
先日付小切手についてのよもやま話
先日付小切手とは,小切手に記載されている振出日が実際の振出日以降の日付(先日付)となっている小切手を言います。
文章だと無駄に難しくみえるので、イメージをつけてみましょう。
このように、3/1に取引したのに、小切手の振出日には先の日付が書いてある、これが先日付小切手です。
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「資金繰りが苦しいッ・・・でも、支払が必要だ・・・」という際に、苦し紛れに利用されるのが先日付小切手です。
通常の小切手の場合、振り出すとすぐに換金されてしまうのが通常です。なので、小切手を振り出す際は、事前に当座預金口座にお金を用意しておく必要があります。
だとすると、お金がいま十分にない会社は通常の小切手は振り出せません。仮にお金がないのに振り出すと、不渡りを起こしてしまい、会社の存続に関わってしまいます。
そこで、登場するのが先日付小切手です。
先日付小切手の場合には、「いま」振り出しても、記載されている日付は「未来」であるため、その未来までに資金を用意できれば不渡りを回避できるのです。
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自分の講義では、「先日付小切手は、その先日付になるまでは換金できない」と、さらりと説明しちゃってますが、
法律上は、先日付小切手をすぐに銀行に持って行ってもふつーに換金できることになっています。
ただ、先日付小切手をもらった当社からすると、強引に換金しても、相手は支払えず・・・不渡りになり・・・相手がつぶれちゃう・・・となってしまい、当然、そうなることは望まないわけです。
なので、「わかりました、では、先日付までは換金しませんよ」と、(しぶしぶ)OKしてるのが、先日付小切手の実際です。
実際に定義をちゃんと確認してみると
”先日付小切手は当該先日付までは,金融機関に呈示しない(換金を行わない)ことが,当事者間で合意されている”
と「当事者間で合意」ときっちり書いてあります。
このようなことがわかれば、先日付小切手が簿記上の現金の範囲には含まれない、というのも納得ですね。
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もし試験で、例えば
”金庫を実査したところ、先日付小切手が3,000千円あった”
という問題文に出くわしたら、
「おいおい、そんな会社と高額な取引しちゃって大丈夫か!?」とツッコミをいれてください笑
あ、もしみなさんが友達から先日付小切手をもらう機会があれば、注意しましょう笑
CPA 財務会計論講師
登川雄太(@nobocpa)
このブログがみなさんに気付きを与え,お役に立つことができますように。