登川講師

理解するための大事な視点!理解のためには何より定義が大切! 登川講師(簿記)

CPA会計学院財務会計論講師の登川です。

今回は簿記の勉強法について説明したいと思います。

勉強においては理解が重要です。

特に,公認会計士試験の勉強においては

「理解を重視しろ!」

と,よく言われると思いますが,

「そんなのわかってるけど,具体的に何をすべきか…」

と頭を抱えている方も多いと思います。

そんな方のために,今回は理解が苦手という受講生に私がよくするアドバイスについてお伝えします。

<理解を重視するために具体的に何をすべきか!?>

「言葉の定義を強く意識する!」

いきなり,かつ,シンプルですが,これがそのアドバイスです。

これは勉強する上では当たり前かつとても重要なことなのですが,意外とできていない方が多いです。

定義を意識せずに読んでいると到底理解はできません。

<定義とは>

そもそも,定義というのは

「×××とは○○○である。」という,その言葉の説明自体のことです。

テキスト読めば,初めて出てくる専門用語には必ず定義の記載があると思います。

・資産とは~

・現金とは~

・小切手とは~

この定義を厳密におさえること,これがまず理解のための第一歩なのです。

<定義を厳密におさえるとは>

定義を厳密におさえるというのは,定義を一言一句丁寧に読むことです。

「借入金は借金のことでしょ!」

このように“なんとなく”ではなく,

「借入金とは,銀行などから金銭を借り入れた場合の,その金銭を返済する義務である」

と,一言一句丁寧に読むことがとても重要なのです。

逆に定義を厳密におさえていないとどういうことが起きるのか,以下の例でみてみましょう。

CPAの入門のテキストには以下の様な例題があります。

「銀行から借入れを行い,利息10,000円を差し引かれた990,000円が当座預金に入金された。」

この場合の仕訳は以下のとおりになります。

(借)当座預金990,000 (貸)借入金1,000,000

(〃)支払利息10,000

最初はなかなか苦戦する問題です。

どのように解答してしまう方が多いかというと,貸方の借入金を990,000にしてしまうという方が多いです。

ただし,この解答は誤りです。

このような誤りをしてしまうのは,取引を2面的にわけることが徹底できてないことが理由ですが,もっと大きな理由として借入金の定義が厳密におさえられていないということがいえます。

「定義とどういう関係が?借入金って借金のことでしょ。」

と思われると思いますが,もう一度,借入金の定義をおさらいしてみましょう。

「借入金とは,金銭を借り入れた場合のその返済する義務」

これが借入金の定義です。

この定義を丁寧に読んでみると,借入金は借金ではなく返済する義務のことを指していることがわかります。

つまり,借入金は借り入れし入金された額ではなくて,返済義務のことなのです。(そもそも,「負債とは支払義務」なので,負債の具体例である「借入金も返済義務」ということになります。)

だとすると,

990,000円は入金額,対して,1,000,000円は返済義務の金額

になりますので,借入金の計上額は返済義務の金額である1,000,000円と判断することができます。

このように,その定義を厳密に意識していなければ,

「990,000円かな?1,000,000円かな?」

と迷った時に

「なんとなく990,000円っしょ!」

と誤った判断をしてしまいます。

このような誤りは定義を厳密に意識すれば防ぐことができるのです。

<定義は考える起点となる>

定義の重要性を違う側面から説明します。

先日(平成26年第Ⅱ回)の公認会計士試験短答式試験で「収入印紙が現金に含まれるかどうか」という問題が出題されました。

これについては「収入印紙は現金に含まれない」が正解です。

収入印紙が現金に含まれるか否かは公認会計士講座のテキストに掲載されている論点ですが,若干細かい論点になるので,おさえきれていなかった方もいたかと思います。

そのような場合,理解から落としこみその場で考えて判断する必要があります。

理解から落とし込むときは,その考える起点が必要です。

その起点が「定義」になります。

現金とは,通貨および通貨代用証券のこと。

通貨代用証券とは,金融機関でいつでもすぐに換金できるもの。

収入印紙とは,領収書や契約書に貼る切手みたいなもの。

(若干ざっくりですが)

