有賀講師

「公認会計士講座 租税法の知識を活かした節税方法~取得価額の全額を損金の額に算入~」有賀講師

こんにちは,公認会計士講座 租税法担当の有賀です。

今回は(も?),公認会計士試験にはあまり役立たない話でいきたいと思います。以下の問題を,今までの知識で考えてみてください。

<前提条件>

1.あなたは中小企業X社の顧問税理士です。

2.X社は,これまで赤字だったのですが,翌期の終盤から業況が良好になってきており,当期は黒字となる見込みです。

3.まだ経営が不安定で,次期以降に利益が出る保証はありません。

4.X社の社長は,当期首に社用車の購入を検討しています(購入資金は確保されています)。

上記の前提条件を基に,あなたはX社の社長にどんなアドバイスをしますか?

いろいろなアドバイスが考えられると思います。

例えば,

「当期は利益が出そうですが,ここは調子に乗らずに,車の購入は控えるか,もしくは激安の車にしましょう。」

とか

「せっかくなので,景気づけの意味も込めて高級車でも買っちゃいましょう。」

とか。。。

「そもそも社用車なんて必要あるんですか?」

とか

「もっと他の資産の購入に充てましょう。」

とか。。。

前提条件が少ないので,いろんなアドバイスが考えられますが,今回は顧問税理士ということなので,税金の観点からアドバイスをしてみましょう。すなわち,節税目的のアドバイスをします。

前提条件として,当期は利益が出る見込みだが,次期以降は利益が出る保証はないとのことですから,できれば当期に多く費用を計上しておきたいです。

ここで,車を購入すると,その取得価額が資産に計上されて,減価償却を通じて損金の額に算入されていきます。ちなみに,通常の車の法定耐用年数は6年です。

車は,定率法も定額法も認められています(法定償却方法は定率法)。しかし,定率法の方が最初に計上される減価償却費の金額は大きくなるので,定率法の方が望ましいでしょう(なので,償却方法の届出はしなくて良いですね)。

ということで,車を購入して定率法に基づいて減価償却費を計上することで,当期の所得はある程度圧縮できそうですね。

ただ,取得価額の全額を当期の損金の額に算入することはできないので,一部は次期以降の損金の額となってしまいます。次期以降,利益が出るのであれば,それも良いとは思うのですが,今回はその保証はないという状況です。なるべく当期に減価償却費を多く計上したいです。

では,当期に取得価額の全額を損金の額に算入できないか考えてみましょう。

すぐ思い浮かぶのは,少額減価償却資産の話でしょうか。

取得価額が10万円未満であれば,取得事業年度に取得価額の全額を損金の額に算入できます。さらに,今回の前提条件として,X社は中小企業ということなので,取得価額30万円未満まで少額減価償却資産と認められる特例が適用できるかもしれません(この特例は「中小企業者」というものに該当しなければいけないので,今回の前提条件だけでは適用できるかどうかの判断はできません)。

ですが,今回検討しているのは車ですので,少額減価償却資産に当てはまることはないでしょう(ちなみに,利益の出る事業年度になるべく多くの少額減価償却資産を購入しておくという節税はありです)。

長くなってきてしまいましたね。。。そろそろ終わりにしましょう!

「4年落ちの中古車を購入しましょう!」

なんてアドバイスはいかがでしょうか?

なぜ4年落ちかというと,中古資産の耐用年数の計算を思い出してください。

耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

これに当てはめると,4年落ちの車の耐用年数は2年になります。

耐用年数2年の場合,200%定率法の償却率は1.000です。

つまり,取得事業年度に取得価額の全額を損金の額に算入できるということになります。

そして,中古であっても,車は1年しか使えないなんてことはありません。走行距離がまだそんなにいってない車であれば,まだ何年も使うことはできるでしょう。

(なるべく長く使えそうな車がいいですね。また,税法では車のメーカーによって耐用年数が異なるってことはないので,高級車を買っちゃってもいいんじゃないでしょうか。高級車だから長持ちするってわけではないですが。)

ということで,今後数年間使える車を購入するとともに,取得価額の全額を損金の額に算入することで節税もできる,ということが達成できました。

(ちなみに,これは有名な節税方法ですので,調べればすぐ出てきます。)

注意点をいうのであれば,「ちゃんと社用車としての実態がないとダメですよ!」というとこですかね。

というのは,社長が個人的に使用するような車だとみなされると,X社から社長への給与となってしまって,事前確定届出給与に該当しないから,全額損金不算入になってしまう。。。なんて可能性もありますから。

租税法の勉強は,細かい計算式を覚えなければいけなかったりするので,大変だし,地味だし,やる気が出ないことも多々あるかもしれません。そんなときは,「この知識を使って節税ってできないのかな?」なんてことを考えてみると面白いかもしれません。まぁ,大幅に節税できる手法なんてものは基本的にはなくて,地味な感じの節税ばっかりですけどね(それを積み重ねることが大事なんです)。

以上,試験にはあまり役立たない話でした。

いきなり話は飛びますが,3月10日に競馬の外れ馬券に関する最高裁の判決がでました。

競馬の当たり馬券の払戻金が所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとされた事例

興味のある方はご覧になってみてください。

なお,判例では当たり馬券の払戻金を雑所得としていますが,普通に競馬の馬券を買ってる人については,一時所得ですので注意してください。雑所得となるのは特殊なケースです。

それでは,引き続き租税法の勉強頑張ってください。

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