登川講師

為替予約を理解する!~独立処理と振当処理はどっちが一般的?~ 登川講師(簿記)

テーマ:財務会計論(簿記)の論点解説
論点:外貨建取引(為替予約)
対象:公認会計士試験
重要性:★☆☆

為替予約の会計処理には独立処理と振当処理の2つがあります。

原則:独立処理,例外:振当処理となっています。

ただ,処理の理解自体は振当処理の方が簡単なので,CPAの簿記の講義では振当処理から学習します。

では,実務では独立処理と振当処理,どちらの方がより適用されているのでしょうか?
気になるので調べてみました。

その結果,

控えめに算定してもッ!6割以上の会社が振当処理を採用していましたッ!

例外的な会計処理である振当処理の方が断然多いですね。

考えられる理由としては,

①振当処理の方が簡単

→時価の算定や,注記事項などを考える振当処理の方が簡便です。

②振当処理の方が以前から実務に根ざしている

→独立処理は金融商品会計の整備(1999年頃)に伴い規定された処理であり,振当処理はそれ以前から実務で定着していました。なので,従来からの処理を継続している会社が多いと思われます。

独立処理は金融商品会計の考え方により適合した処理ですが,実務上は振当処理の方が一般的ということになります。

ただ,受験上は当然どちらも出題可能性ありますので,しっかりマスターしましょう!

【簿記の細道~例外小話】
ボブ「例外的な処理だからといって,実務上採用されてないというわけではないんですね。」
ノボ「そうだな。むしろ実務を配慮した処理として例外規定が設けられることも多いんだろうな。”例外=重要性低い”という思考は”弊害”だぞ。」

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補足・算定方法等

対象会社:3月決算の上場会社約2,400社,その内,為替予約をしていると確認できたのは約1,200社
振当処理の採用している会社:振当処理を採用しているのが確認できたのは約770社

以上より,少なくとも6割以上(770社/1200社)の会社が振当処理を採用していることが確認できます。

しかし,振当処理自体は注記の対象ではないため,有価証券報告書において,振当処理を採用していてもそれについて言及をしていない会社もある可能性があります。その場合にはその割合はもっと上がることになります。

実務に携わっている知り合いの公認会計士の話でも「基本は振当処理」とのことでしたので,振当処理を採用している実際の割合はもっと多いのかもしれません。 ちなみに,IFRSでは振当処理は認められていないので,IFRSを適用している場合には振当処理は採用していないことになります。

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CPA会計学院 財務会計論講師 登川雄太(Twitter)

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