このように,1つ1つの定義を考えれば,

「収入印紙は金融機関で換金できるものではないから現金ではない」と判断できるのです。

定義の重要性はわかって頂けたと思います。

続いて,定義をおさえる際の注意点について解説します。

<定義はなんとなくではなく丁寧に!>

学問用語・専門用語は必ず定義があります。その際注意してほしいのは,

「自分のなんとなくイメージしているものと,その定義が乖離していることがよくある」ということです。

例えば,現金はその典型です。

現金と言われればなんとなく,お金のことかなと思ってしまいがちですが,簿記でいう現金には通貨代用証券も含まれます。

このように現金に限らず,普通にその言葉から思い浮かぶイメージと実際の定義が違うことはよくあるのです。

「現金はお金のこと!」と思っていると収入印紙は現金かどうかの判断ができなくなります。

「借入金は借金のこと!」と思っていると借入金を1,000,000円にはできません。

なんとなくのイメージにしておくと,実際の問題において痛い目にあうのです。

なので,定義は油断せず,丁寧に読み,おさえる必要があります。

<知っていると,定義をおさえているは別物>

自分が定義を意識しているつもりでも,実際には意識できていないことが結構あります。

このような典型的なパターンは,

Aを知っている=Aの定義をおさえている

と誤認していることが原因です。

例えば

みなさんは犬のことを知っていると思います。

道を散歩している柴犬を見て,猫と判断することはないと思います。

でも,犬の定義は知らないと思います。犬とはそもそもなんなのか,犬と猫の本質的な違いはなんなのか,については説明できないはずです。

これは犬に限った話ではありません。

普段の生活においては「知っている」けど「定義は意識していない」ということばかりなのです。

この例から「知っている」と「定義をおさえている」は別物ということがわかります。

これを現金に当てはめてみると,

「お金は現金に含まれるということを知っている」

「小切手は現金に含まれるということを知っている」

「預金は現金に含まれないということを知っている」

このように現金の具体例をおさえただけで,

「現金の定義をおさえられた!」

と判断するのは大きな間違いなのです。

<簿記上の現金と散歩しているイヌの違い>

この例を出すと逆に,

「犬の定義おさえてなくても,イヌが犬であることは判断できるんだから,定義は重要じゃないんじゃないか」

とも捉えることができます。

しかし,そもそも定義をおさえていないのに,なぜ自分たちは犬と猫の違いを判断できるのでしょうか?

犬の定義は勉強していません。

しかし,

今まで散歩中の様々なイヌを見る度に,「それは犬」

ネコを見る度に,「それは猫」

ということを教えられています。

このように,生まれてからこの方,膨大な量の犬と猫の「具体例」に出会ってきており,その度に,それは犬なのか猫なのかを学習しているのです。

その結果,柴犬だろうが,コーギーだろうが,ブルドッグだろうが,それらは犬と判断できるようになっているのです。

つまり,普段の生活においては,多数の「具体例」を経験し,その結果「アル物」を「ある物」と判断できるようになっているのです。

ただし,このような学習の大きな弱点は,初めての具体例は全く判断できないということです。

仮に,犬と猫の中間的な動物に出くわした場合には,その動物が犬なのか猫なのかを判断できなくなってしまうのです。

ただ,そんなのに出くわすケース自体が稀ですし,もし出くわしたとしても,それを判断出来ないことが大きな問題になることはありません。なので,普段の生活においては,定義を意識していなくてもいいのです。

ただ,勉強は違います。

勉強においては,犬と猫の中間的な動物が出題された時に,それがどっちなのか明確に判断できる必要があります。

もし,「お金は現金,小切手は現金,預金は現金ではない…」と,具体例をベースに「現金」をおさえていると,いざその具体例のリストにはない「収入印紙」がでたときに判断ができなくなってしまうのです。

よって,勉強するうえでは,具体例がおさえられたからといって,その定義までおさえられたと勘違いしてはいけません

あくまでも,定義を厳密におさえることが重要なのです。

そして,その結果,その定義に当てはめて個々の論点を考えられるようになることが大事なのです。

<具体例から定義をおさえる>

いま説明したとおり,具体例を判断出来るだけで,定義をわかった気になってはいけません。

じゃあ,定義をおさえる場合には具体例は考えない方がいいのか,というとそうではありません。

むしろ逆です。

定義をおさえるときに具体例をイメージする事自体は非常に効果的なのです。

「通貨代用証券とは,金融機関でいつでもすぐに換金できるもの。」

いくら,この定義だけを何回読み込んでも,なかなか理解はできません。なぜなら,定義自体は小難しく書いてあるからです。

なので,通貨代用証券の例として,その具体例の1つである小切手をイメージする。

そして,その小切手のイメージをもって,通貨代用証券自体を理解する。

このように定義と具体例はいっしょになっておさえることが効果的なのです。

よって,

具体例だけで定義をおさえた気になってはいけませんが,

具体例から定義をおさえることは非常に有効

ということを理解し,定義をおさえるようにしてほしいと思います。

今回は,定義の重要性ということについて説明しました。

もし定義に対する意識が弱かったと思った方はぜひこの機会に勉強法を変えてみましょう!

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CPA会計学院 財務会計論講師
登川雄太
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