テーマ:財務会計論(簿記)の論点解説
論点:有価証券
対象:日商簿記2級,1級,公認会計士試験
レベル:初学者向け
重要性:★★★
CPA会計学院財務会計論講師の登川です。
今回は簿記検定2級の内容です。
有価証券は簿記検定・公認会計士試験問わず最重要論点の1つです。
ただし,建物などの有形固定資産とは違い,有価証券はそのもの自体がイメージがしづらいため,ふわふわしやすい論点の1つでもあると思います。
実際に,受講生から有価証券の質問を受けると,そもそも有価証券の会計処理を根本的に理解出来ていない方が多いのも事実です。
というわけで,有価証券の根本の理解とは何かについて説明していきたいのですが,
その前に,以下の質問について考えてみましょう。
「有価証券の分類をしてください。」
・・・
答えが浮かんだでしょうか。
この質問に対する答えは大きく2つ考えられます。
①「株式」と「社債(国債)」
②「売買目的有価証券」と「満期保有目的の債券」
どちらも正解です。
対して以下の様な答え
①「株式」と「満期保有目的の債券」
もしくは
②「売買目的有価証券」と「社債」
これは合っていそうですが,実は間違いです。
この理由わかるでしょうか?
・・・
ここで,今回まずみなさんに伝えたいのは,
有価証券の
「種類」と「保有目的」
この2つの概念を明確に区別しましょう!
ということです。
有価証券の「種類」というのは「取引の対象自体」です。
株式,社債,国債などです。
対して,
有価証券の「保有目的」は「その有価証券をどういう意図で保有しているのか」ということです。もしくは「その有価証券をなぜ取得したのか?」でもいいと思います。
と言われたところで,やはり有価証券だとふわふわしてしまうので,
ここは,イメージしやすい有形固定資産で考えましょう。
固定資産でいうと,前者の「種類」が
建物,備品,土地に該当します。
後者の「保有目的」は
買った建物を,本社ビルとして使うのか,工場として使うのか,倉庫として使うのか,
というような感じです。
固定資産で考えると,先ほどの間違いのワケがわかると思います。
つまり,「固定資産を分類してください。」と言われたときに,
建物と本社ビル
と答えたとしても,これは違う概念なので並列にできないのは明白ですね。
このように「種類」と「保有目的」の概念を明確に区別すること,これがまずは大事です。
そして,さらにもう1つ。
「概念を区別した上で,その概念を使いこなすッ!」
これが有価証券を理解し,そして,得意にするためのポイントです。
使いこなすということについては,以下の例を確認してください。
例えば,
「保有していると配当をもらえるのか,それとも利息をもらえるのか」
「最終的に償還される(お金が戻ってくる)のか否か」
このように,どのような取引なんだろうという,取引自体を考える場合には,株式や社債という「種類」を意識しましょう。
対して,
「時価評価するのか,償却原価法を適用するのか」
という(決算の)会計処理を考える場合には「保有目的」を意識しましょう。
なぜなら,有価証券の会計処理は「種類」別ではなく「保有目的」別に定められているからです。
これが「使いこなす」ということです。
なんとなく,わかってもらえたでしょうか。
なんとなくはわかってもらえた,という前提で,この「使いこなす」際のポイントを説明します。
①まずは「何」を考えているのかを明確にする
⇒「取引自体を考えているのか」「会計処理を考えているのか」
②その「何」について考えるのかによって,「考える際のベース」を変えることを 意識する
⇒「取引について考えているなら,種類を意識する」「会計処理について考えているなら,保有目的を意識する」
この①・②のステップで考えられるようになると,2つの概念をしっかり区別し・使いこなせてることになります。
(なお,”保有目的を意識する”というのは,”種類を意識しなくていい”というわけではありません。)
最終的にこの思考が自然にできるように頃には,有価証券についてより理解し,かつ,得意になっていることでしょう。
最後に,「種類」と「保有目的」の関係をまとめるとこうなります。

(注)株式は満期という概念がないので,満期保有目的では持つことはできません。
なお,株式と社債の違いや,保有目的別の会計処理については別の記事にていずれ説明します。
今回は有価証券の「種類」と「保有目的」の概念の違いについて説明しました。
もし,有価証券の2つの概念の整理がついていなかった場合には,この違いを念頭にもう一度テキストを読んでみましょう!
【簿記の細道~有価証券小話】
ボブ「有価証券持ってるとカッコ良いですよね。僕はモテたいと思って個人向け国債買ったのですが,この場合の会計処理はどうなりますか?」
ノボ「それは”婚活目的の債券”と言ってだな,単なる時価評価ではなく保有者の信用リスクを加味した金額で資産に計上するんだ,,,という冗談はおいといて,,,モテたいんだったら有価証券買うより勉強したほうがいいんじゃあないか…!!」
(補足)
2010年に財務省が「国債を持てる男子は女性にモテる」というキャッチコピーで国債の広告を出したことが話題になりました。
▶登川講師の個人サイト『会計ノーツ』はこちら!
