登川講師

試験中の思考法!問題に引っかからないために! 登川講師(簿記)

こんにちは、CPAで公認会計士講座の講師をしている登川(@nobocpa)です。

先日、短答式試験が行われました。

財務会計論の計算は基本的な問題も多く、努力が反映されるような問題だったと思います。

今回は問題17の税効果会計の問題を取り上げ、この問題を通じて、「問題に引っかからずに解くために大切なこと」をお伝えします。

なお、問題の詳細は以下のリンクを参考にしてください。(リンク先を見なくてもこの記事は読めます)

平成27年第Ⅱ回短答式試験 財務会計論 問題17(公認会計士・監査審査会)

1.繰延税金資産の表示区分の考え方

簡潔に今回の問題の趣旨を説明すると「繰延税金資産・繰延税金負債の長短分類がわかっているか?」です。そこで、以下のような問題を考えます。

【問題】

①退職給付引当金に関する一時差異が2,400
②法定実効税率が35%

繰延税金資産の金額と、その表示区分を答えなさい。

【解答】

金額:2,400×35%=840
表示区分:固定資産の部

特に難しい問題ではありません。

繰延税金資産の表示区分は関連する資産・負債の表示区分に従います

つまり、退職給付引当金は固定負債の部に計上されるため、退職給付引当金から生じる繰延税金資産も固定資産の部に計上されます。

ノボ「ちなみに、ボブはどうかな?」

ボブ「固定資産に840です!税効果会計は得意分野って言っても過言ではないですね!」

2.本試験での出題された形式

以下に示したのが、実際の問題文の抜粋です。

問題17 退職給付引当金

退職給付引当金に注目してみると、「退職給付引当金2,400のうち、120が翌期に解消し、残額の2,280が翌期ではまだ解消しない」ということがわかります。

ノボ「さて、ボブ。こっちはどうかな?」

ボブ「あれ?来年解消する金額120があるから、それに関する繰延税金資産は流動?うん、そのとおりだ!!」

これは大きな勘違いです。(ばっさり)

繰延税金資産の表示区分は「解消する時期で長短分類をする」という考え方は基本的に採用していません

先ほども述べたとおり、「関連する資産・負債の表示区分に従い長短分類を行う」のです。
(よって、本問は2,400×35%=840の全額が固定資産の部に表示されます。)

ボブ「がーん!!た、確かに・・・」

3.引っかからないために大切なこと!

3-1.引っかけようとする問題があるということを認識する!

試験問題には2種類あります。

受験生を引っかけようとする問題」と「そうじゃない問題」です。

今回の税効果は前者の問題です。

このような問題の場合、受験生を引っかけに誘導するような形で問題は作られます。

作問者「”1年以内に120が解消する”っていう指示いれれば、受験生は引っかかりそうだな!」

ボブ「あれ?来年解消する金額120があるから、それに関する繰延税金資産は流動や!」

ボブは作問者の手のひらの上で踊らされてしまっているのです!

3-2.問題文の指示に合わせて考えてしまうと引っかかる!

ボブのように簡単に引っかかってしまうのはなぜでしょうか?

それは、「問題文の指示に合わせて考えてしまっている」からです!

問題文の「1年以内に120が解消する」という指示から、「じゃあ120に関する金額は流動だ」と指示に合わせて考えてしまっているのです。

これは一見“考えて”解いているように見えますが、実際には、作問者のひっかけに“踊らされているだけ”なのです。

3-3.原理原則から考える!

では、どうすればいいのでしょうか?

それは、「問題文の指示に関係なく、原理原則から考える!」です。

「繰延税金資産の表示区分は関連する資産・負債の表示区分に従い長短分類を行う!」(原理原則)

「じゃあ、退職給付引当金は?・・・固定負債だから、繰延税金資産は固定資産だ!来年解消するかどうかは関係ないぞ。」

このように、自分の学習した原理原則からから落としこんで解くことが引っかからないために大切であり、そして、「原理原則から落としこんで解く」ということが「考えて解く」ということなのです。

どうでしょうか?

CPAでは、本問の難易度をCとし、正答できなくても合否には影響ない問題としています。

しかしながら、全く手も足も出ない問題ではありません。学習した知識の原理原則から考えることができれば正答できる問題です。

8月論文目指す方も、次回の12月短答を目指す方も、原理原則から考えるという癖をつけるようにしましょう!

【簿記の細道~川端小話】

ボブ「がーん!僕はまさしく手のひらの上で踊らされている、ただの踊り子ではありませんか!」

ノボ「そうだな。理想形は“こういう引っ掛けね”と、問題を上から見下ろせるくらいの感覚になることだ。しかし、言うは易く行うは難し。そこまでの道のりはつづら折り。それはまさしく、天城越えのような難しさだぞ。脱!”簿記の踊り子”だ!」

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CPA会計学院
財務会計論講師
登川雄太(Twitter)

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