社会人なら知っておきたい会計基礎知識 ~M&Aとは?メリットデメリット解説~

ソフトバンクが、アメリカの通信王手のスプリント社を買収したり、サントリーがアメリカの蒸留酒最王手のビーム社を買収したりと、近年では企業同士のM&Aのニュースをよく目にすると思います。

そもそも、M&Aとは、ある会社が他の会社や事業を買収または合併し、吸収していくことや、ある会社が会社や事業を売却すること意味しています。その目的は、事業の拡大をよりスピーディーに行っていくためであったり、不採算部門を売却し競争力のある事業に集中したりすることです。

ソフトバンクのスプリント社の買収にしても、日本である程度成功したソフトバンクは、アメリカという巨大市場を狙っていました。その際に、ゼロからアメリカの通信市場に挑んでも時間がかかってしまうため、アメリカの通信王手を買収し、一気に攻めていこうとしているわけです。お金で時間を買っている感覚です。

つまり、M&Aとは、競争力を高めるために、既存事業同士がくっついたり、不採算部門を売却したりする組織再編活動全般のことを意味しているのです。

では、そもそもM&Aのメリットやデメリットは何なのでしょうか。今回は、会社全体を買収したり合併したりするケースで考えていきたいと思います。

【合併・買収する側のメリット】

1.短期間で売上や利益の拡大を図れる

M&Aには、水平的統合と垂直的統合という分類があります。これは、横に広げていくのか、縦に広げていくのかの違いです。例えば、ソフトバンクのスプリントの買収は、アメリカ市場に展開していくという水平的統合に該当します。対して、ソフトバンクが、スマートホンの製造販売をしている会社を合併・買収する場合には、垂直的統合と言えます。

2.規模の経済でコスト削減を図る

一般的に、多くの業種においては、企業規模が拡大するにしたがってコスト効率が上がります。例えばテレビCMを打つ場合にも、金額は同じなので企業規模が拡大するほど、コスト効率は上がりますし、同じ地域にオフィスを2つ構えるよりは、ひとつのオフィスに統合した方が、コスト効率は上がるからです。また、新製品の開発なども、2社で別々にやるよりは共同で実施する方がコスト効率は上がります。このように規模の経済でコスト削減を図ることもM&Aの大きなメリットと言えます。

3.多角化を図ることでリスクを軽減できる

一つのビジネスしか行っていないと、当該ビジネス環境によって経営成績が大きく動いてしまいます。対して複数のビジネスを行うことで、当該ビジネスリスクを低減できることが可能になります。

他の業種に進出し、多角化を図るためには、ゼロから会社を作っても、ノウハウも人材もいませんので、既存の会社を合併・買収する方がメリットは高くなります。

4.既存の事業とのシナジー効果を発揮する

新しい事業を始める場合にも、既存の技術だったり、販売網だったり、顧客リストだったりと、様々な経営資源を生かすことが可能になります。そのため、買収を行うことで既存の事業とのシナジー効果を発揮しやすくなるというメリットがあります。

【合併・買収される側のメリット】

1.創業者の利潤の確保

合併・買収される側の企業としては、合併・買収されることにより創業者が金銭的な利潤を受け取ることが可能になります。そのため、オーナーが引退したいというときに跡取りがいれば跡取りに引き継ぐことも多いですが、会社を売り払うという選択肢を取ることもあります。

2.事業の拡大をしやすくなる

合併・買収される企業は、自社のみでは成長に限界があるという状況であることも多いです。そのため、社員のためにも、大手企業に合併・買収されることで、更なる成長を可能にし、社員の雇用や給料を守れるというメリットもあります。

3.不採算事業を売却できる

企業の中には、競争力が高く収益や利益を多く稼ぐ事業もあれば、競争力が低く、赤字が生じている事業もあります。そのため、企業の収益性を高めるために、不採算事業を行っている子会社などを他社に売却することで、競争力のある事業に経営資源を集中することが可能になります。

上記のようなものがM&Aのメリットになりますが、うまく企業同士が融合せずに、シナジー効果等を一切生じさせることができなかったというデメリットが起こる可能性もあります。

また、お互いの株主が同意してM&A行われることもありますが、株式市場などで強引に株を買い占め、相手の同意を得ずにM&Aを実行してしまう、敵対的買収なども存在します。

以前ライブドアが、ニッポン放送の株式をどんどん購入し買収しようとしたのは、敵対的買収の典型例と言えます。

また、買収される側の社員は、買収する側の会社のルールが適用されるようになるため、人事制度や勤務形態などの組織文化がいきなり変化してしまうというデメリットもあります。

このように、合併や買収は、メリットも大きいですが、デメリットも色々生じる可能性がありますが、今後さらに加速するグローバル資本主義の中で企業が競争力を維持し、成長していくためにはM&Aは、益々増加することが予想されます。

公認会計士も、M&Aに関連する財務デューデリジェンスや企業評価などのM&Aアドバイザリー業務の需要は非常に高くなってきています。

M&Aに関連する業務は、高度な専門知識も必要ですが、グローバルに活躍しやすく、毎回創造的な仕事であるため、やりがいや報酬も高くなる傾向がありますので、M&Aのスペシャリストになることも、魅力的な選択肢の一つだと思います。

資料を取寄せる(無料)  無料説明会を予約する