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CPA会計学院 財務会計論講師
登川雄太
ツイッターはこちら
このブログがみなさんに気付きを与え,お役に立つことができますように。
テーマ:財務会計論(簿記)の論点解説
論点:有価証券
対象:日商簿記2級,1級,公認会計士試験
レベル:初学者向け
重要性:★★★
CPA会計学院財務会計論講師の登川です。
今回は簿記検定2級の内容です。
有価証券は簿記検定・公認会計士試験問わず最重要論点の1つです。
ただし,建物などの有形固定資産とは違い,有価証券はそのもの自体がイメージがしづらいため,ふわふわしやすい論点の1つでもあると思います。
実際に,受講生から有価証券の質問を受けると,そもそも有価証券の会計処理を根本的に理解出来ていない方が多いのも事実です。
というわけで,有価証券の根本の理解とは何かについて説明していきたいのですが,
その前に,以下の質問について考えてみましょう。
「有価証券の分類をしてください。」
・・・
答えが浮かんだでしょうか。
この質問に対する答えは大きく2つ考えられます。
①「株式」と「社債(国債)」
②「売買目的有価証券」と「満期保有目的の債券」
どちらも正解です。
対して以下の様な答え
①「株式」と「満期保有目的の債券」
もしくは
②「売買目的有価証券」と「社債」
これは合っていそうですが,実は間違いです。
この理由わかるでしょうか?
・・・
ここで,今回まずみなさんに伝えたいのは,
有価証券の
「種類」と「保有目的」
この2つの概念を明確に区別しましょう!
ということです。
有価証券の「種類」というのは「取引の対象自体」です。
株式,社債,国債などです。
対して,
有価証券の「保有目的」は「その有価証券をどういう意図で保有しているのか」ということです。もしくは「その有価証券をなぜ取得したのか?」でもいいと思います。
と言われたところで,やはり有価証券だとふわふわしてしまうので,
ここは,イメージしやすい有形固定資産で考えましょう。
固定資産でいうと,前者の「種類」が
建物,備品,土地に該当します。
後者の「保有目的」は
買った建物を,本社ビルとして使うのか,工場として使うのか,倉庫として使うのか,
というような感じです。
固定資産で考えると,先ほどの間違いのワケがわかると思います。
つまり,「固定資産を分類してください。」と言われたときに,
建物と本社ビル
と答えたとしても,これは違う概念なので並列にできないのは明白ですね。
このように「種類」と「保有目的」の概念を明確に区別すること,これがまずは大事です。
そして,さらにもう1つ。
「概念を区別した上で,その概念を使いこなすッ!」
これが有価証券を理解し,そして,得意にするためのポイントです。
使いこなすということについては,以下の例を確認してください。
例えば,
「保有していると配当をもらえるのか,それとも利息をもらえるのか」
「最終的に償還される(お金が戻ってくる)のか否か」
このように,どのような取引なんだろうという,取引自体を考える場合には,株式や社債という「種類」を意識しましょう。
対して,
「時価評価するのか,償却原価法を適用するのか」
という(決算の)会計処理を考える場合には「保有目的」を意識しましょう。
なぜなら,有価証券の会計処理は「種類」別ではなく「保有目的」別に定められているからです。
これが「使いこなす」ということです。
なんとなく,わかってもらえたでしょうか。
なんとなくはわかってもらえた,という前提で,この「使いこなす」際のポイントを説明します。
①まずは「何」を考えているのかを明確にする
⇒「取引自体を考えているのか」「会計処理を考えているのか」
②その「何」について考えるのかによって,「考える際のベース」を変えることを 意識する
⇒「取引について考えているなら,種類を意識する」「会計処理について考えているなら,保有目的を意識する」
この①・②のステップで考えられるようになると,2つの概念をしっかり区別し・使いこなせてることになります。
(なお,”保有目的を意識する”というのは,”種類を意識しなくていい”というわけではありません。)
最終的にこの思考が自然にできるように頃には,有価証券についてより理解し,かつ,得意になっていることでしょう。
最後に,「種類」と「保有目的」の関係をまとめるとこうなります。
(注)株式は満期という概念がないので,満期保有目的では持つことはできません。
なお,株式と社債の違いや,保有目的別の会計処理については別の記事にていずれ説明します。
今回は有価証券の「種類」と「保有目的」の概念の違いについて説明しました。
もし,有価証券の2つの概念の整理がついていなかった場合には,この違いを念頭にもう一度テキストを読んでみましょう!
【簿記の細道~有価証券小話】
ボブ「有価証券持ってるとカッコ良いですよね。僕はモテたいと思って個人向け国債買ったのですが,この場合の会計処理はどうなりますか?」
ノボ「それは”婚活目的の債券”と言ってだな,単なる時価評価ではなく保有者の信用リスクを加味した金額で資産に計上するんだ,,,という冗談はおいといて,,,モテたいんだったら有価証券買うより勉強したほうがいいんじゃあないか…!!」
(補足)
2010年に財務省が「国債を持てる男子は女性にモテる」というキャッチコピーで国債の広告を出したことが話題になりました。
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