登川講師

有価証券の償却原価法を理解する!~利息法における実効利子率とは!?~ 登川講師(簿記)

 

こんにちは、東京CPAで公認会計士講座の講師をしている登川(@noborikawa_cpa)です。今回は利息法について説明します。

テーマ:財務会計論(簿記)の論点解説
論点:有価証券
対象:公認会計士試験
重要性:★★★

ボブ(利息法の勉強中)
「有価証券利息は帳簿価額に実効利子率かけて,クーポン利息は額面にクーポン利率かけて,投資有価証券の増加額は差額で計算して,,,,,,あーー!こんなの覚えられないッ!!」

ノボ
「なにボブ?利息法のやり方が覚えられない?ボブ,それは無理矢理覚えようとするからだよ。逆に考えるんだ『理解すればいいんだ』と考えるんだ」

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「簿記の細道」でおなじみのボブとノボに登場してもらいましたが、ボブのように利息法が理解できないという方も多いのではないのでしょうか?というわけで,今回は利息法に焦点を当ててみます。
まずは設例から。

【設例】
・額面金額10,000の社債を9300で取得(満期保有目的)
・期間3年
・クーポン利率年3%
・実効利子率年5.6%

【解答】
仕訳は以下のとおり。(なお端数は四捨五入しています)

<1年目>
社債購入時

借方項目 金額 貸方項目 金額
投資有価証券 9,300 現金預金 9,300

利払日

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 300 有価証券利息 521
投資有価証券 221

※有価証券利息:9,300×5.6%=521
※現金預金:10,000×3%=300
※投資有価証券:521-300=221

<2年目>

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 300 有価証券利息 533
投資有価証券 233

※有価証券利息:(9,300+221)×5.6%=533
※投資有価証券:533-300=233

<3年目>
利払日

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 300 有価証券利息 546
投資有価証券 246

※有価証券利息:(9,300+221+233)×5.6%=546
※投資有価証券:546-300=246

償還日

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 10,000 有価証券利息 10,000

一回復習した方についてはこの仕訳自体は特に問題ないと思います。

ただ,やはりやっかいなのは

「なぜ,帳簿価額に実効利子率をかけるの?」

「なぜ,差額で償却原価法計算するの?」

というところだと思います。

このへんがしっくりこないと,なかなか覚えるのにも苦労します。

これらを理解するためには以下の2つのことをあきらかにする必要があります。

① 実効利子率とはそもそも何なのか?

② 社債を購入するということは、つまりなんなのか?

① 実効利子率とはそもそも何なのか?

実効利子率とは,実質的な利率のことです。

つまり、上記の社債を購入すると、クーポン利息で「年300」と額面金額と取得価額の差額である「700」儲かります。実効利子率とはこの両方を勘案した利率ということになります。

② 社債を購入するということは、つまりなんなのか?

社債の購入は単なる有価証券の購入という取引ではありません。社債を購入するということはお金を貸すことと同じなのです。すなわち、社債を9,300で購入するということは,社債の発行会社に対して9,300お金を貸すことと同じということを強く意識しましょう。

上記の2点を頭にいれたうえで考えていきます。

利息法を理解する!

社債を貸すことがお金を貸すことと同じであるなら、当然利息をもらえるはずです。そこで、まずは社債を購入した1年目の実質的な利息を計算してみます。

利息を求めるには,貸した金額に利率をかければいいですよね?なので貸した金額に利率をかけてみます。

9,300×5.6%=521と計算できます。

ここでの注意点は

・貸した金額は購入金額の9,300ということ

・使用する利率は実行利子率ということ

の2点です。この段階では深くは考えずに先に進みます。

重要なのはここからです。集中していきましょう。

521の利息の内,すぐにお金としてもらうのは300だけで,残額の221はまだもらいません!

ということは,221は本来自分のものにも関わらず相手がもっているッ!

ということは,相手に221を貸したのと実質同じということなのですッ!!

ということは,1年後に相手に貸している金額は9,521になるのですッ!!!

いまの興奮を落ち着いて図にするとこうです。

償却原価法(利息法)①

そして,これを仕訳にするとこうです。

<1年目>

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 300 有価証券利息 521
投資有価証券 221

同様に,2年目も同じ話がおきます。

2年目は1年目にくらべて1年目のもらわなかった利息分だけ貸付額が増えているところがポイントです。

償却原価法(利息法)②

<2年目>

借方項目 金額 貸方項目 金額
現金預金 300 有価証券利息 533
投資有価証券 233

ここまでを理解すると,仕訳をきちんと2面的に捉えることができます。

貸方の有価証券利息が,その社債からその期間に得られる「利息の総額」を表していて,

借方はそのうち「すぐにもらわずに貸しつけた金額」と「すぐに現金としてもらった金額」を表しているのです。

ちなみに,,,難しく表現すると実効利子率は,すぐ受け取る単利(クーポン利息)とすぐには受け取らない複利(額面と取得価額の差額)の両方を考慮した利率となっています。

どうでしょうか?

実効利子率がわかると,利息法の仕訳についても理解が進むと思います。

利息法の償却原価法は機械的にやり方を暗記すれば解ける論点です。
むしろ,機械的にできるようになる必要があります

ただ,裏側を理解することでより納得しておさえられると思います。

これを機に,利息法を得意論点にしてしまいましょう!!

 

【簿記の細道~実効利子率小話】
ボブ「なるほど!利息法と実効利子率がよく理解できました!これでもう大丈夫です。では,おやすみなさい」
ノボ「おいちょっと待て!理解しただけではできるようにならないぞ。さっそく実行だッ!」

⇒To Be Continued…!?

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東京CPA会計学院 財務会計論講師
登川雄太
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