登川講師

会計思考力を強化する!具体例で学ぶ法的形式vs経済的実態

面白い題材があったので、それを参考に問題を作ってみました。

息抜きに気軽に読んでもらえればと思います。

問題

まずは以下の問題を読んでみてください。

<条件>
・当社はA氏とハニワの置物(以下、物品という)の売買契約を結んだ。
・当社は契約時に物品の購入代金100をA氏に現金で支払う。
・A氏は契約より2ヶ月経った後、物品を当社に引き渡す。なお、A氏は2ヶ月経つ前にこの契約を解約することができる。その場合、A氏は代金100を返金するほか、解約料として代金15(代金の15%)を当社に払う必要がある。
・当社が物品を購入した場合、一定の利益を付加した上で、当該物品を市場において売却する予定である。

当該取引について、当社はどのように会計処理すべきか答えなさい。

 
イメージしやすいように、この問題を図解してみます。

1.契約時

2-1.2ヶ月後(物品を受け取った場合)

2-2.2ヶ月後(解約された場合)

 

さて、この取引をどう捉えればいいでしょうか?もし時間があれば、下記の解答を見る前にぜひ考えてみてください。

 

解答

では解答例をみてみましょう。

解答例① 売買取引

当該取引は物品の売買であるため、売買取引として会計処理する。
具体的には、契約時において支払額を前払金として処理し、物品の受取時において仕入を計上する。

また、2ヶ月後にA氏が契約を解約した場合には、受け取った解約料を収益として計上する。

 

解答例② 金融取引

当該取引の法的形式は売買契約であるが、経済的実態は物品を担保とした貸し付け取引である。そのため、 金融取引 として処理する。

具体的には、100の支払い時に貸付金として処理し、A氏が返金(解約)した際の手数料を受取利息として処理する。もし返金してこなかった場合には、受け取った物品を資産計上し、貸付金を取り消す。

解説

解答例①は契約通りに処理をするという解答です。対して、解答例②は法的形式と経済的実態が異なることを指摘した上で、経済的実態に合うように会計処理すべき、と解答しています。

このように、企業が行う取引には、法的形式と経済的実態が異なることがあります。典型例はファイナンス・リース取引(FL)です。FLの法的形式は物件の賃借ですが、経済的実態は売買取引であり、会計処理は実態に即するように行います。

本問は、自分が勝手に作った問題であり、何が模範解答というものはありません。今回の事例を通じておさえてほしいのは、どのように会計処理するかは、取引をどう捉えるのかによるということです。会計処理には様々な考え方・捉え方があるということを知ると、会計はより楽しくなります。

また、お気づきかもしれませんが、今回のこの事例は、話題になったサービスCASHを題材にしています。しかし、今回のこのブログの内容は、CASHを直接解説するものではありませんので、その点ご注意ください。

参考記事:質屋アプリ「CASH」が狙いを外した残念な理由|東洋経済

 

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CPA会計学院 財務会計論講師
登川雄太
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