菅沼講師

平成26年会社法改正の概要① 菅沼講師(企業法)

 

アロハ!(ハワイに行ってきました)

企業法専任講師の菅沼です。@suganuma_cpa

 

12月短答式試験まで,あと3週間を切りました!

短答式試験を受験される方は,直前期MAX暗記モードに入っていることと思います!

 

また,先日,論文式試験の合格発表がありました!

2015年合格目標の受験生にとっては,1つの区切りとなったのではないでしょうか。

残念ながら不合格だった方も,来年の試験に向けて動き出しましょう!

 

さて,平成28年公認会計士試験から,「平成26年会社法改正(以下,改正法)」が試験範囲になります。

(以下,改正前の会社法を学習した経験のある方を対象に書かせて頂きます。)

 

12月短答式試験を受験される方は,何らかの形で改正法に対応していることと思いますが,まだ,どのように改正されたのかが曖昧な方も多いでしょう。

また,論文式試験を受験された方は,これから改正法に対応していく方がほとんどだと思います。

そこで,今回のブログは,改正前会社法を学習した経験のある受験生を対象に,改正法の主な内容について,その概要を説明したいと思います。ちょっと長くなりそうなので,このシリーズは全3回を予定しております。

 

 

今回の改正の内容は多岐に渡りますが,主な内容は,① コーポレート・ガバナンスの強化,② 親子会社に関する規律等の整備という2つの目的に大きく分けることができます。

 

それでは,まず,機関に関する改正から見ていくことにしましょう。

 

 

 

【機関に関する改正】

1.監査等委員会設置会社制度の創設

改正法は,社外取締役の普及を図るために,監査役会設置会社と委員会設置会社(改正によって「指名委員会等設置会社」に改称)の中間的な機関設計として,監査等委員会設置会社を創設しました。

この点に関しては,前回のブログを参照してください!

前回ブログ「監査等委員会設置会社について」

 

2.社外取締役・社外監査役関係

上場会社においては,取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化するために社外取締役の選任を義務づけるか否かが改正法の重要な検討課題とされましたが,改正法は,上場会社に社外取締役の選任を義務づけることはしませんでした。しかし,一定の要件を満たす株式会社が社外取締役を置いてない場合は,取締役に定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明する義務を課すことで,間接的に選任を促す規定を設けました。

また,社外取締役・社外監査役の要件も見直され,要件の厳格化と緩和化が図られました。

 

 

3.会計監査人の選解任等に関する改正

会計監査人の独立性をより図るという観点から,会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定について改正がなされました。

 

 

4.取締役・監査役の責任の一部免除

社外取締役・社外監査役の要件を厳格化されたことに伴って,最低責任限度額の算出や責任限定契約を締結することができるものの範囲について改正がなされました。

 

 

5.最終完全親会社等の株主による特定責任追及の訴え(多重代表訴訟制度)

親会社の株主の保護を図るため,改正法は,一定の要件の下,親会社の株主が当該親会社に代わって,子会社の取締役等に対して責任追及することのできる多重代表訴訟制度を設けました。

 

 

 

 

6.旧株主による責任追及等の訴え

株主が責任追及等の訴え(株主代表訴訟)を提起した後に,株式交換等が行われた場合に当該株主が対価として完全親会社等の株式を取得したときは,責任追及等の訴えを追行することができます(これは,改正前会社法においても改正法においても同様です)。

しかし,株主が責任追及等の訴えを提起する前に株式交換等が行われた場合であっても,一定の要件を満たす場合は,一定の株主(旧株主)に引き続き責任追及等の訴えを提起する利害関係があるものと考えられるため,改正法は,旧株主による責任追及の訴えの制度を創設しました。

 

 

その他の改正は,以下の通りです。

 

・ 多重代表訴訟制度や旧株主による責任追及等の訴えの制度が創設されたことによる訴訟手続や利益供与に関する規律の改正

・ 企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備

・ 株主総会の決議取消しの訴えの原告適格に関する改正

・ 監査役に関する登記関係

 

 

次回以降,【株式に関する改正】【設立に関する改正】【資金調達に関する改正】【組織再編行為等に関する改正】の概要について説明していきたいと思います。

 

以上のように,機関だけでも幅広い改正がなされていますので,平成28年公認会計士試験を受験される方は,しっかりとした対策が必要となってきます。

 

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