
管理会計論 講義復習ブログ② 労務費会計(梅澤講師)

管理会計論CPA専任講師の梅澤です。@umechan_cpa
11月からCPAでは初学者向け公認会計士講座の管理会計論の講義がスタートしています。この講義復習ブログでは、主にCPAの受講生向けに、講義内容の復習ポイントについて説明していきたいと思います。
労務費会計について
今回は、中級期第2回と第3回で学習した労務費会計についてです。いまはいいですが、なぜか最終的に、労務費会計が嫌いになる人が多いんですよね。(笑)ポイントを整理すれば大した内容はありません。しっかりと復習してください。
労務費の定義について
材料費と異なり、定義をちゃんと押さえる必要はないです。ただし、以下の3つは経費となる点に注意しておいてください。押さえ方は従業員ごとに把握可能なものは労務費、できないものは経費になります。
・福利施設負担額
・厚生費
・従業員募集費
労務費の分類について
賃金と賃金以外に区別できるように意識しましょう。作業に関係の無い手当については、賃金を構成しません。この点、作業に関係のある手当である定時間外作業割増賃金、深夜作業手当、不快作業手当、危険作業手当は、賃金を構成しますので注意してください。
支払賃金、給与支給総額、現金支給総額について
これらは明確に区別できるようにしましょう。
なお、社会保険料の預り金については、同額を会社負担分とすることが多い点に注意してください。
賃金の消費額について
作業時間の測定を行う直接工の賃金は、原則として作業時間×消費賃率で計算します。
作業時間の測定を行わない間接工の賃金は、原則として要支払額を消費額とします。
直接工の就業時間について
就業時間の内訳を押さえましょう。
加工時間と段取時間は直接作業時間となり、これに対応する消費賃金は直接労務費となります。
間接作業時間と手待時間に対応する消費賃金は間接労務費となります。
なお、不在時間は手待ち時間と異なり、就業時間を構成しますので注意してください。
工場側で管理不能な手待時間は非原価項目となりますが、就業時間を構成しない点に注意してください。
定時間外作業割増賃金について
残業が経常的に行われている場合(通常の場合)には、消費賃率の計算に含めます。
残業が経常的に行われていない場合(特段の指示がある場合)には、消費賃率の計算に含めずに別建て処理します。別建て処理をする場合でも、賃金を構成している点に注意です。
直接工の予定消費賃率
直接工の消費賃率は、原則として実際の消費賃率ですが、必要有る場合には予定賃率を用いることができます。なお、予定賃率を用いる場合に未払賃金の計算が要求されることがありますが、その場合、未払賃金も予定賃率で計算される点に注意してください。
また、予定消費賃率使用のメリットは2つ必ず押さえましょう。このうち製品原価の変動の排除については、材料費の場合と少し理由が異なる点を説明できるようにしてください。具体的には、固定費的側面を持つ賃金については、販売量に依存する生産量の増減により、実際の消費賃率が変動してしまいますが、これは製造現場において管理不能である点を説明できるようにしてください。
消費賃率の分類
個人別、職種別、工場全体の消費賃率が設定できる点、また予定賃率と実際賃率のどちらも設定できる点を押さえましょう。これらの組合せとして、原価計算基準において、個人別の予定賃率は規定されていない点に注意です。個別賃率が合理的となるケースは限られている点も合わせて押さえましょう。ここは、個人別の賃率の相違を反映させるべきか否かで考えてください。
直接労務費の管理
利益計画上は固定費扱い、原価管理上は変動費扱いが望ましいという結論をまずきっちり押さえましょう。原価管理上は変動費とすべき理由ですが、標準原価管理を行うため(原価標準の設定のため)と簡単に押さえてしまって差支えないです。直接労務費の管理方法の変遷については読み物として捉えてください。
最後に、個人的には、労務費会計が最も細かい計算、知識を押さえなければいけない論点だと思っています。なので、今後はこんなに細かい知識を押さえなければいけないものは出てきませんので安心してください。それでは、引き続き頑張っていきましょう。