登川講師

修正国際基準とは?IFRSとの違い、趣旨、その評価まで解説します! 登川講師(簿記)

こんにちは、東京CPAで公認会計士講座の講師をしている登川(@noborikawa_cpa)です。

先日、企業会計基準委員会(ASBJ)から修正国際基準が公表されました。公認会計士試験には直接関係ありませんが、トピックではあるので、その概要を解説します。

1.修正国際基準とはなに?

証券市場がグローバル化していくなかで、日本企業でも「日本の会計基準から国際会計基準(IFRS)へ移行する」という事例が多くなっています。

そんななか、先日公表されたのが、「修正国際基準」です。修正国際基準は、以下の特徴を有した会計基準です。

● IFRSをベースにしている
● IFRSの個々の基準の内「削除または修正」が必要と判断された項目は適宜修正する
●「削除または修正」を判断するのは企業会計基準委員会(日本の会計基準の設定主体)である

つまり、修正国際基準とは、IFRSを微修正した日本独自の会計基準なのです。

2.修正国際基準の趣旨は?

日本の企業がIFRSを選択していく中、なぜあえて、修正国際基準という日本独自の基準を策定したのでしょうか?

スポーツの世界では「ルール改正で日本人が不利になって、欧米が有利になった!」みたいな話もありますが、これはある意味、ルールが選手の成績を左右することを意味しています。仮に野球でホームラン以外は全てアウトとルールが変わったら、選手の成績に大きな影響がでますよね。これは極端な例ですが、それだけスポーツにおいてルールというのは重要なのです。
そして、ルールの重要性はスポーツだけでなくビジネスにおいても当てはまります。スポーツでいうところの「ルール」はビジネスでは「会計基準」です。「選手」は「企業」です。「成績」は「業績」です。
つまり、会計基準とはビジネスを行ううえでのルールであるため、会計基準によって企業の業績は大きくかわるのです。

IFRSというルールはIASBという組織が策定しています。IASBのメンバーには日本人も含まれていますが、欧米主体の組織であり、日本の影響力が強いとはいえません。そのため、IFRSは欧米主体で作成した会計基準となっています。

企業会計基準委員会が危惧しているのはこの点です。今後、IFRSにおいて日本企業が不利になるようなルールが策定されないとは言い切れません。日本の国際的競争力を維持するためにも、ルール策定の主権を欧米に渡したくないのです。そのため、修正国際基準と銘打って、日本独自の会計基準をこの度公表したのです。

3.IFRSとの違い

現段階で、「削除または修正」された項目は大きく2点です。

1点目がのれんの償却です。IFRSではのれんは非償却ですが、修正国際基準では定期償却に修正しています。2点目が株式売却損益のリサイクリングです。IFRSではリサイクリングはしませんが、修正国際基準ではリサイクリングに修正しています。

これらの2点以外は、基本的にIFRSと同様です。このように、修正点が少ないのは修正点が多すぎると結局IFRSからかけ離れてしまうからです。

4.修正国際基準の評価

4-1.国際的な評価

IFRSを策定している団体であるIASBでは「修正国際基準はIFRSを修正した基準」ではなく「日本独自の基準」という評価のようです。つまり、国際的には「修正国際基準はIFRSとは全く別物」というとても厳しい評価となっています。

その結果、当初は「日本版IFRS」という名称の予定が、IFRSという名称を使用することができなくなってしまったという残念な経緯があります。「修正国際基準」という中途半端な名称なのは国際的に認められていないという証なのです。

4-2.日本企業の評価

修正国際基準は2016年3月期から適用ができます。しかしながら、「修正国際基準が普及するかどうかは不透明」と、否定的な意見が多いようです。これは、日本の企業が修正国際基準を採用するメリットが乏しいのが理由であると思います。

そもそも日本企業がIFRSを適用するのは、世界の土俵でビジネスを展開するためです。極端な話、グローバルで評価されるためには「日本基準で利益×××億円」ではダメで、「IFRSで利益×××億円」である必要があるのです。

しかし、IFRSは日本企業にとって不利な基準になる可能性もあります。そこで、日本企業が国際的に対等に評価され、かつ、日本企業が不利にならない、という目的を達成するために修正国際基準は策定されました。

しかし、残念ながら修正国際基準はIFRSと認めてもらえませんでした。そのため、国際的に展開する企業は修正国際基準を採用するメリットがないどころか、修正国際基準は(おそらく)国際的に知名度がないため、よくわからない基準を適用している企業というイメージがついてしまうというデメリットがあるのです。

5.まとめ

修正国際基準はIFRSを修正して策定するため、修正国際基準には「日本の意見を主張するための道具」という位置づけもあるそうです。しかしながら、結局、修正国際基準の立ち位置はとても中途半端なものとなっています。今後、実際に導入する企業が出てくるのかどうか、日本の意見がIFRSに反映されるという効果はあるのかどうか、しっかり検証する必要があるでしょう。

⇒To Be Continued…!?

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東京CPA会計学院
財務会計論講師
登川雄太(Twitter

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