
【資産除去債務】「見積りの変更」について、実務と公認会計士試験の比較

経営財務No.3266号に以下のような記事がありました。
見積の変更,資産除去債務が多数
平成27年4月期から28年2月期決算の上場会社のうち,63社が「会計上の見積りの変更」に関する開示を行っている。最も多い変更内容は,資産除去債務に関するもので47件。
資産除去債務に関する見積りの変更内容は,移転等の新たな情報の入手に伴い見積りが可能となった原状回復費用などに関するものが大半を占めた。
会計上の見積りの資産除去債務の見積りの変更が比較的多くあったそうです。
資産除去債務は公認会計士試験において重要性が高い論点の1つです。その資産除去債務の典型論点の1つとして見積りの変更がありますので、確認しておきましょう。
資産除去債務の見積りの変更の会計処理
見積りの変更は、会計上の変更の見積りの変更に該当するため、遡及修正はせずに調整額を資産除去債務及び有形固定資産に加減して処理します。(資産除去債務に関する会計基準10項)
その際の論点は適用する割引率です。
具体的には、
見積りが増加した場合には当該時点での割引率を適用し、
見積りが減少する場合には負債計上時の割引率を適用
することになります。(資産除去債務に関する会計基準11項)
この「適用する割引率をどうするか」という論点は非常に典型的なものになるので、どんな方もちゃんとおさえるようにしましょう。
本試験の出題傾向
実務において資産除去債務の見積りの変更はそれなりにあるのに対して、公認会計士試験ではどうなのでしょうか?
資産除去債務の本試験(計算)の出題実績を確認してみます。
まず短答式試験ですが、短答式では過去5年間(10回)で5回出題されています。
2回に1回は出題されていることになります。
対して論文式試験では過去5年間で2回出題されています。
短答式試験も論文式試験も多くの頻度で出題されているので、試験的な重要性は高いと言えるでしょう。
出題実績を表にするとこうなります。
短答式試験では綺麗に2回に1回出題されていますね。
さらに、この表では資産除去債務の出題実績だけでなく、その内「見積りの変更」の出題実績も記載してみました。
すると、なんということでしょう
短答式試験ではここ5年間で5回も出題されていますが、見積りの変更は今まで1回も出題されていません。
なんか意外な感じです。正直、理由はわかりません(>_<)
とは言っても、今回の開示の例や論文式で出題実績があることから分かる通り、今後の本試験で出題される可能性は十分にあると思っています。
結果的に、ただ受験生を惑わすだけの表になってしまいましたが、見積りの変更の会計処理はしっかりおさえるようにしてほしいと思います!
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CPA会計学院 財務会計論講師
登川雄太
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