佐藤講師

「短答レベルアップ講座 その1」 佐藤講師(財務諸表論)

 

久しぶりに多少まじめな話をしてみるか( 一一)

 

先日の短答式本試験

先日の短答式本試験で,実務指針/適用指針の結構細かい論点からも出題されていました。昔はマニアックなことが出題されると,「もっと頑張った人が報われる問題にした方がいい!」「試験委員は,マニアックな会計士を育てようとしているのか?」と憤慨していました(-_-メ)

 

ただ,「知らない論点に出くわした時に,適切な対応が取れる」そんな能力を問いたいがために,試験委員はあえてマニアックな論点を出題しているかもな~と思い始めんですよ,最近(´・ω・`)

 

実際に公認会計士としての腕が試されるのは,会社の経理マンが知らないようなマニアックな取引や会計基準の規定のない取引が出てきた時。こんな時,会計的な合理性に照らし合わせて,どのように処理していくべきかを判断する必要があるわけです。

自分が知らない取引が出てきた時に思考できる能力,それを公認会計士の試験の段階で試しているのだと,今は考えるようにしています!

 

んじゃ,今回の実際の短答の問題を使って,どう思考するべきか考えていきますか☆

 

自分が知らない取引が出てきた時に思考できる能力

 

財務会計論 問題16

「退職給付に関する会計基準」および同適用指針に関する次の記述のうち,正しいものの記号または記号の組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。

 

ア.退職率とは,在籍する従業員が自己都合や定年等により生存退職する年齢ごとの発生率のことであり,在籍する従業員が今後どのような割合で退職していくかを推計する際に使用する計算基礎である。

イ.死亡率とは,従業員の在職中および退職後における入社年次ごとの死亡発生率をいう。退職給付費用は,たとえ受給権が確定していなくても入社1年目から計算するものであることから,生存人員数を推定するために入社年次ごとの死亡率を使うのが原則である。

ウ.予想昇給率は,個別企業における給与規程,平均給与の実態分布および過去の昇給実績等に基づき,合理的に推定して算定する。過去の昇給実績は,異常か正常かの判断を加えずに,入社後の実績を全て考慮しなければならない。

エ.長期期待運用収益率は,年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期,保有している年金資産のポートフォリオ,過去の運用実績および運用方針等を考慮して設定し,市場の動向についての見通しは長期期待運用収益率に反映してはならない。

1.ア  2.アウ  3.アエ  4.イウ  5.イエ  6.アウエ

 

正直,選択肢ア~エは僕でもたいして知らない論点でしたが,ただ会計的思考力,常識力,日本語力さえ使えれば,正解にたどり着くことは十分可能なんです

 

注目したいのは選択肢ウとエ。

選択肢ウは「異常か正常かの判断を加えずに,入社後の実績を全て考慮しなければならない」とあるけど,強調語句が入っている点,また予想昇給率を見積る際に,異常な昇給実績なんて普通加味しないだろー!という会計的な判断で,「×」とはできるんです!

選択肢エは「市場の動向についての見通しは長期期待運用収益率に反映してはならない」とあるけど,これも期待運用収益率を見積る上で,市場の動向を加味しないわけないですよね。これも会計的に常識的に考えて「×」としたいんです!

 

このような判断さえできれば,選択肢的に「1」以外選べないことになります。

選択肢も「問題を解く上でのヒントになる」という点を常に意識することも短答の問題を解く上ではめっちゃ重要ですね!

 

財務会計論 問題12 選択肢エ

エ.ストック・オプションの公正な評価単価を求めるために必要な株価変動性は,将来の株価変動性に関する算定日現在における予測値であるため,その見積りに当たっては,過去の株価実績ではなく,自社または類似の株式オプションの市場価格から株価変動性を逆算する方法が基礎となる。

 

これも適用指針のマニアック論点ですが,株価変動性を見積る際に「過去の株価実績を使わない」わけないですよね。基本的に将来のことは,過去の実績に基づいて見積るわけですし,「自社または類似の株式オプションの市場価格から株価変動性を逆算する方法」とあるけど,「逆算する」とかっていうへんてこな方法を基礎として見積るわけないですよね。

 

こういう会計的にも常識的にも考えて自分の知らない肢を判断するというのは,重要なスキルだと思うし,知らないことに対して思考する力も会計士試験には求められていると思っています!

今回のブログは「12月の本番でマニアックな論点がそこそこ出たから,今後の勉強でもマニアックな論点までしっかりやろう!」ということが言いたいわけではまったくありませんので,ご注意を!

 

さて,CPA早稲田校のツイッター(https://twitter.com/yuruyurutwitwi)が始まって早1ケ月が経ちますが,「登場人物が多くて,何がなんだかわからん!」という熱心なフォロアーがいましたので,こんなもの作りました☆

お暇な方はどーぞ!

 

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