
財務会計論(計算)の2015年12月短答式試験の総評及び今後の学習方針 亀尾講師

短答式試験お疲れ様でした(^*^)/
今回は財務会計論(計算)の短答式試験の総評及び今後の学習方針について書いていきます。
<総評>
今回の財務会計論(計算)は,個別問題が11問,総合問題が1題で合計112点分の出題となりましたので,昨年度(平成27年度)の短答式試験に比べてボリュームが増加したと言えます。今回は,工事損失引当金や四半期特有の会計処理,合併比率の算定など,近年の短答式試験で出題されていなかった重要性の低い論点も出題されていましたが,その反面,比較的単純な計算問題も多く出題されていましたので,点数は取りやすかったのかな,という印象を受けています。
(合格点等,より詳細な総評はCPAオンライン校の解答解説ページをご参照ください。)
なお,CPAでは計算問題が112点分ある問題も直前答練で出題していました!なので,ボリュームの増加にも上手く対応できたのでは?と期待しています。
以下では,論文式試験に向けた学習方針と次回の短答式試験に向けた学習方針を記載します。
<論文式試験に向けた学習方針>
短答式試験に向けて学習された方は,計算力自体は既に高まっていると思われるため,基本的には財務会計論(計算)はテキストや問題集を定期的に回転することで,実力の維持を行っていただければと思います。
その上で,論文式試験と短答式試験の違いとして,論文式試験は短答式試験とは異なり,問題文全体から必要な情報を自分の力で抜き出して解答する力が求められる,という点が挙げられます。
つまり,短答式試験の場合(特に個別問題)には,税効果会計の問題なら税効果会計に関する情報のみが与えられていましたが,論文式試験の場合には,問題文全体に税効果会計に関する情報がちりばめられているため,自分で税効果会計の解答に必要な情報を抜き出して解答する力が必要になります。
これは,総合問題形式の答案練習等を解くことで身に着く力になりますので,答案練習を解く際にはこの点にも留意してください。
<5月短答式試験に向けた学習方針>
今回の財務会計論(計算)で,以下の問題を失点してしまった方は基礎力に問題がある可能性が高いと思います。
問題3(現金預金)
問題6(社債)
問題7(資産除去債務)
問題13(ストック・オプション)
問題15(リース会計)
問題19(外貨建取引)
上記のいずれの問題も各論点を特にひねらずにまっすぐ問うているため,確実に得点したい問題と言えます。そのため,今回間違えてしまった問題の分析をし,弱点の強化を行うようにしてください。この際に意識してほしいのが以下の2点になります。
①問題を見たときに,解く手順や解答算定のために必要な情報が迷わず出てきたか?
②出題論点に関連する引っ掛けや注意点がすぐに出てきたか?
例えば,問題13(ストック・オプション)で間違えた場合には,以下が出来ていたかどうかを振り返ってほしいです。
①問題を見たときに,解く手順や解答算定のために必要な情報が迷わず出てきたか?
・解く手順
条件変更の処理が問われているので,条件変更の内容を捉えた上で,当期に帰属する株式報酬費用の額を算定する。
・解答算定のために必要な情報
ストック・オプション数,付与日から権利確定日までの期間・公正な評価単価・条件変更日・条件変更の内容等
②出題論点に関連する引っ掛けや注意点がすぐに出てきたか?
引っ掛けや注意点として,主に以下が挙げられます。
・当期の会計期間はいつか?(どの会計期間の株式報酬費用を算定するのか?)
・条件変更日はいつか?(いつまでが条件変更前で,いつからが条件変更後か?)
・条件変更により,公正な評価単価が上昇しているのか,下落しているのか?
・費用計上期間の変更はあったか?
そして,上記について漏れがあった場合には,その漏れを失くすために,何をすべきかを考えて実行してください。(例えば,解く手順が出てこなかった場合には,テキストや問題集の問題形式を覚え込んでしまっている可能性があるため,普段の学習において,なぜそのように解くのか?の理由をしっかりと考えるようにする等)
この作業を普段の答練や模擬試験の際にも継続して行うことで,基礎力は強化されると思います。
また,今回は問題10で工事損失引当金が,問題18で四半期特有の処理である原価差異の繰延が出題されています。こちらは,計算問題としては重要性が低い論点なのですが,計算自体は非常に単純な形式で出題されていますので,出来れば得点したい問題だと言えます。
基礎力が固まってきた方で,重要性の低い論点まで手を広げることができる方は,テキストに掲載されている単純な形式の問題でいいので,触れておくことがお勧めとなります。
それでは引き続き学習を頑張ってください!