分は4月は水道橋・梅田校におりますので、短答生・論文生、そして科目を問わず、何でも質問・相談に来ていただければと思います。
閲覧いただきましてありがとうございました。
併せて、「監査論の勉強方法」についてもぜひお読みください。