登川講師

「建設業会計を理解する!~工事完成基準は工事完成時に収益を認識しない~」登川講師(簿記)

公認会計士講座 財務会計論(計算)簿記 担当 登川講師

テーマ:財務会計論(簿記)の論点解説
論点:建設業会計
対象:公認会計士試験
重要性:★★☆

建設業会計の肝は収益の認識。

収益認識の基準として,工事完成基準だけでなく,工事進行基準も認められています。

今回はこの内,工事完成基準についてです。

工事完成基準は,この名称から判断してしまうと,「工事の完成時に収益を計上する」ものと思ってしまいますが,本当にそうでしょうか?

定義を確認してみましょう。

「工事完成基準とは,工事契約に関して,工事が完成し,目的物の引渡しを行った時点で,工事収益及び工事原価を認識する方法」

となっています。

つまり,完成基準は工事が完成した時に収益を認識するわけではないのです。「完成し引き渡しを行った時に収益を認識する」のです。

工事完成基準は一般的に実現主義の適用と言われますが,そう考えると引き渡しが要件というのはむしろ当たり前ということが言えます。

この知識を入れて問題文をちゃんと読んでみてください。すると,「完成・引渡済」というように,必ず「引渡済」と記載されていることに気づくと思います。

また,逆にこの知識を利用したひっかけとして,以下の様なものがあります。

”完成したが未渡しである(完成・引渡未済)”

この場合には引渡未済であるため,収益計上をしてはいけません。

「完成したから収益認識!」と飛びついてしまうと作問者の思う壺にはまってしまうのです。

どうでしょうか?

完成基準はその名称自体がひっかけになっています。

”工事完成基準”は”工事完成引渡基準!”

つまらない引っ掛けで点数を取りこぼさないように正確な知識を入れておきましょう!

【簿記の細道~引渡小話】
ボブ「完成基準は引き渡しが必要だったんですね。じゃあ,逆に未完成だけど引き渡した場合にはどうなるんですか?」

ノボ「完成基準は完成し・引き渡すことが要件だから本来は収益計上は出来ないはずだ。しかし,収益の前倒し計上を目論んで,未完成でも強引に引き渡し契約を結ぶという話も聞いたことがある。そんな強引に”引き渡す”ような会社には”引導を渡す”必要があるな。」

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財務会計論講師
登川雄太(Twitter)

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