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公認会計士の仕事・業務内容(監査業務編)~監査とは何か?公認会計士にしかできない独占業務について解説!~

今回は、公認会計士の独占業務である監査業務について詳しくご紹介します。

資本主義経済を根底で支える監査業務

公認会計士の仕事の中心は、公認会計士しか行うことができない業務(公認会計士の独占業務)である監査業務です。

公認会計士法の第一条には、公認会計士の使命が次のように書かれています。

「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」

ここでいう「財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保する」という部分が監査を意味しています。つまり、会社が作成した財務書類(主に財務諸表)が適正に作成されているかを、外部の専門家の立場からチェックし、粉飾決算により、投資者(主に株主)及び債権者(主に銀行)が会社に騙されることを未然に防ぐことが公認会計士の監査の目的です。

公認会計士は、監査を実施した結果、監査報告書という監査の結論を記載した書類を提出します。これには、この財務諸表は、適正に作成されており、粉飾決算等は行われていませんよということを公認会計士が保証する意味があります。つまり、企業にお金を提供している債権者や投資家に対して、財務諸表が、会社の真実の状況ですとお墨付きを与えているのです。

このように、公認会計士が財務諸表という情報の信頼性を保証することによって、債権者や投資家は、初めて、財務諸表を信頼できるようになり、どの会社にお金を貸すか、どの会社に投資をするかの判断を下すことが可能になります。

では、もし財務諸表が真実を示していないような状況、つまり、粉飾決算が行われているような状況が頻繁に生じてしまうと、どのような問題が生じるのでしょうか。

そのような状況では、債権者や投資家は、財務諸表を見ても、その内容を100%信用することができないので、お金を出すかどうかを躊躇してしまい、会社にお金が回らなくなってしまいます。さらに、会社にお金が回らないと、会社としては、必要な投資ができなくなり、結果として、経済は停滞してしまうという問題が生じてしまうのです。

このような問題が生じないようにするために、つまり、債権者や投資家が、企業にお金を出しやすくし、さらに、経済活動が円滑に行われるようにするために、財務諸表という情報の信頼性を保証することが、公認会計士の使命なのです。

今日のように、資本主義経済が発展したのは、必要なお金が必要な会社へ提供されるようになったことが非常に大きい。その資本主義経済の仕組みを根底で支えているのが、公認会計士の監査業務です。

・監査業務のメリット・デメリット

ここからは、監査業務のメリットを見ていくことにします。

1.社会的に非常に意義のある業務である

もし、公認会計士の監査がなければ、現在の資本主義社会は成り立ちません。また、会社が必要なお金を調達するために、監査業務が不可欠であるという観点からも、監査業務は、日本経済を根底で支えている非常にやりがいのある仕事であるということができます。

さらに、監査業務の結果は、クライアントの株主だけでなく、社員やその家族、またそのクライアントの商品を利用している消費者にまで影響します。

ここで、お金を稼ぐという以外の仕事のやりがいは、誰のために仕事をするのか?その結果を利用する人が多いか少ないか?によって、変わるものだと思います。だからこそ、社会的に大きな意義があり、多くの人のためになっている監査という仕事は、やりがいを持ちやすいというメリットがあるのです。

2.多様な業種の内情を知ることができる

公認会計士の監査業務は、A社の監査チーム・B社の監査チームというように、数人でチームを組んで実施します。ここで、一人の会計士は、通常、5社程度の監査チームに属することになります。

また、毎年、新しいチームに配属されることもあります。そして、監査法人は都心のオフィスビルに事務所を構えているが、業務の大半は、クライアントのオフィスにお伺いして、監査を実施しています。

そのため、クライアントの内情を色々と会社内部から知ることができます。もちろん、守秘義務があるため、外部に漏えいしてはいけない情報もありますが、監査を通じて、様々な業種のクライアントの、ビジネスモデルや経営戦略、業務管理方法等を学ぶことが可能です。

このように、監査業務を行うことにより、若いうちから、様々な業種での有用な経験を積めるので、ビジネスについての知見を養うことができるという点も、公認会計士の監査業務のメリットのひとつと言えます。

3.多様な業種の経営陣と仕事をする機会が多い

社会人になっても、会社の経営陣と接触する機会は滅多にありません。大企業になればなるほど、自分の会社の役員と仕事をしたり、話をする機会はほとんどなく、自分の部署の課長・部長が限界であり、経営陣と接触するには、通常、部長クラスまで出世しないと厳しいです。つまり、一般企業の場合は、四十歳前後までは、自分の会社の役員と一緒に仕事をするなど、接触する機会はほとんどないのが現状です。

対して、公認会計士の監査業務は、監査チーム内にも事務所の共同経営者が必ず入るため、彼らと接する機会が多いのが特徴です。

また、監査結果は、クライアントの経理・財務部の部長クラスのみならず、最終的には経営陣にも説明するため、若い時から、多くの経営者と話をする機会が多いということも言えます。

