斉藤講師

「公認会計士論文式試験(14年8月)を振り返って」齊藤講師(監査) 

saitoublog

こんにちは。

監査論の専任講師の齊藤です。

論文式試験を受験されたみなさん,本当にお疲れ様でした。まずは,ここまで辿り着いた自分を褒めてあげてほしいと思います。よく頑張ったと!

そして,合格発表までの2ヶ月半は,今までやりたかったけど出来なかったことを,目いっぱいやっちゃってください!! 自分の趣味に時間を使うとか,旅行に行くとか,自分の長所・短所を見つめ直すとか,自分の将来を真剣に考えるとか・・・

しかし,その前に,今年の監査論の論文式試験はどんな問題だったの?難易度は?など,気になる方も多いと思いますので,少し長いですが,感想を書いていきます。また,ホームページにて解答速報を掲載していますので,確認したい方は,是非,チェックしてみてください。

今回の記事は,試験最終日に受験生の方々と話した内容を題材にして,論文式試験を振り返っていきますので,会話形式で書いていきます。

また,論文式試験の対策の話も含まれていますので,現在,学習中の方も,是非,読んでほしい内容になっています。ちなみに,今回の試験は,すべて,テキストの上巻から出題されているので,実際に解くこともできると思いますよ。なお,実際の問題については,公認会計士・監査審査会のHPに掲げられておりますので,入手して頂ければと思います。

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齊藤:お疲れさま。

A君:いや~,疲れました。。。3日間,あまり寝てないんですよ~。それより,監査論,難しかったですよね。

齊藤:そうだね。第1問において,昔の監査報告書とか,昔の海外の監査報告書とか,みんなが見たこともない資料が与えられているから,パッと見では,難しいのでは??と思うよね。でも,実際に問題を見ていくと,論点を外しそうな問題は,そんなに多くないんじゃないかな。

A君:本当に,資料を見たときは,え~。。。って,思いましたよ。こんな監査報告書だったんだ~って。でも,問題自体は,誘導してくれていたので,なんとか答案用紙を埋めることができたんですけど。

齊藤:まあ,監査論については,答案用紙をできる限り(少なくとも8割は)埋めてくることと,大きな方向性を合わせることが大事だから,大丈夫だと思うよ。

A君:でも,不安なんで,第1問から順に解説してください。

齊藤:じゃや,まず,問題1からね。この問題は,監査報告書の意義については,書けないとね。そして,それらを記載したうえで,監査報告書の記載事項は非常に重要だから,監査の根本規範である監査基準で規定する必要があるよね,的な記述をすればよいと思うよ。

A君:まあ,この問題については,それらしいことは書けたような気がします。

齊藤:次に,問題2においては,「監査意見を表明する書類」,「監査人の責任を正式に認める書類」の2点から,主要な相違点を挙げることが求められているので,「意見については,個別意見が表明されるか否か」,「監査人の責任については,監査人の責任の記載が充実しているか否か」を指摘すればよいんじゃないかな。まあ,その他にも相違点はあるけれど,「監査報告書の意義との関連で」という指示があるから,「監査意見」と「監査人の責任」の観点から説明する必要があるよね。

A君:あ,自分は,「監査人の責任」について,経営者の責任と監査人の責任が区分して記載されるか否かという視点で,記述しちゃいました。どうですかね。

齊藤:もちろん,その視点で記述しても,十分合格点くると思うよ。

A君:そうですか。よかった!

齊藤:そして,問題3は,監査には固有の限界があるので断言できないとか,監査人の責任は,あくまでも意見を表明することであるので断言できないとか,記述すればよい問題だよね。

A君:自分は,先生が,監査総論や監査主体論の論点と,その他の論点を繋げるようにと,口酸っぱく言っていたので,監査の固有の限界から記述しました。

齊藤:監査総論や監査主体論の論点と,その他の論点を繋げるという視点は大事だよね。

A君:あと,問題4については,「利害関係者への理解の促進」と「監査人の責任の明確化」にどう繋げるかという意識で,記述すればよい問題ですよね。

齊藤:そうそう,報告論の論点については,「利害関係者への理解の促進」と「監査人の責任の明確化」にどう繋げるかという意識で,記述することは大事なんだよ。

A君:う~ん。まあ,何となく,それらしいことは書けた気がするけど,心配です。。。あまり,カッコイイ文章も書けなかったですし。

齊藤:監査論については,みんな,心配になるんだよね。でも,模範解答は,あくまで「模範」解答で,絶対的な解答ではないから,大きな方向性さえ合っていればよいと思うよ。第1問については,一つくらいなら,大きな方向性を間違えても,十分合格点取れているよ。また,2つくらい方向性を間違えたとしても,合格ボーダーになる程度だと思うよ。あと,監査論については,カッコイイ文章なんて必要ないからね。説得力がある文章だったら,専門用語を使わずに自分の言葉で記述しても問題ないよ。

