
管理会計論 講義復習ブログ⑥ 個別原価計算

管理会計論CPA専任講師の梅澤です。@umechan_cpa
昨年11月からCPAでは初学者向け公認会計士講座の管理会計論の講義がスタートしています。この講義復習ブログでは,主にCPAの受講生向けに,講義内容の復習ポイントについて説明していきたいと思います。
今回は,中級期第8回と第9回で学習した個別原価計算についてです。
製品別計算の種類について
製品別計算は単純総合原価計算,等級別総合原価計算,組別総合原価計算,個別原価計算の4つである点に注意しましょう。連産品原価の計算や工程別計算は製品別計算の形態の区別ではないので気を付けましょう。
個別原価計算と総合原価計算について
個別原価計算と総合原価計算の違いは,原価集計単位の違いによるものです。そのため,原価集計の単位の相違に関連付けて,他の相違点も押さえるように意識してください。
原価集計表について
原価計算表は仕掛品勘定の内訳を示しているので,計算問題ではまず原価計算表を簡単に作成し,それを転記する形で解くようにしてください。しかし,しばらくして慣れてきたら原価計算表を省略して解けるようになりましょう。原価計算表を綴じた帳簿を原価元帳といいますので,この点も押さえましょう。
完成品と月末仕掛品の区分について
個別原価計算では原価集計単位が指図書の生産命令数量になりますので,指図書の生産命令数量がすべて完成するまではすべてが仕掛品になります。ただし,分割納入制を採用している場合には,売上原価算定のために指図書内での原価配分が行われる点に注意しましょう。
仕損の処理について
まず,正常か異常かの判断が,質的な観点と量的な観点から行われる点を押さえましょう。
また,仕損費の金額の算定方法について,全パターン押さえましょう。
次に,仕損費の処理ですが,直接経費処理と間接経費処理の2パターンを選択適用する点を押さえてください。この点,直接経費処理が妥当な状況,間接経費処理が妥当な状況について納得できるように理解してください。また,以下の2点に注意してください。
・見積額を賦課するケースが直接経費処理にあたる点
・間接経費処理のためには,予定配賦率に仕損費を含める点
作業屑の処理について
作業屑の評価方法を押さえましょう。なお,外部に売却するケースにおいて通常の利益の見積額のデータが与えられていれば,考慮するようにしてください.
作業屑の会計処理の原則と例外3つの処理を押さえましょう。そのうえで以下の2点に注意してください。
・指図書の直接材料費から控除する処理と,指図書の製造原価から控除する処理については,原価計算表の記入が異なるだけで,勘定は同じになる点
・指図書の直接材料費から控除する処理を行った場合,直接材料費について原価計算表の合計と勘定にズレが生じる点
・指図書の直接材料費から控除する処理を行った場合,作業屑評価額について原価計算表の合計と勘定にズレが生じる点
・計算問題で作業屑を発生させた指図書が特定できている場合で,かつ作業屑の処理の指示が無いケースでは,指図書の製造原価から控除する点。この点,原則と異なる処理となるが,原則発生部門の部門費から控除する趣旨に照らし合わせて理解してください。
加工費の配賦について
製造部門に製造間接費に直接労務費を加えた加工費を集計する目的を押さえましょう。なお,責任会計の観点から,直接労務費は製造部門に集計すべき点を意識して押さえてください。
最後に,個別原価計算は,計算については仕損費と作業屑の処理がメインになります。時間がかかるものが多いですが,時間をかけて丁寧に計算して数値を出せるようになっておいてください。