
「公認会計士試験科目 企業法 100%減資は減資じゃない ~ キクラゲはクラゲじゃなくてキノコです ~」菅沼講師ブログ(企業法)
こんにちは!
公認会計士講座 企業法専任講師の菅沼です。
突然ですが,意味を勘違いしている言葉って結構ありますよね。
今日は,使われている漢字や言葉の響きのせいか,間違った認識をされてしまっている言葉について書いていきたいと思います。
例えば,「小春日和」。
冬も終わりかけ,春も近付く今日,つい,「今日は暖かくて小春日和だなぁ」なんて言ってしまいがちですが,実は間違った使い方なんです。
小春日和は,秋の終わりかけから初冬にかけて(ざっくり11月くらい)の穏やかで暖かい天候を指す言葉だそうです。
初春のうららかな日のことじゃないんですね(笑)知らなかったです。
キクラゲはクラゲじゃなくてキノコ,メロンパンにはメロンは入っていません。
言葉じゃないですが,叶姉妹は,血の繋がってない赤の他人です。
【本題です】
「100%減資」も同じように間違った認識をされやすい言葉だと思います。
債務超過になった企業の再生で用いられる手法ですね。
近年では航空会社の再生で注目されました。
(1) 減資の意味
そもそも減資とは,何でしょうか。「減資」は会社法上の用語ではないのですが,一般的には,資本金の額を減少することを指します。
「資本不変の原則」がありますので,資本金の額を減少するためには,原則として株主総会の特別決議と,常に債権者異議手続が必要となりますね。
したがって,100%減資をそのまま捉えると,「資本金の額をゼロにすること」になってしまいますが,その意味は全く異なります。
(2)100% 減資の意味
いわゆる100%減資とは,株式会社の既存の全株主を株主でなくすこと,すなわち,株式会社が既存株主の有する株式をすべて取り上げることをいいます。
既存株主の存在をすべて消去し,事業の再生に当たる者(スポンサー)から新たな出資を受けることで,事業の再生を目指していくことになります。
(3)100% 減資は「減資」を伴うか
100%減資をするための会社法上の制度としては全部取得条項付種類株式がありますが,100%減資をしても,株式会社が全株主の有する株式を自己株式として取得するだけになります。
したがって,資本金の額は全く影響を受けないのです。
紛らわしい限りですね。
所々で勘違いが発生しているので,「100%減資」という俗称をやめて,「株式全取得」とかにした方がいいと思います。
以上,ちょっと難しい話になりましたが,
言葉の意味を正確に捉える意識は学習をするうえで非常に大事なことですよね!
では,次回は,「利きクラゲと称して登川先生に目隠しでキクラゲを食べさせてみた」をお届けします(うそです)。お楽しみに!