
「公認会計士論文式本試験(14年8月)講評」梅澤講師(管理会計論)
CPA管理会計論講師の梅澤です。
論文式試験を受験された方は,本当にお疲れ様でした。
論文式試験がつい先日終わったばかりということで,ほとんどの方が,何も考えたくない!!という状況かと思いますが,気になる方のために簡単に講評していこうかと思います。
まず,第一問の問題1です。
論点としては,総合原価計算と標準原価計算が出題されました。
総合原価計算と標準原価計算自体は,ド本命論点でしたし,多くの受験生が手厚く対策してきたところでしょう。
得意な方は,理論は概ね模範解答通り記述し,計算についてもほぼ完答できたのではないかと思います。
次に,第一問の問題2です。
販管費の計算にABCを利用した収益性分析が出題されました。
問6のみ,問題文が日本語的に少しおかしいのと,計算処理自体の分量が多く,試験中に整理するのは難しかったと思います。
しかし,それ以外の問題については,理論問題も平易ですし,落ち着いて計算すれば高得点も狙える問題となっています。
続いて,第二問の問題1です。
最適セールズ・ミックスが出題されました。
業務的意思決定もド本命だったので,対策していた方も多かったと思います。しかし,単純に計算ができれば良いというだけでなく,しっかりと計算の内容を説得力のある説明ができるかどうかが問われているのが特徴的でした。
今後もこのような傾向が続くのか注視したいと思っています。
最後に,第二問の問題2です。
資金管理を中心とした予算管理が出題されました。
ページ数が6ページもあり,面食らってしまった受験生が多かったと思います。
しかし,実は資料の表を埋めていくだけで,計算は完答できてしまうので,手を付けた方は得点できた方が多かったのではないでしょうか。
この問題を飛ばした方は多かったと思いますが,理論については結論がほとんど予想できると思いますので,理論問題は空欄にせずに,何かしら記述することが重要だったと思います。
全体としては,今回は完全な埋没問題といえるような問はなく,比較的解きやすい問題であったと思います。
そのため,管理会計論が非常に得意な方(超上位層)であれば,第1問で30点程度,第2問で25点程度は得点できると思います。
合格ラインとしては,これに,時間制約の観点と本試験特有の緊張状態(実はこれの影響がかなりのものなのですが)を考えますと,0.7掛け程度が妥当かと思いますので,55点×0.7=38点ほど得点できていれば,合格ライン(偏差52)に乗ってくると考えています。
例年と比較すると,問題自体のレベルとしては,埋没問題がほぼ無いという意味で明らかに易化した印象を持っています。
時間制約や本番での緊張等の影響により,実際の平均点や合格点は例年とさほど変わらないと思いますが,短答式試験も含め,管理会計論を易しくしていこうという匂いがプンプンしてきています。
今後,短答式試験や論文式試験では,易しい問題を確実に(←ここがポイント)得点できる能力がより強く問われていく可能性が高いです。
変に捻った問題をたくさん解いて練習するよりは,基本形を大事にして頂ければと思います。
今後,受験される方はこの辺りを意識して学習して頂くと良いと思います。
繰り返しにはなりますが,今回受験された方は本当にお疲れ様でした。
まずはゆっくり休んで,そしてやりたかったこと,我慢していたことを思い切りやってください。
P・S 実は私も,論文生に麻雀に誘われていまして,過年度の合格者とともに,さっそく連れ出されることになっています(笑)。
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