さらに、先ほど説明したように、複数の監査チームに属して、複数のクライアントを担当するため、そういう機会もより多く経験できます。

経営者や上級役職者の方と、最初は何を話していいのかわからないかもしれません。しかし、彼・彼女らは、様々なビジネス経験を積んでいる。そのため、様々なビジネススキルや人としての考え方や器の大きさなど、本当に学ぶべき点が多いです。そういう方々と、同じ空間で仕事ができることで、その言動から多くの気づきや学びがあり、成長するには非常に恵まれた環境であるといえます。

若いうちからビジネスで大きな結果を出してきた経営陣の方と一緒に仕事が出来ることは、監査業務の大きなメリットです。

4.強制的な転勤がない

公認会計士の監査の対象となる大企業の本社は、全国各地に存在しています。また、大企業ともなれば、日本中に支社を構え、さらには、企業のグローバル化に伴い、外国に拠点を置いていることも多いです。

そのため、監査法人も地方事務所を設置するとともに、海外のグローバルファームと提携し、全国各地や海外のクライアントの監査に対応しています。

しかし、地方の案件はすべて地方事務所に任せ、海外の案件はすべて海外の提携事務所に任せるというわけにはいかないため、定期的に出張という形で対応します。そのため、公認会計士業界は、比較的出張が多い業界です。自分が担当したクライアントにもよりますが、多い人では年間で1/3程度出張という場合もあります。

余談になりますが、出張は、地域ごとにクライアントお勧めのおいしい物を食べられるため、月に1回や2カ月に1回程度の出張であれば、楽しみにしている会計士も多いです。また、各地の名物のお土産を期待している会計士の家族も多いと思います。

そして、何より大きいのは、強制的な転勤がないことです。公認会計士の場合、自分が地方事務所や海外事務所を希望しない限り、東京事務所に居続けることが可能です。さらに、希望を出せば比較的希望がとおりやすいということも言えます。

この点は、3年ごとに常に転勤の可能性があり、かつ転勤先の希望など聞いてもらえない大企業の状況とは大きく異なります。

転勤が多い大企業では、転勤により生活のすべて(家族そろって転居する場合には、配偶者の仕事先、子供の学校など)に影響が出ますが、転勤を断ると出世ができないので、みな、辞令が出れば従わざるを得ない状況です。聞いた話ですがが、中には、優秀な部下ほど、自分の地位が脅かされるので僻地に転勤させてしまうという上司すらいたりするらしいです。

よって、希望しない限り転勤はないが、希望すれば転勤が可能という点も監査業務の大きなメリットの一つです。

5.特定の上司がいない

公認会計士等の士業は、一人ひとりがプロフェッショナルとみなされるので、直属の特定の上司はいません。もちろん、プロジェクトごとに上司はいますが、一人の上司の下でずっと仕事をするような、通常の会社の上司と部下の関係というものはないのです。

社会人として、避けたい状況の一つが、気の合わない上司の部下になることです。その点、公認会計士は、そういう上司とは仕事をしなくていいし、過度に気に入られる必要がないのも、メリットの一つだといえます。

次に監査業務のデメリットを見ていくことにします。

1.社会的責任が重い業務

公認会計士の監査は、企業を倒産に追い込む可能性がある業務であります。仮に粉飾決算を行っている会社があった場合には、まずは、修正を依頼します。ほとんどの会社は修正に応じますが、経営状況が非常に悪い会社では、粉飾決算を修正しないという事態が起こる可能性があります。その理由は、少しでも業績を良く見せないと銀行からの融資を打ち切られ、資金ショートしてしまう可能性があるからです。

その場合、公認会計士は、経営者の気持ちは十分に理解できますが、証券市場の機能を維持するために、この財務諸表は適正に作成されていないという意見を表明しなくてはいけません。なお、公認会計士がこのような意見を表明した場合には、このような意見を表明された会社は、上場廃止になる可能性が高まってしまいます。

そもそも、粉飾決算をするような会社は、市場から撤退すべきです。被害が大きくなる前に、公認会計士がそのような会社を証券市場から退場させるように仕向けるのは、健全な資本主義社会を維持するためには重要なことです。

理屈ではそう理解していても、自分が上場企業として失格の烙印を押すことで、その会社は倒産に追い込まれ、その従業員やその家族が路頭に迷う可能性があるので、当事者の公認会計士としては大きく悩む事態が生じます。

そのような事例は、10年に1社あるかどうかのケースであるが、担当した公認会計士は、夜も眠れない状況に陥ってしまうこともあるようです。

このように、大企業の命運も自分たちの業務や判断に関わっているという社会的責任の重さが監査業務にはあります。

2.業務結果の利用者が見えづらい

公認会計士の監査は、直接的には投資家や債権者を守り、間接的には、社員や消費者を守っています。しかし、直接的に守っているはずの、投資家や債権者に会うことは少ない、彼・彼女らから直接的に感謝されることはあまりありません。また、社員や消費者は、間接的に監査によりメリットを得ているという意識が少ないため、感謝されることも少ないです。