A君:そうですか。まあ,半分くらいの点数は取れているかな。

齊藤:第1問については,半分程度の点数が取れていれば,十分だよ。22点~23点くらいが,合格点なんじゃないかな。

A君:よかったです。

A君:次に,第2問なんですが,第1問に比べて,書きやすい問題と思ったんですが。

齊藤:そうだね。パッと見た感じでは,第1問よりは,書きやすい感じがするよね。まず,問題1については,リスク評価手続段階の分析的手続と分析的実証手続の目的と内容の相違点についての問題だけど,目的の相違については,記述できてほしい問題だよね。その一方で,内容の相違点については,埋没問題だと思うな。分析的手続の内容って,何書けばよいんだよ~,って問題だよね。色々と,考えられるから。模範解答では,分析的手続の結果,矛盾などを発見した場合の対応の相違を書いているけれど,その他にも,分析的手続に用いる情報の相違(総括的な情報を用いる場合が多いか,細分化された情報を用いる場合が多いか)とか,分析的手続の手法の相違(趨勢分析,比率分析を主に用いるか,合理性テストなどを主に用いるか)とかも考えられるよね。。。正直,この問題だけは,模範解答を作成するうえで,最後まで困った問題だよね。

A君:自分は,全然分からなかったので,模範解答とは全く違うことを書いてしまいました。

齊藤:そっか。でも,この問題のデキで,合否は決まらないことだけは間違いないから。

齊藤:次に,問題2については,資産項目について重点的に検証すべき監査要点は,「実在性」と「評価の妥当性」という点を思い出してもらえれば,それなりの記述はできたのではないかな。

A君:この問題は,テキストに載っている分析的手続の具体例と,本試験の事例が同じだったので,簡単に書けましたよ。あと,「年齢調べ」や「期末日後の入金状況のチェック」についても,テキストに載っているし,講義でも説明してくださったので,この問題については,かなり自信あります。

齊藤:おお,それはよかった。あとは,分析的手続の対象が,A社が扱う主力商品に限定しているから,回転日数を利用して計算した売掛金残高と,貸借対照表の売掛金残高とは,当然一致しないところに,気付けたかどうかもポイントだと思うな。問題をよく読めば,気付けたかな。

A君:あと,問題3の確認についても,答練で出題されたので,書けましたよ。クライアントに督促すること,住所などを確かめたうえで再発送することがポイントですよね。実務指針(監基報505 A18項)から引っ張ってくると,この2点が漏れてしまいますからね。

齊藤:そうだね。この問題については,ただ単純に,監基報505 A18項を写してしまうと,ちょっとビハインドをおってしまうかな。

A君:そして最後の問題4については,修正後発事象,意見に関する除外として,記述したんですけど,どうですかね?

齊藤:この問題についても,色々と考えられるよね。まあ,修正後発事象に該当すると判断して記述するのが無難だと思うよ。でも,再生計画案が不合理と判断できるけど,いくら貸倒引当金を設定すべきかについての十分かつ適切な監査証拠を入手できないというケース(監査範囲の制約)も考えられるよね。一応,模範解答では,行数の関係から,意見に関する除外だけを記述したけど。。。この問題についても,複数の解答が考えられるんじゃないかな。

A君:第2問もある程度点数は拾えているような気がします。

齊藤:そうか,よかった。第2問については,問題1の半分と,問題4が書きづらいけど,第1問よりは比較的書きやすかったのではないかと思うから,合格点は,27点~28点程度になるんじゃないかな。

A君:なんか,書けたのか書けていないのか,点数がくるのかこないのか,一番不安な科目だったので,先生と話せて少し安心しました。発表までの2ヶ月ちょっと,思い切って遊びたいと思います!!

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長いブログを読んでいただいて,ありがとうございました。

監査論については,多くの受験生にとって,一番手ごたえが分からない科目で,一番心配な科目かと思います。実際,過去の合格者の中でも,足切りをくらったと騒いでいた受講生が,偏差点60オーバーを獲得していたという例も散見されています。 ですので,模範解答と方向性が違っても,あまり気にしないで,合格発表を待ってくださいね。

また,現在,12月の短答に向けて,監査論を学習されている方,どのような感想をもったでしょうか。監査論については,複数の解答が考えられる問題が多数出題されるため,ある程度,合理的なことさえ記述すれば,合格点は取れる科目だということが伝わったでしょうか。

監査論の論文式試験においては,答案用紙をできる限り(少なくとも8割は)埋めてくることと,大きな方向性を合わせることが大事になります。現在,監査論を学習されている方は,規定の文言を表面的に捉えるのではなく,規定の趣旨をしっかり理解することが,短答式試験対策のみならず,論文式試験対策においても重要になることが伝われば,幸いです。

東京CPA会計学院 監査論講師
齊藤 慶三
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