斉藤講師

「公認会計士試験の論文式試験(15年)を振り返って」齊藤講師(監査論)

こんにちは。
監査論の専任講師の齊藤です。

論文式試験を受験されたみなさん,本当にお疲れ様でした。まずは,ここまで辿り着いた自分を褒めてあげてほしいと思います。よく頑張ったと!

そして,合格発表までの2ヶ月半は,今までやりたかったけど出来なかったことを,目いっぱいやっちゃってください!! 自分の趣味に時間を使うとか,旅行に行くとか,自分の長所・短所を見つめ直すとか,自分の将来を真剣に考えるとか・・・

しかし,その前に,今年の監査論の論文式試験はどんな問題だったの?難易度は?など,気になる方も多いと思いますので,少し長いですが,感想を書いていきます。また,ホームページにて解答速報を掲載していますので,確認したい方は,是非,チェックしてみてください。

また,論文式試験の対策の話も含まれていますので,現在,学習中の方も,是非,読んでほしい内容になっています。ちなみに,今回の試験の大部分は,テキストの上巻から出題されていますので,実際に解くこともできると思いますよ。なお,実際の問題については,公認会計士・監査審査会のHPに掲げられておりますので,入手して頂ければと思います。

今年の問題は,例年に比べて,比較的オーソドックスの問題が多かったと思います。

第1問は,監査の目的に関連させて,監査総論,監査主体論,監査報告論など,様々な論点から出題されました。

監査論をしっかり学習している方であれば,問題3の問2以外は,大きな方向性は合わせられたのではないかと思います。その一方で,問題3の問2については,会社が違反した法令が,企業の財務諸表には直接影響を及ぼさない法令と判断するか,企業の財務諸表に直接影響を及ぼす法令と判断するか,によって解答が異なってしまいます。そのうえ,どの文言で判断するべきか,非常に迷う問題になっています。

おそらく,多くの受験生が,本問を解きながら,具体例をイメージしたと思います。そのとき,不動産会社が,宅地建物取引士を設置せずに宅地建物の取引を行ったため,宅地建物取引業法違反として課徴金の支払いが命ぜられた場合など,企業の財務諸表には直接影響を及ぼさない法令違反をイメージした場合には,「F(無限定適正意見+強調事項)」を選択したのではないでしょうか。その一方で,架空売上を計上していることが,共謀者であった第三者から関係当局へ通報されたため,会社法違反として課徴金の支払いが命ぜられた場合など,企業の財務諸表に直接影響を及ぼす法令違反をイメージした場合には,「B(限定付適正意見)」を選択したのではないでしょうか。
ちなみに,自分が作問者の場合には,どちらを選択しても正解にして採点します。しかし,どちらか一つのみが正解という問題であると仮定するならば,「F(無限定適正意見+強調事項)」の可能性が高いと思います。なぜなら,問1では,監査人が指導的機能を発揮したが,経営者が修正せずに公表することを決定した旨が記載されていますが,問2では,当該記述がない(監査人が修正不要と判断したと考えられる)からです。でも,本問の指示だけで,どちらか一つのみを正解として採点するのは,問題があるのではないか??とも思いますが。。。

東京CPA会計学院では,問題1については,上級答練第2回の第2問の問1において,問題4については,上級答練第4回の第1問の問1において,類題を出題していますので,答練をしっかり復習していた受講生は,アドバンテージを得られたのではないかと思います。

次に,第2問は,重要性の基準値,手続実施上の重要性,会計上の見積りから出題されました。

監査論をしっかり学習している方であれば,すべての問題において,大きな方向性は合わせられたのではないかと思います。なお,問題4については,模範解答以外にも,「金額的重要性がなくても,質的に重要な場合があるので,当該超過額が重要な虚偽表示には該当しないと判断することはできない」という解答も考えられます。

東京CPA会計学院では,問題2については,直前答練第3回の第1問の問2において,出題していますし,問題3については,かなり細かな論点ではありますが,直前答練第3回の解説講義の中で,手続実施上の重要性の概念説明の一環として,説明していますので,答練をしっかり復習していた受講生は,アドバンテージを得られたのではないかと思います。

なお,合格点は,第1問,第2問ともに,27点~28点程度になるのではないかと思います。
監査論については,多くの受験生にとって,一番手ごたえが分からない科目で,一番心配な科目かと思います。実際,過去の合格者の中でも,足切りをくらったと騒いでいた受講生が,偏差点60オーバーを獲得していたという例も散見されています。ですので,模範解答と方向性が違っても,あまり気にしないで,合格発表を待ってくださいね。

また,現在,12月の短答に向けて,監査論を学習されている方,どのような感想をもったでしょうか。監査論については,複数の解答が考えられる問題が出題されることもあるため,ある程度,合理的なことさえ記述すれば,合格点は取れる科目だということが伝わったでしょうか。

監査論の論文式試験においては,答案用紙をできる限り(少なくとも8割は)埋めてくることと,大きな方向性を合わせることが大事になります。現在,監査論を学習されている方は,規定の文言を表面的に捉えるのではなく,規定の趣旨をしっかり理解することが,短答式試験対策のみならず,論文式試験対策においても重要になることが伝われば,幸いです。

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