登川講師

原則・例外をマスターしよう!例外規定が出てくる典型的な3つのパターン

簿記を勉強していると「原則として○○○と処理するが、例外として×××と処理することができる」というように原則・例外規定はよく出てきます。最終的にどちらが原則・例外はおさえなくてはいけません。簿記を学習した当初は「なんで2つもやり方があるんだ!?」と思われる方もいらっしゃいますが、例外規定があるのにはちゃんと理由はあります。

原則・例外はいくつかのパターンに分けられますが、今回は簿記を勉強する上で、基本的に知っておいてほしい3パターンをご紹介します。

1.保守的な会計処理

例→その他有価証券の時価評価(原則:全部純資産直入法 例外:部分純資産直入法)

会計には保守主義の原則という考え方があります。保守主義というのは費用はなるべく早めに計上しようという考え方です。

保守主義の原則はなるべく控えめに利益を算定することで健全な財務諸表を作成しようという発想なので、適正な期間利益を計算しようということからは少しズレています。そのため、保守主義の原則の考え方をベースにした会計処理は例外規定になることが多いです。

この点,部分純資産直入法は「時価が下がった場合だけ費用を計上する」という会計処理であるため、まさしく保守主義の適用であるため例外規定となっています。

2.実務的配慮(簡便法)

例→償却原価法(原則:利息法 例外:定額法)

厳密に会計処理すると実務的に負担が増す場合に、簡便的な会計処理が認められることがあります。実務的な負担というのは、手間がかかるということです。

この場合の簡便法は簡便的な処理を行うことで実務の負担を減らそうという発想なので,適正な期間利益を計算しようということからは少しズレています。そのため,実務的な配慮をした会計処理は例外規定になることが多いです。

この点、償却原価法の理論上の処理は利息法ですが、計算して分かる通りこれが結構たいへんです。

また、簡便法は重要性の原則の適用例であることが多いです。重要性の原則とは重要性の低い(金額が小さい)取引は厳密な会計処理をしなくてもよいという考え方です。この適用例としては、色々あるのですが少額リース(金額の小さいファイナンス・リースは賃貸借処理が認められている)規定があげられます。

3.複数の考え方

例→その他有価証券に属する外貨建て債券の評価差額(原則:時価評価差額  例外:時価評価差額と換算差額に分ける)

1つの取引・事象に対して複数の考え方がある場合があります。この場合より妥当な考え方が原則処理となり、そうでないほうが例外処理となります。

この点、その他有価証券に属する外貨建て債券の評価差額は、時価評価に伴う差額であるため原則は時価評価差額として扱いますが、債券の換算部分と時価評価部分に分けて捉えることもできるため例外規定が認められています。

また有価証券の認識における、原則:約定日基準、例外:修正受渡日基準も当てはまります。

あとは,厳密には微妙なのですが,繰延資産もこれに該当すると考えて問題ないと思います。

 

原則例外

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