よって、社会的には非常に意義のある監査業務であるが、誰の役に立っているのかということを実感しづらいというデメリットがあります。

3.クライアントには、嫌な立場でもある

クライアントにとって、公認会計士は気を使う嫌な相手であることも多いです。本来、公認会計士が監査をするからこそ、クライアントが投資家や銀行から資金を調達できるのですが、現場の人は、そういう意識は少ないことも多いです。この辺は欧米と異なる部分です。

よって、自分たちが作成した財務諸表について、あれこれ詮索したり、様々な書類の提出を求める公認会計士は、めんどくさいなと思われる存在であることもあります。

また、クライアントの担当者が提出した書類の必要性に疑問がある場合などはなおさらです。そのため、公認会計士は、クライアントの担当者に書類の提出を依頼する場合には、通常、その必要性についても、しっかりと、説明する必要があります。

みなさんも、国税調査云々で役所から色々な書類を提出してくれと言われたら、めんどくさいなと思うのと一緒で、会社の担当者もめんどくさいのです。特に、財務諸表の訂正は、担当者としては業務が増えることになるので、そんなこと言わないでほしいなと思われてしまうこともあります。

このように、公認会計士には少しでも気分良く仕事をしてもらい、細かいことは目をつぶってほしいとも思っている会社の担当者もいるので、色々な気を遣わせてしまうこともあります。その結果、公認会計士が帰るまでは会社に残っていないと気まずい等の事態も起こってしまいます。

だからこそ、公認会計士は、しっかりと準備し、クライアントへの依頼は適切に行い、相手に無駄が生じないように気配りをしないといけないのです。

また、できる限りクライアント先で残業等をしないような心づかいも大切になります。

4.失敗した時だけ目立つ仕事

監査が適切に行われていれば、何も話題になることはないです。実際に3,500社以上の上場会社の監査が毎年のように行われている中で、粉飾決算のニュースはまれに新聞に掲載される程度です。

しかし、その稀にが、非常に大きな問題を引き起こすため、監査業務については、悪いニュースの時だけ騒がれてしまいます。つまり、事前に粉飾決算を見抜き、修正をさせている場合は、全く表に出ることはないのですが。

このように、公認会計士としての使命をしっかり果たした場合には、全く注目されず、粉飾を見逃してしまった場合にだけ、批判の対象になってしまう点も監査の辛い部分ではあると思います。しかし、証券市場を自分たちが支えているという、プライドと信念をもって、監査業務に取り組むことが大切です。

5.先生と呼ばれる立場

公認会計士は、クライアントの方々から先生と呼ばれる立場です。それは、重要な仕事をしている、専門的な知識をもっているためですので、そのこと自体は、自身の仕事に対する誇りとして大切にしてほしいです。

しかし、注意しなければいけないのが、先生と呼ばれることに慣れてしまい、天狗になってしまうことです。

医者・弁護士・教師などの職業の人は、通常より傲慢な人の割合が多いと言われることがあります。その根本的な原因は、お客様の立場の方から、先生と呼ばれることで、何か自分が偉くなったような錯覚になってしまうことにあります。特に、若いうちからそのような扱いを受けてしまうので、中には勘違いする人が出て来てしまいます。

通常の職場でも、上司が非常に傲慢で偉そうなことはあると思います。そういう人は、自分よりも目上の人には媚びへつらうが、自分よりも目下の者には、高圧的に出るような特徴があります。飲食店で店員に偉そうにする人と同じです。本来、役割が違うだけで、一人の人間として対等に付き合うべきという、人としてのマナーを失ってしまう人は、公認会計士に限らず、この世の中に非常に多いのです。

このようになりたくないというのは、すべての人が思うことですが、若いうちから先生、先生と呼ばれると、思い上がってしまう可能性が高くなってしまうので、特に気を付ける必要があります。

以上が、監査業務の説明と、そのメリット・デメリットになります。社会的に重要かつ責任のある業務をしているが故の、デメリットもあります。しかし、他の職業でも責任ある仕事を行う上で切っても切り離せないものだと思います。自分のやっている業務が社会に大きく貢献しているという、プロフェッショナルとしての誇りを持って監査業務に取り組む公認会計士がより増えることが、日本経済の発展には欠かせないのです。

公認会計士の業務やキャリアを詳しく知りたい方は下記もご覧ください。

『公認会計士の仕事内容(基本編)』

『公認会計士の仕事内容(監査業務編)』

『公認会計士の仕事内容(税務業務編)』

『公認会計士の仕事内容(アドバイザリー業務編)』

『公認会計士の仕事内容(その他の業務編)』

『公認会計士のキャリア選択(監査法人のパートナー)』

『公認会計士のキャリア選択(独立開業)』

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『公認会計士のキャリア選択(コンサルティングファーム)』

『公認会計士のキャリア選択(金融機関)』

『公認会計士のキャリア選択(ベンチャー企業)』

『公認会計士のキャリア(ファーストキャリアの選び方)』


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